般若ハンター

絶体絶命
ここは桜の紋所、警視庁本部庁舎、正面に皇居を見据え、右手には国会議事堂を望む。いまや般若ハンターとなった捜査一課の橋本泰三にとっては、敵の腹の中にいるようなものである。なんとも居心地が悪い。最近、署内の雰囲気が変わったような気がする。それとも泰三自身が変わってしまったのか?
捜査一課内の刑事の中にも明らかに別人になったと感じる者がいる


五井商事の悠木慧子殺人事件で突然エリート警視正「但馬 雄二」が赴任、陣頭指揮をとるようになり警察内部が、どうもきな臭い匂いがする。
安曇野では般若ハンター「卜部新也」と「但馬 雄二」の戦いが繰り広げられた。
いまでも泰三は「あれは夢じゃなかったのか?」とすら思えるのだ。


だが正義を守る最後の砦とも言える、この警視庁が異様な闇に包まれている感じがどうにも気持ちが悪くて仕方なかった。


泰三は捜査本部に呼ばれた。「記者会見を開くので出席するように」との申し渡しであった。ほどなくして、捜査本部は安曇野の事件でエリート警視正「但馬 雄二」の消息不明を死亡と断定。

事実上「悠木慧子、殺人事件」の捜査本部は解散を余儀なくされたが、「安曇野、警察官殺人事件」として新たに合同の捜査本部を設置した。
捜査本部はマスコミを使い、犯人囲い込みを狙って記者会見を開いた。


合同チームの陣頭指揮に抜擢されたのが先の「但馬 雄二」の先輩にあたる「犬養 健二」だ。犬養は東大法学部を主席で卒業した超エリートだ。通常現場で指揮に当たるような人間でないことは確かである。

敵もこの件に関しては本腰を入れているのが泰三にも見て取れた。
犬養はフラッシュの焚かれる中、低いが遠くまで響く声で話し始めた、どこか犬の遠吠えを思わせる響きであった。先程まで騒がしかった会場が深夜の静けさに沈んだ。会場が静かになったところで犬養 健二は話し始めた。すこし舌が長いのか癖のある話し方だ。

「ひとつみなさんにご報告しておきたいことがあります。じつは先月、渋谷のホテルで四ツ星物産の重役、加藤和夫氏が殺害されました。警察では影に大きな組織的な動きを察知して、秘密裏に捜査を進めて参りましたが、加藤氏の自宅がある自由が丘のご家族も全て拉致され、消息を絶ったことが判明しました。この拉致事件に関して、広く情報を集めたいと思い、マスコミのみなさまにも、ご協力を仰ぎたく、ここで発表することといたしました。」

フラッシュが音とともに明滅した。犬養は会場をゆっくりと舐めるように睨みつけ、続けた。

「渋谷のラブホテルでは惨たらしい殺害現場に、この男がおりました」と言って防犯カメラに映った現場の刑事と話す大男の写真が公開された。」
「この男は大胆にも私立探偵の立場を利用し、殺害現場に様子を見に戻っております。実は加藤氏の不倫調査で知り得た情報を使い、加藤氏に金銭の要求をしていたもようです」

記者が立ちあがり、何か言いたげにすると、手を挙げて制止した。

「そして、その不倫相手が五井商事の悠木慧子さんであり。この男は五井商事の悠木慧子さんにも金銭を要求、身体の関係も強要したものと思われます。
未だ悠木慧子さんのご遺体は見つかっておりませんが、状況証拠品はじめ動機は十分のものとし、犯人と断定するものであります。」

会場に溢れた記者から目が痛いほどのフラッシュが焚かれる。

「犯人の名前は「卜部新也」27歳 身長2m15cm 体重95Kg 職業:私立探偵卜部新也は職業上知り得た情報を悪用し、四ツ星物産の加藤和夫氏に多額の金銭を要求、断られた腹いせに加藤和夫氏を殺害、また一方的にストーカーまがいの行為に及び悠木慧子さんに叱責されたことに逆上、犯行に及んだものと思われます。

