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基礎ドリル(構造)

基礎ドリルは、想定したプランに対する設問に答えていきます。

用語集(構造)、基礎編(構造)では、構造計画に関する記述の基本的な考え方、セオリーをお伝えしてきました。


これからは問題をこなしながら知識を蓄えていきます。基礎ドリルでは本試験よりも短い解答となる設問をたくさんこなし、基本例文を覚えます。

設問数が多いので、すきま時間を使って少しずつ読み進めてください。まずは全体像をつかむことを優先するため、深く読み込むのではなく、さらっと読んでください。

次回、続きから読む際には目次のリンクを使ってジャンプできます。構造分野は他の分野に比べて暗記要素が強い分野です。繰り返し読むことで、記憶が定着しやすくなります。


1.構造種別、架構形式

設問:建築物に採用した構造種別、架構形式と採用理由

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用途が図書館であり、地域住民が利用する建物であることを踏まえ、構造種別、架構形式を選択します。

・解答例

建物用途から、耐震性、耐火性、遮音性に優れる鉄筋コンクリート造とした。靭性に富み、平面計画が自由なラーメン架構を採用した。


2.スパン割り①

設問:建築物のスパン割り採用理由

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均等スパンを採用した場合の理由を説明します。

・解答例

X方向、Y方向ともに7mの均等スパンで計画し、安定性の高い架構とした。


3.スパン割②

設問:建築物のスパン割り採用理由

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均等スパンでない場合の理由を説明します。

・解答例

柱1本あたりの負担面積が過大にならないように、6~8mのスパンで架構を計画した。


4.主要部材寸法

設問:建築物の主要部材寸法と採用理由

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各部材の基本的な寸法を把握しておきます。一例を示しますので、自分のプランに合わせた数字を確認してください。

・解答例

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柱:700mm×700mm
3階建ての荷重を確実に支持地盤へ伝達できる部材寸法とした

大梁:500mm×800mm
地震力に十分抵抗できる部材寸法とした

小梁:300mm×600mm
スラブからの荷重を安全に伝達できる部材寸法とした

スラブ厚:t =200mm
床の騒音や振動を抑制できる厚さとした


5.スパン割(大空間)

設問:多目的ホール上部に採用した構造

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大空間を確保するために無柱とした場合の構造について説明します。

・解答例

無柱空間とするため、大梁を14mのロングスパンとし、たわみやひび割れを抑制するためプレストレスコンクリート梁で計画した。


6.部材寸法(大空間)

設問:多目的ホールの部材寸法

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PC梁を採用した場合の部材寸法を説明します。

・解答例

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柱:700㎜×700㎜
大梁:500㎜×800㎜
PC梁:500㎜×1200㎜
PC梁を支える柱:800㎜×800㎜


7.基礎形式①

設問:3階建RC造の基礎構造形式

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直接基礎の場合について説明します。

・解答例①

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地盤条件が良好であると判断し、不同沈下に強く安定性に優れるべた基礎を採用した。


・解答例②

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G.L.-1.5m以深を支持層とし、施工性を考慮して地下水位より高いG.L.-2.0mを基礎底面とした。

経済性に配慮し、必要最小限の根入れ長となる基礎底面レベルで計画した。


8.基礎形式②

設問:3階建RC造の基礎梁、耐圧版寸法

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基礎構造の寸法を説明します。

・解答例

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基礎底面レベルに合わせ、基礎梁寸法を500㎜×2000㎜で計画した。

荷重を安全に支持地盤に伝達するため、耐圧版厚さを500㎜で計画した。


9.スラブ、小梁の架け方

設問:小梁とスラブの架け方について

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スラブからの鉛直荷重を支えるため、小梁を短辺方向に架けます。

・解答例

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スパンの1/2程度の位置に小梁を設け、スラブの短辺寸法が4m以下となるようにし、たわみの抑制を図った。

スラブ周りには梁を設け、四辺固定スラブとし安全に荷重を伝達した。


10.梁断面、スラブ位置

設問:大浴場の断面計画

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浴場でのスラブ下げについて説明します。

・解答例

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防水仕上げ厚さと排水溝スペース確保のため、洗い場部分の床スラブを200㎜下げて設置した。

洗い場部分の床スラブを200㎜下げ、防水仕上げ等を施しつつ、脱衣室との段差をなくした。

段差部分には小梁を配置し、荷重を安全に伝達した。


11.吹抜け

設問:吹抜け周囲の構造

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吹抜け周囲はスラブがないため、架構を安定させる工夫をします。

・解答例

吹抜けは大梁に囲まれた部分に計画することで、安定したラーメン架構とした。

吹抜け周囲には小梁を設けることでことで、スラブを安全に支持できるようにした。


12.天井落下防止対策

設問:多目的展示室の天井落下防止対策

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床面積200㎡以上、天井高さが6mを超える室の天井は特定天井として対策します。

・解答例

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吊り材を1㎡当たり1本以上配置するほか、斜材をバランスよくV字状に設置することで、振動を低減し、天井落下を防止した。

天井部材と壁との間に、6cm以上の隙間を設け、地震時に天井と壁が接触し、部材が損傷することを防止した。



13.目標耐震性能

設問:建築物に設定した目標耐震性能(地震力の程度と建築物の状態)

想定する地震レベルと建物用途によって求められる水準を、国の水準を参考にして説明します。

・解答例①

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社会福祉施設はⅡ類に分類される建物であるため、学校や病院と同等の水準とし、人命確保と継続利用を目指します。

建築物の耐用年数中に震度6強~7程度の大地震が発生した場合、人命確保と、構造体の大きな補修がなく、建築物を継続使用できることを目標とした。


・解答例②

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スポーツ施設はⅢ類に分類されます。人命確保できる建物を目指します。

建築物の耐用年数中に震度6強~7程度の大地震が発生した場合、人命確保と、構造体に部分的な損傷は生じるが、建築物全体の著しい耐力低下がないことを目標とした。


14.耐震ルート計算

設問:建物に採用した耐震計算ルートと理由

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建築物に採用した耐震計算ルートの採用理由は、ルート3にて保有水平耐力を計算し、靭性に富んだラーメン架構としたことを説明します。

・解答例

採用した耐震計算:ルート3
ラーメン架構が安定し、大開口を設けたとしても、柱、梁は曲げ降伏先行となる安全なものとした。


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