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第1回『マンゲキ×神保町』優勝! ナイチンゲールダンスが体感した『M-1』と劇場での成長

大阪・よしもと漫才劇場と東京・神保町よしもと漫才劇場に所属する芸歴8年目以下の若手芸人による対抗戦『マンゲキ×神保町 東西グランプリ~Under-8~』。2021年11月14日(日)、よしもと漫才劇場にて開催された第1回の同対戦において、ナイチンゲールダンスが優勝しました。
大阪からダブルヒガシ、たくろう、フースーヤが、東京からオフローズ、オドるキネマ、ナイチンゲールが参戦。観客審査によって行われた投票で、東京勢が3位までを独占。参加コンビの中で芸歴最年少のナイチンゲールダンスが見事、初回の優勝を手にしました。
今回のインタビューでは、優勝した率直な感想ほか、4年ぶりに参戦した『M-1グランプリ2021』のこと、賞レースや劇場への思いを語ってもらいました。

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マンゲキのお客さんはすごさを感じた瞬間

――アウェイの漫才劇場での開催で、優勝とはすごいですね。

ヤス:たしかにそうですね。大阪の先輩は全員、すごく優しくて。初めての後輩だとしても、みなさん優しく接してくれまして。

中野なかるてぃん(以下、中野):めっちゃツッコんでくれますし、めっちゃ誉めてくれます。

ヤス:(今回一緒だった)ダブルヒガシさんとたくろうさんは、今まで何度かおしゃべりとかさせていただいたことがあって。

中野なかるてぃん(以下、中野):フースーヤさんは今回、初めて一緒のライブに出させてもらいました。すごく楽しかったんですけど、優勝は本当に嬉しかったですね。

――しかも出演6組中、芸歴最年少での優勝でした。

ヤス:あぁ、本当ですね。このライブはたしか『M-1』準々決勝前で。ネタが仕上がり切ってる状態だったので、正直言うと負けることはないだろうとは思ってました。

中野:準決勝本番でやる予定のネタをやったので、ウケなきゃ困る!っていう気持ちでやってたかもしれないです。結果、準決勝には上がれなかったんですけど、このライブでウケたから、準々決勝当日も自信を持ってやれたところはあったと思います。

ヤス:あと、神保町って——いちばん新しい劇場だってことももちろんあるんですけど——、こういう戦いでいつも負けてたんです。大きな賞レースでも、誰も決勝へ行ってなかったりもして。

中野:『ABCお笑いグランプリ』決勝とか行けてないしね。だから、ナメられたくないぞっていう気持ちで新幹線に乗ったよね?

ヤス:そうだね。今までは力不足を痛感する機会しかなったんですけど、初めてほかの劇場に勝てたことも嬉しかったですね。

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――ネタをやり終えた後も手応えは感じていたんですか?

中野:そうですね。たくさんのお客さんが笑ってくれましたから。

ヤス:ただ、マンゲキのお客さんってすごいなと思ったことがあって。『M-1』準々決勝で“本当はここ、もっと笑いが欲しかったな”って思ったところが、『東西グランプリ』のお客さんにもハマらなかったところだったんですよ。

中野:たしかに! そこ、ほかのライブでは結構ウケてたんです。だから、『東西グランプリ』の反応だけが違ったのかなと思ったらね?

ヤス:さすがに(今までやってきた場の)数を信じちゃったよね(笑)マンゲキのお客さんを信頼して準々決勝前に(ウケなかったところを)変えていたら……って思うと、マンゲキのお客さんはすごいんだなって。マンゲキはいいお客さんが来てる劇場なんだって感じました。藤崎マーケットさんのMCもとにかく最高で。何をやっても拾ってくれるし、本当に優しくてありがたかったですね。

――次回は神保町での開催となりますが、出演したいですか?

中野:もちろん出たいです!

ヤス:そうですね。ポイント的には僕ら神保町3組の圧勝でびっくりしたんですけど、大阪にいるお客さんが多い分、マンゲキの3組のネタを頻繁に観てたから勝てたのもあったんじゃないかなと思っていて。

中野:そうなると、ボロ負けする可能性もありますから。

ヤス:全然あるよね。だから、僕らのホームになったときにどうなるかは楽しみですね。

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『M-1』効果でSNSフォロワー爆増え

――先ほど『M-1』の話も出ましたが、4年ぶりに出場しようと思ったのは?

ヤス:そろそろかなと思っただけというか。

中野:前々から、『M-1』で勝てるネタができたら出ようとは言ってて。そういうネタができたわけではないんですけどね?

ヤス:うん、出ることにしました。……出てよかったです。『M-1』効果、すごいですよ。SNSのフォロワー爆増え! ライブシーン爆認められ!みたいな。3回戦ですごく跳ねたネタの動画を、たくさんの人を観てもらえたみたいで、フォロワーが1000人くらい増えました。

――目に見える効果があったんですね。ご自身の成長的実感としてはいかがですか?