卜部は悠木慧子さんのマンション地下駐車場に車で入るところを防犯カメラで撮影されております。その後、悠木慧子さんは謎の失踪をしております。おそらく命は無いものと思われます」

フラッシュの焚かれる中、記者からの質問が飛んだ

「卜部新也ですが、東の勢力との繋がりがあると、軍事評論家のコメントがありましたが、どのような事でしょうか?」

「卜部新也は元グリーンベレーの傭兵経験を活かし、日本国家転覆を狙う東の勢力のスパイとして活動していた節があります。警視庁の優秀な「但馬 雄二」警視正がいち早く真相を暴いたのですが、安曇野では卜部たちの卑怯な罠にかかり、多勢に無勢で惨殺されたものと思われます。

但馬は私の後輩でもあり心優しき正義感溢れる、素晴らしい警察官でありました・・・・・どんなにか悔しかったことかと・・」ここまで言って犬養は声を詰まれせた。

橋本泰三は会見を聴きながら、笑いを堪えるのに、腿を痣が残るほど抓っていた。泰三は心の中で呟いていた「戦闘ヘリ、ヒューイコブラまで出して、どっちが多勢に無勢なんだろうな・・・・・卑怯って・・・いかん笑いそうだ」

小刻みに身体を震わせていると犬養に睨まれた。

気を取り直して犬養は続けた。国民を欺くための田舎芝居をである。しかしまんまと記者全員が騙されフラッシュが波のように大きく明滅する。
こうして国民の敵、残忍で卑劣なスパイのレッテルを貼られた「卜部新也」が出来上がったのだ。
翌日の新聞やテレビでは凶悪犯「卜部新也」の写真が大きく報道されることとなった。

日本中のマスコミ、警察、一般市民まで敵に回ってした般若ハンター「卜部新也」これからの厳しい戦いに、どのように挑むのだろうか?

呪われた犬養の正体 般若都市東京

帝が差し向けた刺客、犬養健二とは何者だろうか?犬養家の祖先に遡ってみよう。1600年以上も前、新也の祖先である鬼ノ城に住む温羅を倒すために、吉備津彦命は帝から派遣された、帝は3人の家来を追従させた。そのひとりが犬飼部犬飼健命(いぬかいべ いぬかいたける の みこと)であった。後に犬養と家名を変えている。

吉備津彦命は桃太郎の原型ともいわれた。
桃太郎は家来の犬、猿、雉を連れ鬼ヶ島の鬼を退治した。

子どもでも知っている、有名なお伽噺である。これは帝が吉備津彦命に是が非でも、温羅を倒させるために遣わせた3人のおぞましい闇の使者だった。

その頃、平安京の周りには餓死した人間や弱った人間を喰らう山犬が棲んでいた。その中でも特に陰陽師の肉を喰らった、呪われし山犬がいた。
その犬を捉え、呪詛をかけ大和朝廷に従順な貴族に融合させて、作り出したのが、呪われた犬神、まるでエジプトのアヌビスにソックリな化物であった。


先進技術と超能力をもつ温羅に手を焼いた、吉備津彦命は卑怯な手を使い。犬神・猿神・鳥神を指揮し、鬼ノ城を落城させたのであった。

民衆を盾にとられ、国を失い、悲しさのあまりに泣く温羅の首を、非情にも喰らったとされる犬飼部犬飼健命。これが犬養 健二の祖先なのである。その呪われた血は脈々と現代まで生き続け。帝を守る守護妖魔、獣の目を持つ男として時を超え生きてきた。 それが呪われし犬神 犬養 健二であった。

 犬養 健二は自分のデスクにいた。警視庁特別貴賓室にデスクを置いている。ここは国際的な賓客しか入室できない部屋であった。例えエリート警察官の犬養であろうが、通常なら入ることも叶わない部屋である。上層部いや大和朝廷からの勅命が下ったようである。

犬養は事件の書類や写真を眺めながら、現実とも夢とも付かぬ時空の旅をした。雲が地上に溶け落ちるほどの黒い空、重たい空気が圧力を増している。
足元には低級な妖魔が蠢いている。犬養が踏み潰すと気持ちわるい声で鳴いて黒い煤になった。

