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カメラ愛を語る〜田津原理音・後編〜

ファインダーを覗く時だけはお笑い芸人である自分から少し離れ、カメラに惜しみない愛を注ぐピン芸人・田津原理音。
後半では、大阪にある堺・泉北臨海工業地帯での撮影の模様を。秋から冬へ移り変わるこの時期は、空気が乾燥しているため夜景が澄み切って見え、美しくカメラに収まるという。そんな絶好のシチュエーションの中、ラニーノーズ・山田をモデルにシャッターを切りまくった様子を伝える。

以前、三重県の四日市まで工場夜景を撮りに行った時は、ほんまに夜景だけを撮影したから、「いつか工場夜景と人を撮ってみたい」と思ってたんです。「きっとめちゃくちゃかっこよくなるやろうな」って。
だから、今回は山田くんと工場夜景を撮ることができて満足です。

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それに、見ましたか? 山田くんの表情! ちゃんと顔を作ってくれてるでしょう? シャッターを切るごとに、顔つきが変わるでしょう? そのうえ山田くんは、その場に座っているだけで雰囲気があるんです。やっぱりスタイルがいいからでしょうね。物憂げな感じも出てましたね。心配事が多いんかな。だから食が細くて、体も細いんかなって思いました。
今日は120点の表情を叩き出してくれました。さすが僕と友だちをやってるだけある。僕がどう撮りたいか、わかってくれてる。“山田くん様様”です。

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船上から工場夜景を見たら、黒い海面に工場のライトが反射してきれいやし、工場夜景と相まってめちゃくちゃかっこよかったです。
でも、やっぱり船上での夜景撮影は難しかったですよ。「EOS R」(キヤノン)とフィルムカメラのふたつで撮影しましたが、周囲が暗いままで撮ると、どうしてもブレやすくなるんです。船上に照明を立てられるような場所はないし、ストロボを使える状況じゃないから、たぶんブレてる写真も多いと思いますよ。

もしかしたら1枚も撮れてない可能性もあります。デジタルカメラなら、撮影した写真がその場で確認できるけど、小さい画面でしか見られないからピントが合っているようで合ってなかったりするんですよね。
パソコンで編集する時になって、全然ピントが合ってないやんとか、山田くんが目をつぶってるとかに気づくっていうこともけっこうあるからドキドキします。

でも、そのブレも“味”ってとらえてもらえたら。今なら、失敗写真でも「なんか、エモい」って感じてくれるような流行りもあるし、そっちに振り切りたいですね。カッチリきれいに撮るだけがすべてじゃない。

——念願の、山田と工場夜景の撮影を終えて興奮冷めやらぬ様子の田津原。そんな彼に、カメラにまつわる今後の野望を聞いてみた。

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カメラって、「うまくなると、いい写真が撮れなくなる」って言われているんですよ。だから、本当に有名なフォトグラファーの方って、一度うまさを捨てたくて、捨てるんですって。
写真って、実は理論立てて撮るものなんです。ポスターの写真や商業写真って、ルールがめちゃくちゃ多いんですよ。だから、それに則って撮るとすごくきれいな写真が撮れるんですけど、一方でオリジナリティーがなくなってしまうんですって。
うまくなればなるほど、オリジナリティーのある写真が撮れなくなる。だから、写真がヘタになる、と。
うまくなればなるほどヘタになる……そういう矛盾が発生するらしいんですよ。
僕としては、一度そこまで到達してみたいですね。
それが写真のおもしろさでもあると思うから。

そして将来的には、山田くんは海外でもバンド活動(Runny Noize)をしてみたいと言ってるので、カメラマンとしてライブに同行したいですよね。もしも叶うなら、ワールドツアーで! そのためにも山田くんには音楽もがんばってもらいたいですね。

——そんな田津原の「専属モデル」、ラニーノーズ・山田にも今回の感想や、田津原のカメラ愛に感じることを尋ねてみた。

理音は最近写真展をしたんですけど、(『芸人が撮る芸人展』)、ほんまに僕ばっかりでした。それはうれしいことですよ。やっぱり撮ってもらうのは気持ちいいです。だから、理音みたいに芸人で「撮るほうが好き」っていう人は珍しいと思いますね。

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それにしても工場夜景、かっこよかったですね〜。今回、僕としては、理音からポーズのリクエストがあんまりなかったんで不安やったんですけど、「リクエストがないっていうことは、それでいいっていうことかな」と思って撮られてました。理音は「顔を作ってくれてる」と言ってましたけど、カメラを向けられたら表情を作ってしまうのって職業病かな?というか、カメラマンの理音がよさを引き出してくれてるんだと僕は思ってます。

「カメラの話になったら一切ボケない」とも言ってましたけど、僕はそれでいいと思いますけどね。僕だってバンドやってるけど、一切おふざけナシですし。もう、とことん行き切ったらいいと思いますね。

田津原理音 プロフィール
ピン芸人。NSC35期。
大阪市24区住みます芸人(生野区担当)。
特技はカメラ、ポップなイラストを描くこと、ムーンウォーク、モノマネ、大乱闘スマッシュブラザーズ64。
■ラニーノーズ プロフィール
山田健人洲崎貴郁のコンビ。
2012年4月1日結成。NSC35期。
山田の特技はギター、フリースタイルラップ、洲崎の特技はギター、弾き語り、英語、イラスト。
2019年、『歌ネタ王決定戦2019』優勝
Runny Noize(ラニーノイズ)として音楽活動もしている。

田津原理音INFO

ラニーノーズINFO


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取材・構成/中野純子
写真/田津原理音

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