タロットカード愛を語る〜Dr.ハインリッヒ彩・後編〜

双子の姉、彩と妹の幸による漫才コンビ、Dr.ハインリッヒ。
宇宙の法則からなる高波動の漫才は、見る者を異空間へといざない、癖になる後味と摩訶不思議な余韻を残す。
タロット占いをしていることは公言していなかった彩。
YouTube配信が決まったのは“高波動”の賜物だったと話す。（後編）

―ところで、普段から波動を高めるためのルーティーンはあるのだろうか。

瞑想がいいですね。マインドフルネスです。マジで無になるものが好きで、何も考えないようにしていますね。そうすると、ふわっと落ち着くんですよ。

頭の中って一日中、何か考えているじゃないですか。結構忙しいから、何も考えなくする時間を設けています。それは寝る前が一番やりやすいですね。寝る前か、朝起きたとき。本当に頭の中がクリアになります。世界がパッと良くなるとか、そういうものではないのですが、しょうもないことで感情が揺れないというか、感情が定まります。

そうすると、自分がいつでも穏やかな波動になるので、周りの人も穏やかになる。人は写し鏡とよく言うじゃないですか。自分の出す波動で変な奴に出くわすこともなくなるというか、我ながら良いことだと思います。

―そうして波動にたどり着いた理由とは。

自己否定が強かったんですよ。しかも、すぐに怒る子で。お笑いも大して良くない、プライベートも良くないという期間が結構長かったから、生きていて何も楽しくないというか、辛いだけだという時期があって。

これは何なんやろうと思って、たどり着いたのが波動の法則だったんです。「あ、波動やったんや」って。波動の法則を知って、お？　と思って。これは波動をやるしかないと思って始めました。

分かったのは、まず、自分自身が嫌な波動を発していたとことに気づいてなかったこと。でも、劇場でも、賞レースでも、全く結果が出えへんのは、自分の潜在意識が一番自分を認めていなかったんだなと。顕在意識ではそんなことは考えていないんですよね。でもそれがこの結果なんだろうなぁと思って。

ネタは幸さんが作っているので、2人ともがそうやったんかなと思って過去の台本を掘り起こしてみると、そんなわけないぞと。結構立派な事をやってきたんだなって。ネタを見返して、これは素晴らしいぞと。それで、「自分を認めて、許可すること」という境地にいたりました。ちゃんと自分で自分を認める。唯一無二のことをやってきたぞと、しっかり受け止めたということです。

―潜在意識で自己否定していたと気づいた彩は、それが人間関係をはじめとする日常生活の生きづらさにつながっていたことを悟った。そこからDr.ハインリッヒのトークライブでもたびたび高波動を話題に上げ、迷える子羊には「自分を大切にすること」と説いている。

人間関係で一番やってほしいのは、自分を大切にすることです。どうやって自分を大切にするか。飲み物を選ぶときでも一番飲みたいものを選ぶ。そこに水があるから、安いからじゃなくて、今、本当に飲みたいものは何かを真剣に考えて飲む。それを意識的にやると、癖がついてきて、ものを選ぶときも惰性で選ばなくなるんです。

そうすると、だんだん波動が良くなる。ほんまにコーラを飲みたいときは、コーラを飲む。ダイエット中でも、飲んですぐ太るわけちゃうから。飲んだことを後悔してしまう人がいるんですけど、それが一番だめです。自己否定をとにかくやめることなんですね。コーラ飲んだ自分はダメだって自分で自分を罰することが一番、ダメです。コーラを飲んでも、おいしかった！　と思うことが大切です。

細やかなことですが、こういう実践をすることで波動が上がるんですよ。タロットも、波動が呼び込んできたものなので、結局、全部つながっているんですよね。

―占い動画で印象に残っている一言は、Dr.ハインリッヒの2人が「カードは何でも教えてくれる」と話していることだ。過去に、どんなことを教えてもらったのだろうか。

何回か吉本を辞めようと思ったことがありまして。それで、タロットでそのことについて聞いたことがあるんですけど、聞くたびに同じカードが出るんです。

「今、辞める時期じゃない」と。自分で占ってもそうやし、プロの占い師の方にも全員、「辞めるな」と言われて。その時に辞めたらあかん理由をはっきりとは教えてくれないのですが、でも、「きっと、あるときに理由が分かるよ」って。

―そうしているうちにタロット占いを使った新企画も始まった。これはDr.ハインリッヒの新たなフェーズと見てよいのだろうか。

とはいえ、タロット占いを生かして……というつもりは特にありません。占い芸人になるつもりはなくて、芸人としてやっていきたいです。我々の占いを見て、笑ってくれはったらそれでいいかなって思います。

―最後に、よしもと漫才劇場で占ってみたい芸人を聞いた。

仲のいい芸人よりも、『Kakeru翔LIVE』とかに出ているめちゃくちゃ若い子、全然しゃべったことない子を占ってみたいです。その方が気合いが入るというか、ちゃんと見てあげようという気がします。その子のことも知りたいですし。前情報がない方が占いやすいというのもありますね。そういうことも含めて、カードの方から面白くしてくれると思います。

■Dr.ハインリッヒ　プロフィール
山内幸と山内彩のコンビ。2004年結成。
幸の趣味は美術館賞。彩の趣味はホルン。

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よしもと漫才劇場

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ライター／岩本和子
撮影／月刊芸人編集部