犬養は何者かの気配を感じた。目を凝らすと、赤い髪の毛の大男が立っていた、般若ハンター「卜部新也」だ。
眼球が飛び出すほどに目を見開く犬養、卜部新也の手には真っ赤な妖魔斬刀・鬼徹が赤い妖気を立ち上らせていた。

鬼徹を見たとたん犬養の身体がブルンと震えた。髪の毛が逆立ち始め目が黄色に変わってゆく。
新也が音にはならないが大声で叫んでいる。後ろを振り返ると真弓梓が胸の前に銃を構えていた。
咄嗟に犬養は右に飛んだ。梓の撃った弾は犬養のいた辺りに、白い残像を連続で刻んだ。

犬養は葦の草むらに走りこんだ、新也がすぐに追う。草むらは深く視界が効かない。葦の擦れる音がグルグルと新也の周りを回っている。ここは低級霊が反応してザワザワと悲鳴や話し声にも似た音場を形成していた。そのせいで犬養の気配がすっかり消されてしまったのだ。

新也は鬼徹を正眼に構え、目を瞑り気配を探りながら温羅に祈った。「ワ ナスゴト キ コト アリシ コト ナ ノ ワザヲ ナサン ワ ナスゴト キ コト アリシ コト ナ ノ ワザヲ ナサン 」祈りの声が鬼徹の刀身を赤い色が天空からの光で麻黄色に変わった!その瞬間!葦原を横払いに切り裂いた。新也を中心に360度が低級霊ごと一気に刈り取られたように霧散した。

温羅の霊力は凄まじく時空を超え新也に降り注ぐのだ。しかし犬養は葦原にはいなかった。葦原に飛び込んだ一瞬で土を掘り、気配を消し地中深く隠れた。

新也は梓を気遣い急いで葦原を背にした。これが新也の命取りだった。犬養は音も立てずに後から。飛び上がり右肩に犬歯を深々と突き刺さした。痛みに驚く紳也が梓の大きく黒い瞳に写っている。

骨の砕ける音が新也と犬養の鼓膜を震わせる。
流石の新也も堪らず鬼徹を落とした、鬼徹は、みるみるみすぼらしい木刀へと変わった。般若ハンター新也は膝から崩れ落ちた。


踵を返し梓に向かう!梓の撃つ、ベレッタM92Fを四足の凄まじい速さで、右に左にかわし、猛スピードで迫ってくる。梓の両肩を前足で抑えた。背中のどこかの骨が石に当たり、折れたようである。桃の果肉のような唇から血が滲んできた。上から見る真弓梓の恐怖に凍りつく美しい顔、涎がとめどなく梓の口や顔に落ちる。犬養は咆哮をあげ、張りのある大きめの乳房を鋭い犬歯で食いちぎった。

ゾクゾクするほどの絶叫が夢幻地獄にこだまする。
新也を引きずって来て。ぐったりした梓の目の前で頭をゆっくりと噛み砕いた。犬養はドロリと流れる脳を喰らう白昼夢を見た。
気持ち悪い声で、笑い始めた「うひゃひゃひゃー えひぇひぇひぇひひひ・・ぐふぅぐふぅぐふぅ」

顎がメキメキと音を立ててせり出し。犬歯がバキバキバキっと音を立て伸びる。髪の毛は針金のように逆立ち、目は金色に輝きだす。呼吸が次第に荒くなる、笑い声とも息苦しさともつかぬ唸り声を上げた。

ブン!と振動波がビルを揺らす。警視庁から皇居を取り巻く一帯が恐ろしい鳴動を始めた!雷鳴が轟き、落雷は容赦なく都市を叩いた。

これが呪われし犬神 犬養健二の本当の姿であった。桜田門は暗黒の鼓動に包まれ、この世の終焉の始まりを感じさせた。

犬養の悪の鳴動は普通の人間の心にある、般若の心にハウリング(増幅共鳴)を起こす。

横断歩道の歩行者に車が突っ込む。突っ込んだ車のドライバーを警官が銃で惨殺する。惨殺した警官を一般人が殴り殺す。母親が言うことを聞かない子どもを、電車のホームから投げ捨てる。投げ捨てた母親を他の乗客が殴り殺す!阿鼻叫喚の地獄絵図があちこちで出現した。これがハウリング(増幅共鳴)の恐ろしさだ!
おぞましい般若都市東京が出現した。

