記述解答の添削例⑥
今回は、受験生の解答から具体的にどのような点に気を付けるべきかをお伝えしていきます。
自分の解答を客観的に見ることで、試験元が求めていることと、自分の解答にあるズレが見えてくるようになります。
試験勉強中にはじっくり読み直すクセつけ、問題の種類ごとに試験元が求めることがわかるようになりましょう。
今回はアプローチと配置計画について問われた時の解答方法です。自分の解答をチェックする際の参考としてください。
まず、下記の解答を自分が解答を添削するつもりで読んでください。
設問:周辺環境を踏まえた建築物のアプローチと配置計画について述べよ
解答例
いかがですか?一通り読んで、どのような点に気づきましたか?
分析
それでは細かく見ていきます。
今回の設問ではアプローチと配置計画について問われています。複数の項目を問われているため、解答では何を答えているかを明らかにする必要があります。
解答例では、①施設部門のアプローチ、②居住部門のアプローチ、③住棟配置について分けて答えていますので、伝わりやすくなっています。
施設部門のアプローチ
わかりやすい計画となっている理由がはっきりとしていないため、人通りの多い道路から目につきやすいという理由を加えると伝わりやすくなります。
居住者のアプローチ
住宅地が立ち並ぶ道路からとすることで連続性に配慮していると記述されています。これは、落ち着いた雰囲気のある住宅地側から居住者アプローチをとっており、静かな環境が連続していることを表していると思います。
しかし、周辺環境として考えた場合、住宅地に面している側にアプローチを計画する必要性は少なく、南側に居住者のアプローチを取る理由としては弱いと考えます。
この場合は、目的の異なるアプローチは分離させることを思い出してください。車と歩行者、利用者と管理者などは明確に分離させる必要があります。
今回も、施設利用者と居住者では建物に入る目的が異なる人々ですので、アプローチを分ける必要があります。このため、動線を分離させるために居住者のアプローチを住宅地側にした理由とします。
さらに、居住者駐車場側にも入口を設けていますので、この工夫についても記述しましょう。
ここで、良くある間違いをひとつお伝えします。
各部門の行き来ができるように、部門間にオートロックのドアが計画されています。今回の設計条件では「部門の行き来ができるようにすること」とされています。
このような場合に、工夫したこととして「部門間の行き来ができるようにした」としても、施主から求められたことをしているだけなので、やって当たり前のことを説明していることとなってしまいます。
設計条件で求められていることを、工夫したこととして記述しないように気を付けましょう。
住棟配置
居住者の住宅を南側に向けて計画することで、採光が取れ、快適性を高めたことを記述しています。
南側に向けて、開口部を大きく設けたことで明るい部屋としたというように、具体的に工夫したことを付け加えると伝わりやすくなります。
また、今回の設問は周辺環境を踏まえた配置計画についてですので、解答例以外にも、北側の集合住宅と距離を開けた基準階を計画することでお互いのプライバシーに配慮したことも記述することができます。
さらに、カフェの配置計画として、交差点から目につく位置、商業施設に面する位置などとして記述し、集客性に期待したことも周辺環境を踏まえた記述となりえます。
修正解答例
以上を踏まえて、記述研究所の解答例はこちらになります。