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他劇団公演観劇記 西条組第四回公演リーディングコメディ「恋する幽霊」@内幸町ホール

前書き

今回は、ねこのバロン常連の長沢さん(さんちゃん)が出演する西条組第四回公演リーディングコメディ「恋する幽霊」です。

西条組のことは、ほとんど存じ上げません。フライヤーに書かれていますので、そちらを参照してください。

色んな演劇公演の案内を見ると、朗読、朗読劇、リーディングという言葉が使われていることがあります。特にコロナ禍以降に増えたような印象です。数えたわけではありません。感覚的なものです。

正直言ってこの違いをうまく説明できません。
「脚本に書かれた台詞は暗記」しているか、「脚本を手にして台詞やストーリー展開を読む」といる点が大きく違います。人物の感情の移ろいは表現されていますが、動きという点では脚本を持っているという制約もあり、最小限であることが特徴です。

「朗読」はひとりの演者が小説を読むような場合、朗読劇は芝居の脚本に仕立てあげたものを、複数の演者が芝居のように読みながらも演じる、リーディングは朗読劇と似たようなイメージかなと勝手に思っています。違っていたらごめんなさい。

今回の観劇記の「恋する幽霊」は、「リーディング」となっており、複数の演者が脚本を読みながら演じる形式でした。

公演概要

・題目:恋する幽霊
・作・演出:西条 結子
・公演日時:7月22日(月)14:30/19:00
・会場:内幸町ホール
・あらすじ:フライヤーを参照してください。

フライヤー

感想

女性10人、男性1人とリーディングにしては多人数の登場人物が出てきましたが、さんちゃんに聞くと、元々は芝居形式で書かれたのを朗読形式に書き換えたのだそうです。

女性10名のうち6名が、千草屋という老舗料亭の離れに、様々な事情を抱えて成仏できずに住み着く幽霊。
清水邦夫さんの有名な「楽屋」を思い出しました。
残りの女性4名は、実在の人物で、千草屋の女将や女中、廓から逃げ出した遊女です。
唯一の男性はさんちゃんで、売れない絵描きの役で、女将が料亭に飾る絵を描く条件で、離れに住まわせることからお話しが進みます。

私(折笠)は朗読劇には1回だけ、他の劇団で出たことがあります。名作の「夕鶴」でした。
脚本を持って、覚えなくて良い分楽じゃないかという思いを抱えながら臨んだのですが、そんな甘い考えは見事に打ち砕かれた経験をしました。
台詞を覚える位何度も読み込み、その人物の感情の変化や様々な想いを感じ、それを伝えるというのは、朗読、朗読劇、リーディング(便宜的に朗読系)であろうと、脚本を離した芝居(便宜的に非朗読系)であろうと変わりません。

今回、朗読劇を久しぶりに観ました。
舞台装置は無く、その場の雰囲気を伝えるのは衣装だけ。動きもほとんどありません。それでもそこには無い料亭の離れの風景が目の前に見えてくるし、幽霊たちの苦悩、恋仲になっていく幽霊のお頭と絵描きの心の変化を感じることができました。
唯一の武器である言葉だけで伝える朗読劇の素晴らしさを再認識した思いがしました。
子どもたちが、お母さんやお父さんに本を読んでもらうと、目を輝かせて、何回も読ませることがあります。子どもたちも目一杯想像してその本の世界に入り込んでいるんでしょう。
どうも自分の心の中では、朗読系に対して線引きをしているような気がします。しかし、言葉を通じて想いや世界を伝えるということは、朗読系であろうと、非朗読系であろうと違いは無いという認識を新たにしました。

また、さんちゃんに聞くと、初めて舞台に立った人がいたとか。とてもそんなふうには見えない堂々としたものでした。

お疲れ様でした。

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