拉 致

その頃、橋本泰三は渋谷に来ていた。センター街を通り、道玄坂のホテル街に向かっていた。ラブホテル殺人事件の聞き込み調査のためだ。嘘で塗り固めた事件でも、立場上やらざるを得なかった。泰三は適当にお茶を濁しながら、有名なライブハウスが向かい合っている坂道を登っていた。

ふと見ると数人の柄の悪そうな男どもが、若い女性を拉致してラブホテルに連れ込もうとしていた。女性は殴られ抵抗する力も失いつつあった。泰三は飛んでゆき5人いた男どもの、一人を弾き飛ばした。ダブダブのジーンズを骨盤より下に履いている男は泰三を射殺すような目つきで睨んだ。

「こら!おっさん!何しやがんでぇ!あ!」と嘯いて泰三に殴りかかってきた。その男に極真で鍛えた正拳をぶち込んだ!グシャっと鼻の骨が折れる音が聞こえ、男はもんどりうって、壊れた人形のように倒れた。

呆気にとられた右の男の顎を足刀蹴りで砕いた。歯が口の中で粉砕する音が聞こえた。振り返り左の男を後ろ回し蹴りを腹にめり込ませた!男は腹を抱え嘔吐を繰り返し、もがき苦しんでいる。

女を捕まえていた気の弱そうな男は逃げ出そうとして、前も見ないで走り出し、自分から鉄柱に頭をぶつけ、フラフラと後ろ向きに戻ったところを、泰三の前蹴りが炸裂した。男はすごい勢いで、もう一度鉄柱に頭をぶつけて昏倒した。

奥にいた花柄を着ている大男がひとり残った。ひと目で素人では無いのがわかる。凄みながら泰三に言った「極東会の者に楯突いたら殺すぞ!こら!」とチンピラ独特の蛇のような目で睨んでいた。

ヤクザの幹部より、ある意味チンピラの方がタチが悪い。懐にドスを隠し持っているのはすぐわかった。飛びかかってくる男の右こぶしを右手の手刀で丸く払う。よろける男の脇腹に短い蹴りを入れる。うっ!と男が唸る振り向きざまにドスを抜き、泰三の顔を狙って水平に斬りかかった。

泰三は人差し指を男のこめかみに突き刺した。男の膝がガクガクっと震えた。それでも男はドスを振り回した。泰三は飛び上がり、踵落としを男の頭蓋骨に落とした。骨の陥没する音が聞こえて男は意識を無くした。男に手錠をかけて署に連絡をした。

泰三は倒れている女性を抱き起こした瞬間!凍りついた。口が耳まで裂けた女が笑っていた。突然体中に電撃が走り、目の中が黒い絵の具で塗られた。

戦闘準備

銀の溶ける匂いがしている。ここは裏日光・滝尾神社の地下工房。
新也たちは帝との戦争のために、忙しく働いていた。これからの戦いに弾丸を大量に用意しなくてはならない。
般若族を倒せるのは、温羅の塩を仕込んだ銀の弾丸だけである。通常の弾では貫通をしても殺すことは出来ない。

この弾が般若の体内に入ると、組織の結束を原子レベルで粉砕するために、白い灰になり霧散するのだ。

梓のベレッタ用9mmパラベラム弾と新也のH&K MP5 9x19mmパラベラム弾、泰三のファイブセブン用5.7x28mm弾の鋳型が自動的に機械に吸い込まれ、中心に塩を仕込んで鍛造され冷却される。薬莢に取り付けられ、小箱に整然と並べられる。見ているとゴディバのチョコレートでも作っているような素っ気無さである。


