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化けた娘

むかしむかしのことじゃった。いまの栃木県に高原山という、それはそれは美しい山があったそうな。そこは修験者が水を汲み、身を清めた尚仁沢湧水という、神さまの水が滾々と湧き出す聖地があったのじゃ。

 ところがじゃ、ある日塩谷の里に江戸の役人が来て、その聖地に、ゴミをた~んと捨てると言い始めたそうな。庄屋さんの家に集まった高原山と尚仁沢湧水を愛する村の衆は怒ったんだと。返答によっては一揆も辞さないと江戸から来た役人に詰め寄ったそうな。そりゃ庄屋さんの家は大騒ぎ!すったもんだともみ合っておったそうな。

 その時じゃった!庭のほうから「お待ちなさい!」若い娘の声・・・その美しい声に全員が振り返ったそうな。

 すると、そこには、村の衆も見たこともないような、美しい娘が現れて「せっかく遠い江戸からおいでくださったのですもの、御役人さま、どうぞこれでも召し上がって、落ち着いてお話をしてくださいませ」

 役人がふと見ると湯気の立つ「玉露の茶」とほかほかの「黒砂糖饅頭」がお盆にのせられていたそうな。「そなたは美しゅうて気が利く娘じゃな。それに江戸にも、めったに居らんほどの器量よしじゃな。それじゃ遠慮なくいただくとするか!ほれお前たちも食わんか」と部下にもすすめる役人。

江戸から来た役人は湯気の立つ「馬のしょんべん」とほかほかの「馬糞」を旨そうにパクパクと食ったそうな。
それを見ていた娘の尻からは大きな大きな狸の尻尾がにょきっと生えていたんだと。

村の衆は大笑いで「高原山の狸ごときに化かされるんじゃ、江戸の役人も大したことないわい」と言ったそうな。

馬糞を食わされたことがわかった役人は怒って「江戸から沙汰あるまで待つのじゃ」と悪態をつきながら、恐ろしいものから逃げるように、江戸に逃げ帰ったそうじゃが。。。。。

それからというもの、高原山の狸のおかげで、塩谷の里には正直者だけしか、入れなくなったそうな。

おしまい


塩谷町に放射能、指定廃棄物最終処分場、建設反対の署名をお願いします。

http://shioya-doumeikai.jimdo.com/%E7%BD%B2%E5%90%8D%E6%B4%BB%E5%8B%95/

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