
バーチャルオフィスの活用と盲点
最近、創業される事業のなかでよく耳にするのが事業場所としてバーチャルオフィスを利用しますということ。特に、小さく事業を始める場合は、わざわざ必要のない事務所を構えて高い家賃を張るよりも、ほぼ住所だけで郵便物を定期的に撮りにいくだけで済むバーチャルオフィスはとっても使い勝手の良いものになっています。
また、ITをフル活用した事業でも、PCが1台あればほぼそれでビジネスを始めることができるので、なおさら実在のオフィスは不要になりますね。さらに、バーチャルオフィスだと、住む場所に依存しないで済むので少ない資金でも都心に事業所を構えることも可能です。何よりも、本来なら自宅で事業をやりたいけれど法人住所として自宅住所は使いにくいもの。そういう時にもバーチャルオフィスで住所を借りられれば安心というわけです。
そういういうこともあり、人気なバーチャルオフィスを、まだまだ資金繰りの乏しい初期の段階で活用するのは、とても有効だと思います。
ちなみに、我々コンサルタント業もでもそんなバーチャルオフィス利用している人は多くいます。企業経営コンサルタントの場合、こちらのオフィスへ人を招く機会はあまりなく、基本的には先方企業へ訪問することがほとんどというのも、その理由のような気がします。特に、企業の機密情報を扱う機会も多いので相手先企業へ訪問してそこで確認させてもらうということがあります。(もっとも、この辺りはIT導入が進むと変わるのでしょうが)
そんな、便利なバーチャルオフィスですが、意外な盲点があるのをご存知ですか?それが、融資を受ける場合なんです。
融資を受ける場合には、金融機関に申し込みます。この金融機関の種類によってはバーチャルオフィスでは融資を引き受けられないという場合が存在します。特に、信用金庫では、都心の銀行でもバーチャルオフィスだと融資できないと断られるケースが多々あります。(そもそも、口座開設を拒否されることも・・)
これは、なぜかと言いますと、信用金庫は支店ごとにその担当地区がしっかり決まっていて、その地区で実際に事業をしている事業者に対してサービスを提供することを目的としているからです。事業用口座を開設する場合に、実在確認をほぼされます。銀行の担当者がその場所で実際に事業を行っているか訪問して確認するわけですね。この時にバーチャルオフィスだと実態がないと見做されて拒否されてしまうわけです。これは、信用金庫という特性上仕方がないとも言えますね。(信用金庫だけでなく、地方銀行でも同様の傾向な場合があります)
バーチャルオフィスは創業時に活用されるものなので、活用し始めて融資申し込みに行ったら金融機関からきちんとオフィスを借りてくださいと言われてオフィスを借りたケースもありました。
ちなみに、融資という観点で、保証協会自体はバーチャルオフィスだからNGにはならないと言われています。というわけで、完全に金融機関側のポリシーの問題と思った方がいいですね。一方で、メガバンクをはじめとする都市銀行はバーチャルオフィスでもOKなケースがあるそうです。IT化を進めていることもあってこの辺りへの理解があるという見方ができるのかもしれません。ただ、メガバンクから融資を受ける場合はあり程度の事業規模が必要と言われるケースもありますし、地銀、信金だと事業支援のためのきめ細かなサポートがある傾向が強いので、一概にどちらがいいとも言えませんね。
もちろん、事業規模に応じてオフィスはあった方がいいと思います。これは、会社の信頼の証にもなりますし、人を会社に招いて商談という機会も増えていくからですね。相手先も、会社を訪問する時にその企業の値踏みをすることもあります。
徐々にオフィスを大きくしていくというのであれば、バーチャルオフィス→シェアオフィス→賃貸というのもありますが、その都度会社の住所を変える手間は増えますね。「企業の値踏み」とは書きましたが、業種によってはITなどでインキュベーション施設などのシェアオフィスに入っていることがステータスになったりもするので一概には言えませんけどね。