ヤス:この4年でいろんなことを試して、自分たちにいちばん合っているっぽいネタをやり続けた結果、『M-1』に向いてるなと思えるネタができたのはよかったです。

中野:甘っちょろい考え方かもしれないですけど、神保町という1つの劇場全員で肩を組んでやってる感じもあるというか。特に、2021年は『ABC~』の決勝に誰も行けなかったっていうのもあったので、『M-1』は誰か行くぞ!って(団結した中に)参加している感覚もありました。

ヤス:ただ、さすがに準々決勝敗退は……もうちょっと上まで行くつもりだったので、想定が甘かったですね。

中野:準決勝進出メンバーが発表されたあと、僕らと令和ロマン、9番街レトロで沼津へ行ったんです。僕らが楽屋でヘラヘラと喋ってるとき、インディアンスさんがネタ合わせする声がめっちゃ聞こえてきて。全員で“あぁ、そうか。インディアンスさんはまだ『M-1』終わってないんだ”と思ってシュンとなっちゃったんですけど、あのとき、悔しさを改めて感じました。

ヤス:(準々決勝で)ウケてたねとも言われましたけど、完全に無名の僕らであのくらいのウケだとダメなんだろうなって。もっと跳ねておかないと。

中野:手応えもあまりなかったですもんね。

ヤス:そうだね。けど、周りと比較したときに、3回戦くらいのウケ量を繰り返し出すことができれば、絶対に決勝へ上がれるんだなと。これくらいの笑いが取れたらいいんだっていうことを体感で知れたのは、『M-1』に出ていちばんよかったことですね。今はまた1から、自分たちが面白いと思うことをいろいろとやっていて。さすがに拍手笑い大連続とかはないので(お客さんの反応を見て)あれ? もしかしたら面白くないのかなとか思っちゃったりもしますけど、3回戦でウケたネタも最初はこんなもんだったんだろうなと思いながら続けてます。

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2022年、狙うは賞レースキラー

——2022年のテーマみたいなものはありますか?

ヤス:賞レースキラーになりたいですね。

――『M-1』は出ないと言ってたところから、随分と考え方が変わりましたね。

ヤス:僕はなんにもしないか、めっちゃするかのどっちかですから。

中野:ヤスさんはねぇ、考え方を頻繁に180度変えるんですよ(笑)。

――となると、中野さんは大変ですね。

中野:ボートに乗ってるとしたら、オールを前向きに漕ぐか後ろ向きに漕ぐかだけですけどね(笑)。

ヤス:なかるてぃんは、常に平行線を辿ってます。あと、僕らのことを知ってもらえるように、TikTokとかインスタのリールとかにショート漫才をアップし始めました。

――そういうことは、2人で話し合って決めてるんですか?

ヤス:いえ、僕がやりたいと思ったら始めます。なかるてぃんには何も言わない。けど、更新は全部、なかるてぃんがやってくれてるんですけどね。

中野:ヤスさんはいろんなことをやりたいって言い出すんですけど、判断はちゃんとつくので、ダメだなと思ったらやめるんです。だから、やりたいと言ったことは全部やります。やるやらないで揉める時間はもったいないので。

――今のところ、反響はいかがですか?

ヤス:まだ始めて15日くらいなんですけど……。

中野:すでにネタ切れで、昨日からもう上げてないです(笑)。

ヤス:あはは! 毎日30日間上げようって言ってたのに、15本しか撮ってなくて。やべぇ、足りないってなったので、また来月になったら上げていこうかなって。あと、僕はYouTubeで個人チャンネルも始めましたし、ルームシェアのチャンネルもやっています。なかるてぃんも何か始めたらいいのに。

中野:たしかにね。けど、僕はオールを漕ぐことに徹します。もちろんテレビにも出たいですけど、来年は賞レース全て、(開催される)順番ごとに挑戦していきたいですね。

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――今はYouTubeやSNSなども含めて、いろんな売れる道があるようにも感じるのに、賞レースにこだわるのはなぜですか?

ヤス:面白いと認められたい。それだけです。劇場でいくらウケてても、『M-1』に出てなかったら評価されないので。

中野:『M-1』に出ると、喋りかけてくれる先輩も増えますしね。

ヤス:知ってくれる人が増えるんだっていうことを、今年出てみて実感しました。『M-1』パワーって、本当にすごいんですよ。

――そんな中で、先ほど中野さんが言っていたように、神保町という劇場を盛り上げる一員になりたいという気持ちも大きいと。

ヤス:もちろん、それはあります。特に、僕はそうですね。

中野:2021年はぼる塾さんのおかげで、初めて僕たちのことを観るお客さんの前でネタができた1年だったような気がするんです。

ヤス:あと、板橋ハウスっていうルームシェアしてる僕らの同期がすごくバズってるんですけど、そこからありがたいことにお客さんがたくさん来てくれてるんですよ。ファンの方はみなさん、お笑いが本当に好きで、板橋ハウス以外の芸人でもたくさん笑ってくれて。

中野:そういう恩恵は今後もいろんな芸人から受けていきたいですし、僕らも頑張ることで新しいお客さんを呼び込んでいけたらいいなって。
ヤス:最近の神保町って、お客さんが増えてる気がするんです。ぼる塾さんが出ないのに、17時の『Jimbochoばちばちライブ』っていう普通の公演が満席の日もあって。

中野:熱気を感じますね。

ヤス:スーツを着てる会社帰りみたいな男性も結構いるんですよ。それ、めちゃくちゃありがたいです。2021年は土日に新ネタを下ろして、1週間のライブでネタを繰っていたらあっという間に1年終わっちゃいましたけど、来年は賞レースで優勝できるようにこれからも神保町で頑張っていきたいですね。

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■ナイチンゲールダンス
2017年結成。中野なかるてぃん(左)とヤス(右)のコンビ。
公式YouTubeチャンネル「ナイチンゲールダンスチャンネル」はこちら

ライター/高本亜紀 撮影/越川麻希(CUBISM)
企画・編集/山際なぎさ

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