見出し画像

「グミつれた」 ~ゲル化の仕組みは?~

クラシエフーズの知育菓子「グミつれた」
知育菓子の中でもインパクトの大きな商品だと思います。
その名の通り、グミが釣れます。
どんな原理でグミ(ゲル)が出来るのでしょうか?
まずはどんなものか、作ってみましょう。

パッケージ
中にはストローが入っています。

まず、三角のカップを切り離し、丸いトレイに水を入れます(内側の線まで入れる)。
そして、ジュースのもとを入れ、添付のフォークでよく混ぜます。

粉末がほぼ溶けたら、隣のトレイに三角カップ一杯の水と、あわソースのもとを入れてよくまぜます。

発泡してボリューミーになります。
ここは「ねるねるねるね」と同じで、重曹と酸(おそらくクエン酸)の中和反応によるものですね。
二酸化炭素が発生することで発泡します。

そして、いよいよグミをつくります。
添付のストローを曲げ、ジュースの中に沈めます。
沈めたストローが隠れるようにして、上からグミのもとをかけます(グミのもとは3~4回分入っているので、一度に全部入れないよう気を付けてください)。

ストローをゆっくり持ち上げると…

不思議なことに、グミが水面から出てきました。

吊り上げたグミは、フォークでストローから外し、泡ソースをつけて食べます。
グミのもとは3~4回分入っているため、失敗しても2~3回再挑戦できます。
あわてず、ゆっくりストローを引き上げて下さい。
*グミというほど、硬くありません。柔らかいゼリーですね。

では、グミはどうやって出来ているのでしょうか?
作り方はシンプルですが、粉がグミになっていく様子は不思議ですよね。

実は、この知育菓子で使われているのは人工イクラと同じ原理なんです。
アルギン酸ナトリウム水溶液が乳酸カルシウム水溶液によってゲル化することを利用しています。
人工イクラ作りでは、アルギン酸ナトリウム水溶液を乳酸カルシウム水溶液中に滴下し、球状のゲルを作ります。
図のように、アルギン酸をカルシウムイオンが橋架けしてネットワークを作ることでゲル化します。

アルギン酸をカルシウムイオンが橋架けしている(概略図)

「グミつれた」は、乳酸カルシウム水溶液の水面にアルギン酸ナトリウム粉末をまぶし、ストローで持ち上げているんです。
ここが面白いところですね。
水溶液に接したアルギン酸ナトリウム粉末が次々とゲル化するため、ストローを持ち上げるとゲルが膜状になって水面から出てくるんです。
なかなかのアイデア商品だと思います。

では、アルギン酸ナトリウムと乳酸カルシウムを使い、膜状のゲルを作ってみましょう。
ちなみに、人工イクラ実験セットを使って作りました。

タッパーに300mlの水を入れ、2gの乳酸カルシウムを加えて溶かします(約0.65%)。
30~60秒程度まぜれば綺麗に溶けます。

乳酸カルシウムを水に溶かす

そして、沈めた割りばしの上にアルギン酸ナトリウム粉末をまぶします。
この時点で、ゲル化が始まります。
割りばしをゆっくりと引き上げると、膜状のゲルが得られます。

「グミつれた」には、でん粉などが添加され、ゲルが千切れにくくなるよう工夫がされています。
そのため、アルギン酸ナトリウムと乳酸カルシウムのみで作るときは、かなり慎重に引き上げる必要があります。

また、割りばし二本で引き上げれば、両面でゲルを作ることができます。

引き上げた後、割りばしを開くと二枚になる

さらに、水面に均等にアルギン酸ナトリウム粉末をまぶす方法もあります。
薄い膜が出来ているため、スプーンで広げることができます。

割りばしなどで引き上げると、しっかりしたゲル膜が出来ていることが分かります。
全体に液を着けておけば、ゲル化が進んで透明になります。

味付けすれば、オリジナルの「グミつれた」を楽しめますね。

クラシエフーズから出ている知育菓子には、つかめる不思議玉、どどっとつぶぴょんなど、人工イクラの原理を活かしたものがたくさんあります。
どれも面白いので、是非試してみて下さい。



読んでいただけるだけでも嬉しいです。もしご支援頂いた場合は、研究費に使わせて頂きます。