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二階俊博 国土強靭化に全力を尽くす

災害対策はやり過ぎて困ることはない

―― 8月以降、日本列島には相次いで台風が上陸し、大きな被害をもたらしました。とりわけ東北や北海道の被害は甚大なものとなっています。二階さんは以前より国土強靭化の重要性を訴え、防災や減災に取り組んできました。今回の災害についてどのように見ていますか。

二階 北海道の被害の状況を耳にしたのは、私がちょうど派閥の研修会で北海道へ行っている最中でした。そこで急遽日程を変更し、研修会を終えた足でそのまま被災地へ行ってまいりました。深川市など三ヶ所を回りましたが、聞きしに勝る大きな災害だということを実感いたしましたので、できる限りの対策を直ちにやるということを約束してまいりました。

 私がすぐに被災地に入ったのは、政府に対して警鐘を乱打するためでもあります。災害対策はやり過ぎるほどやっても別に構わないわけですし、とにかく早くやらなきゃなりません。災害で困って自信を失いかけている住民の皆さんに対して、政府は頼りになると思っていただかないと、災害復旧を実現することはできません。地元の皆さんと政府、我々自民党、さらに公明党が一体となり、信頼関係のもとに迅速に対応することが大事だと思います。

―― こうした災害が起こる度に、公共事業の重要性を再確認させられます。しかし、日本の公共事業は平成10年をピークに年々減っていき、今やピーク時の半分以下にまで削減されています。

二階 公共事業を削れば何か改革ができたとか、財政面で大いに貢献したことになるとかと勘違いしている人がいますが、削りすぎた場合は後で大きなツケが回ってくることは目に見えています。それは今回の災害からも明らかです。

 公共事業は費用対効果が悪いなどと言っている人もおるけれども、実際に災害が起こってしまった場合の復旧作業の方が、事前の災害対策よりも、費用対効果の面から見ても間違いなく費用がたくさんかかります。災害対策は、後手後手に回ったんでは余計に高いものにつくんですよ。そして挙句の果てには人命を失うという最悪の事態さえ招いてしまうんです。だから、公共事業を削ったらいいなどと素人が言って歩いているようなことを、自民党が言って回ったんじゃダメですね。

 政治で一番大事なことは、国民の皆さんの生命と財産を守ることです。今回の災害では、高齢者施設の方々などが亡くなってしまいました。こうしたことを繰り返さないためにも、少々の反対意見があっても、これが大事だと、これが重要だと、人の命を守るためにはこの道しかないと、毅然とした対応をしていかなきゃいけません。妥協して俯き、流れるままに生きていくというなら、何のために政治をやっているかわかりません。正しいことは正しいと主張し、果敢にやっていくということが大事じゃないかと思っています。

公共事業悪玉論は間違いだ

―― 日本は地震大国であり、近い将来に高い確率で南海トラフ地震が発生すると言われています。そうした地震への備えは急務の課題です。ところが、一部では未だに「公共事業は一部のゼネコンを儲けさせるだけだ」といった、公共事業悪玉論を唱えている人たちがいます。

二階 それは偏見に満ちた考え方です。そういうことを言う人がまるで知識人であるかのごとく振舞っていますが、間違っていますよ。今回の災害の状況を見て同じことを言っていられるかといえば、言えないじゃないですか。

 私の地元の和歌山では、1854年に安政南海地震が起こった際、濱口梧陵さんという方が津波が来ていることに気づき、稲に火を放って住民を高台に誘導されました。これは「稲むらの火」として今日まで伝えられています。濱口さんの判断力によって多くの村人の命が救われました。大変なことだと思います。

 濱口さんはその他にも、和歌山に耐久高校を創立して人材育成に務めるなど、立派なことをたくさんやっておられます。濱口さんのやられたことは誰にでもできることではありませんが、私は濱口さんの偉業をできるだけ多くの人たちに知ってもらいたいと思っています。そして、災害に遭遇して命を失うようなことをできるだけ少なくしていく、これが政治の中で大事なことだと思っています。

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