
何かを攻めるときに必要な資金環境について
資金調達という言葉があります。
事業を行っている上で必要となる、資金を何かしらの形で得ることですね。
一番堅実な資金は自己資金と言われるものです。
自分で貯めた資金ですね。
この自己資金はどうやって貯めるのかというと、自分のビジネスを行う上で得た利益になります。財務的には、税引後利益に減価償却費を足し込んだものがその年の余剰資金になります。これを、コツコツと貯めることで何かやる場合の自己資金に当てることができますね。
ちなみに、ちょっと横道にそれますが、損益計算書(P/L)を見ると、売上総利益、営業利益、経常利益、税引き前純利益、税引き後純利益と利益は5種類あります。
このうち、事業の成果として判断するのは、営業利益か経常利益が一般的です。というのは、営業利益は、売上ー原価ー販管費の残りで、事業本体で得た利益なのでここを良くすることが一番重要になります。
ただ、更に経常利益というのが見えます。この間にサンドイッチされているのが、営業外利益と営業外費用です。この部分に影響を与えるのは、融資を受けている場合の支払利息や海外取引を行っている場合の為替損益ですね。なので、そちらのウェイトが大きい場合は経常利益で判断した方がいいと思います。ただ、営業外には補助金・助成金で得たお金なども含まれてくるので、その場合はちょっと注意が必要ですね。
さて、自己資金をコツコツとと書きましたが、ここが溜まりやすい業種ならそれほど苦労しません。常に余力があるからです。しかし、ここが溜まりやすいケースはそれほど多くなく、むしろ自己資金がマイナスへ近づいていく方が多いのが現実ではないでしょうか?それだけ経営って難しいということですね。
では、どうしたらいいのかというときに、外部から資金を調達することになります。このとき、資金の使い道次第で事業の方向性が大きく変わると感じています。というのは、この資金を守りに使うのか攻めに使うのかという点ですね。
相談窓口を担当していて一番多いのはやはり守りのための資金調達になります。日々の事業を回す上で運転資金が足りないので調達したいという場合ですね。この場合は、調達した資金分の利益を今後出し続けられるのかがポイントになります。運転資金というのは、正常な場合は、通常の事業の中で、資金が不足することなく循環していくはずのものです。そこが必要となるケースは、買掛金と売掛金の入出金タイミングがずれやすいアパレルなどの業種で、一時的に大きな資金が必要となる場合や、事業拡大する場合の最初に大きく資金がかかる場合です。前者の場合は、一時的なものですが、後者の場合はどのくらい大きくかかるでその性格は変わってきます。ただ、通常の運転資金であればそこまで長期間の借入期間は必要としないのが本来なのです。なので、現状、金融機関から融資を受ける場合に5年とか7年での借入となるのは、長期的に動きにくくなる可能性があります。
一方で攻めの為の資金調達は、新規事業への投資になりますね。これ、実は今とても求められてきていると思います。というのも、日本の社会構造が大きく変わり始めているので、事業によってはその事業自体の需要が大きく減っていってしまうからです。その感覚を一番持っているのは経営者の方々だと思います。これを「アニマルスピリッツ」(動物的な感性)というのですが、結構これは当たると実際に支援の場を見ていて感じています。これが強い方は何度も境地に陥っても不思議と復活していきます。長年の感がそうさせるのでしょうかね。
さて、この攻めの資金調達は、その事業者が自身の事業を次のステップへ誘う為の資金になります。この攻めの為の資金を自己資金でなんとかされる方がいらっしゃいますが、既存事業が相当成功しているならばあまりの資金を投入すれば事足りるものの、そういうケースは少なく、どうしても時間がかかってしまいます。
ただ、世の中の流れは年々スピード感を増しているので、ここは、外部資金を活用することも必要になってきます。特に、取り組もうとしているアイデアで先行するには必要になります。これについては、正直、日本の金融機関はまだまだスピードについていきていない部分がありますね。銀行が子会社でVCなどを立ち上げている背景は、そういったところへの対応していくためという色合いが強いと感じています。