『ちょっと考え事してました』ヒューマン中村
月刊芸人さんの連載「ちょっと考え事してました。」も、早いもので3か月目です。
この3ヶ月の間にも、ちょっとどうでも良いことを考えてしまう時がありました。
その時に考えたことです。
今回は、言葉の意味について考えてみました。
「一石二鳥」という言葉がありますよね。
辞書で調べると、
「一つの行為から二つの利益を得ること」
とあります。
その由来は、一つの石で、二羽の鳥を落としたことからきてます。
なるほど。
たしかに、一つの石で二羽の鳥を落とすのはラッキーです。
ただ、これ、人間目線だからプラスですけど、鳥目線で考えてみてください。
二羽目、鈍臭くない？
一羽目の鳥との距離によるけども、二羽目、油断しすぎじゃない？
この石を投げた人も、もともと一羽だけ落とすつもりで投げたと思うんです。
そしたら、ラッキーなことに近くに鈍臭い二羽目がいたと。
ただの面白ハプニング映像ですし、ただの350万回再生です。
絶対二羽目の方が変なリアクションしてるでしょうし。
スローで見てみたい。
なので、鳥界では、一石二鳥は
「鈍臭い」とか「恥ずかしい」という意味になると思います。
子供がよそ見しながら飛んでたら、
「あんた、そんなんしてたら一石二鳥なるで！」
みたいにオカン鳥がいうような言葉なんじゃないかと思います。
また、受験生なのにゲームしてても、オカン鳥に
「あんた、そんなんしてたら一石二鳥なんで！」
と怒られます。
この場合の一石二鳥は、
『滑り止めも落ちること』
です。
かなりキツイ状態です。
さらに、息子鳥と一緒にそのゲームを何となく見てたオトン鳥も
「お父さんも、早くお風呂入って！」
と、一緒にいただけなのに怒られるという綺麗な一石二鳥が生まれたりもします。
また、一石二鳥は「同じタイミングで落とされる」ことから、『最後まで添い遂げる』という意味にもなり得そうです。
プロポーズの際に
「僕は君と一石二鳥になりたい。僕と結婚してください。」
みたいな感じで使うやつもいると思います。
が、その答えとして
「いや、無理無理。いつから付き合ってることなってんの？ てか彼氏いるし」
とか言われたりしたら、
付き合ってなかった＋彼氏いた
の悲しい一石二鳥が成立してしまう恐れもあります。
そして、知り合いの鳥たちに
「お前、一石二鳥したらしいやん」
といじられ、さらに
「受験でも一石二鳥やったもんな」
と、過去の滑り止めも落ちた件をいじられたりもします。
一石二鳥は、鳥からすると言われたくない恥ずかしい言葉なんだろうな、と思います。
他にも動物目線になると意味が変わる言葉として、
「えびで鯛を釣る」
これは、少ない元手で大きな利益を得る、という意味ですが、鯛目線で考えると
「目先のエビに目がくらんで失敗する」
という意味になります。
幼なじみでずっと兄妹みたいに一緒にいて、喧嘩もするけどずっと仲良くて、いずれは、この女子鯛と結婚するんかなぁ、なんて思ってたのに、酔った勢いで、年上エロ鯛に手を出してしまって、幼なじみ鯛とは疎遠になり、さらにエロ鯛にも逃げられて、一人で明け方に安い酒飲みながら
「目先のエビに釣られてもうたなぁ、、」
と言いながら顔ぐしゃぐしゃにして泣いたりとか鯛界ではありそうです。
そこにたまたま鳥が通りがかって、その話を聞いた鳥が
「そら、君えらい一石二鳥なってもたなぁ」
と同情してくれたり。
「豚もおだてりゃ木に登る」
意味は、「おだてられて気をよくしたら、能力以上のことをやり遂げることがある」ですが、これも豚目線で考えれば
「木に登るまで帰れない空気だったから」
なんじゃないかと。
何回、「いや、登るん無理ですって！」と断っても、みんな目バキバキで
「豚さんの、ちょっといいトコ見てみたい！」
の一点張りで、帰らせてくれなさそうだから、しゃあなしで、ちょっとだけ木に足をかけて登ったフリをしただけなんじゃないかと。
なので、豚界では、
「ダルい集まり」
という意味になります。
「お前、昨日帰って正解やったわ。最後おだて木登りになって最悪やったもん！」
と、同僚と愚痴る時に使われます。
一年目、二年目の新人豚は、おだて木登りの餌食になりやすいので、密かに木に登る練習をしています。
「猫の手も借りたい」
意味は、「非常に忙しくて、働き手が足りない」ですが、猫目線からしてみると
「また言うてきた」
ですよね。
こう言うタイプは一度や二度ではなく、定期的に「猫の手貸してくれん？」と言ってきますし、猫からしたら、
「お盆近づいてきたから、そろそろ言ってきそうやな」
くらいには予測してますし、そいつからの電話は一回スルーします。
そして、猫も断りきれないんですよね。
毎回折れて、
「わかったわかった。俺が車出したら良いんやろ？」と言っちゃいます。
そのくせ、猫が頼んでも、そいつは一個も手伝いません。
そして、大概猫の手を借りるやつは、飲み会で豚をおだてます。それで
「これ見て、こないだ豚に木登らせてん」
といって動画を見せてきます。
嫌な奴なのに、猫は優しいので手伝ってあげちゃうんですよね。
猫はバーベキューに行っても自分はあまり食べずに、野菜を切ったり、「焼き」に徹したりするタイプです。
健気です。
なんか、言葉の意味を考えてたら、鳥と鯛と豚と猫に、幸せになって欲しいな、と思いました。
あなたは、どのタイプでしょうか？
空気を読みすぎたり、変に考え込んじゃったりして、しんどくなる時は僕もすごいあります。
そんな時には、いつもこういうくだらない事を考えて現実逃避したりしています。
その逃避先には、地獄の鬼や殺人現場で探偵と思われたくない奴や、滑り止め落ちた鳥達がいて、気付いたら楽しい想像の世界に入り込んで、少しだけ楽になる気がするんです。
これを読んでくれてる方も、しんどいなって時は、あまり深く考えすぎないで、ちょっとどうでも良い事を考えて心を換気しながら過ごしていきましょう。
現実逃避は悪い事じゃない。
では、最終回なのでこの辺で。
3ヶ月間ありがとうございました
■ヒューマン中村 プロフィール
NSC大阪校 25期生
特技は大喜利、高校生クイズ・ロボットコンテストなどの男子学生のモノマネ。
2021年 第六回上方漫才協会大賞 文芸部門賞 受賞
2021年 R-1ぐらんぷりクラシック～集え！歴戦の勇士たち～ 初代MVP(エムブイピン)
ヒューマン中村INFO
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著者／ヒューマン中村
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