肝心の温羅の塩はふんだんに有り、銀など貴重な金属材料や宝石も無尽蔵に所有している。温羅は霊力で鉱山・金鉱などを簡単に探せたために全国の秘密の隠し場所に無尽蔵に置いてある。万が一、温羅の財宝が世界に出ると貴金属の価値は一気に暴落するであろう。

大和朝廷が新也たちを執拗に狙うのは、温羅の塩への恐怖だけではなく、この財宝を手に入れ世界戦争を目論見、正義に燃える神の子たちの魂をサタンに捧げるために働き始めたのだ。

突然、古めかしい音でピンクの電話がけたたましくなった!梓がこの場所に似つかわしくなく、笑った電話である。


絵面文蔵(えづら ぶんぞう)が慌てた声でしゃべっている。「警視庁の橋本泰三さんが拉致されたと報道があります。テレビをつけて見てください。」新也は礼を言い、リモコンで壁にかけられている液晶テレビを点けた。

すると新館次郎が喋っていた。この男はプロレスの中継で有名になった男だ。大げさな表現が、テレビ好きには好評のようだが、あざといパフォーマンスが新也はあまり好きではなかった。

新館は先の安曇野殺人事件も紹介したあと続けた「昨夜渋谷の道玄坂近辺で暴力団の下部組織員に橋本刑事が襲われました。首謀者は卜部新也と思われます。卜部が橋本刑事を誘拐したものと警察はみております。」

真面目な顔をつくろって

「橋本刑事の命に別状は無いのでしょうか?引き続きテレビ浅田は勇気を持って取材を続けて参ります。関連ニュースがあります、チャンネルはそのままでお待ちください」

CMに入りソーダ割りの酒を飲む女優が写っている・・・・どこか般若に似ていると思った新也だった。番組が再開された。

「さて橋本刑事のお命が心配ですが。刑事を誘拐するとは、鬼のような所業と申しますか、いいや!まるで般若です。今、テレビを見ているなら、卜部新也!橋本刑事をすぐに解放しなさい!もし解放しないと、必ず正義の鉄槌が下ると思いなさい!」と薄っぺらな正義感で語った。

そのあとのCMで牛の格好し、焼肉を食べる太ったお笑いタレントが、美味しくって「まるで鬼のようや」と言ってるのが重なって、梓とふたりで笑ってしまった。テレビなどのコメンテーターとは所詮そんなものである。

しかし泰三の件は心配だ。普通なら格闘技においても、新也程ではないが尋常ではない力を持っている。おそらく般若一族の仕業であろう。
明日、梓と二人で東京へ救出に向かうことにした。

その時だった山がウォンっと鳴動した、子種石の扉がゴトゴトと開いて絵面文蔵が石段をゆっくり降りてきた。手には、なにやら布のようなものを持っている。

「新也ちゃん、梓ちゃん、この布は温羅の奥方、阿曽媛(あそひめ)が織りし麻布でございます。この布を纏うことで、傷や病気から身を守ってくれます。東京へ向かうのでしょうから、是非お召しになって頂こうと思い、お持ちしました。
布はなぜか麻にしては異常な程柔らかく、浅黄色にほんのりと光っている。
肌着のような服だが着るとピッタリとフィットする。
梓も素肌にシャツを着ると身体のラインに沿って、すっとフィットした。見事にくびれた腰のラインが美しく、自慢げな乳房は、まるで彫刻のような滑らかさを見せた。なぜか文蔵がゴホンと咳払いをして照れていた。

新也はテレビで繰り返し報道される、橋本刑事失踪事件の画面を見つめてた。
暗闇で暗躍する般若一族がテレビの向こう側に見えた。帝は恐ろしげな高笑いを浮かべ、般若ハンターを追い詰めようとしている。
橋本泰三はいったい何処に監禁されているのだろうか?

次回、般若ハンター 呪われし犬神VS般若ハンターをお楽しみに。

無料で公開しています。お気に召したら投げ銭をお願いします。いつか様々な鬼が登場する小説集「鬼の棲む国」を出版したいと思っています。ご覧いただき感謝申し上げます。 玄庵

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