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記述解答の添削例⑤

昨年度開催していた添削室での添削例を紹介します。本試験では自分の解答をじっくり読み直す時間はありません。試験勉強中にはじっくり読み直すクセつけると、自分の弱点が見つかるかもしれません。

今回は居室の位置と動線について問われた時の解答方法です。自分の解答をチェックする際には、参考にしてみてください。

まず、下記の解答を自分が解答を添削するつもりで読んでください。


設問:多目的ホールの位置決定理由と動線計画について述べよ

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モニターさん作成解答

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いかがですか?一通り読んで、どのような点に気づきましたか?

では、改善すべき点を確認していきます。この文章が、もっと伝わりやすくするために手を加えていきます。

設問:多目的ホールの位置決定理由と動線計画について述べよ

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解答の流れを追ってみます。解答例では二つの文で構成されています。

①多目的ホールの位置について
多目的ホールの位置を説明していますが、位置の説明があいまいです。また、多目的ホールだけについて問われているため、あえて「多目的ホールは…」と書く必要はありません。複数の部屋について問われた場合は、何について答えているかを明確にするため書く必要があります。

②ホールの日照条件について
日照条件を説明していますが、何を目的としてその位置にしたかの理由が書かれていません。光が届くようにしたことで、どのようなメリットがあるのかを書く必要があります。

③動線計画について
設問では、「位置決定理由と動線計画」について問われています。この解答では動線計画についての記述がありません。複数問われた場合には、すべてに答えるようにしましょう。


居室の位置、動線計画について問われた時、考えることは以下の項目です。

1.居室の位置
居室の位置について問われた時には、その居室を建物のどの位置に計画したかを説明します。設計条件で階の指定がされていない場合は、当該階に計画した理由も併せて説明します。建物内の位置は、方位を示して位置を説明し、なぜその位置としたのかの説明を加えます。

2.周辺状況
設置位置の理由としては、周辺状況(居室からの眺望、敷地外部からの視認性、日照条件、通風条件、履き替え、関連室との関係性など)を踏まえて説明します。

3.動線計画

動線計画では、主出入口からの距離、位置、わかりやすさなどを踏まえて、利用者の視点で考えるようにしましょう。


具体的に確認していきます。

居室の位置の説明
多目的ホールの位置は、一階北西角に計画しています。

周辺環境で考慮したこと
多目的ホールは一階北西角に計画しましたが、敷地の北西にある交差点からの視認性を考慮して計画しています。この交差点では多くの人が行き交うため、ここからよく見える位置に計画することは、地域住民へのアピールにもなります。

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多目的ホールは建物の北側に計画したため暗くなりがちですが、吹抜けに隣接させることで部屋の東側からも日照を得られるように考慮しています。

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位置決定理由については、以下のように記述します。

建物の一階北西角に計画し、交差点から視認しやすく集客が期待できる位置とした。吹抜けに隣接させることで日照を多く取り入れられるようにし、明るく快適な環境となるように配慮した。


動線計画について
多目的ホールをエントランスホールから入ってすぐの位置に計画することで、動線が短く分かりやすいものとしています。また、多くの人の利用を想定するホールであり、広々としたエントランスホールに面して計画することで人溜まり空間となり、スムーズな出入りができるように考慮しています。

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動線計画については、以下のように記述します。

主出入口から入ったすぐの位置として、わかりやすさに配慮した。また、広々としたエントランスホールに面することで、大人数でもスムーズに移動できるように考慮した。


以上をまとめ、今回の設問に答えるべき内容は以下の3点です。

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