
M&Aという選択肢
M&Aと聞くと、大手企業同士の売却と頭に浮かびやすいのですが、最近多くなってきているのが中小企業のM&Aです。
日本の企業の99.7%は中小企業という話は有名ですが、それだけ多くの事業者が後継者不足で悩んでいる現状があります。
ちなみに、このほとんどが中小企業というのは当たり前の話で、1人でも中小企業となるので、事業者数ではほとんどが中小企業に当たってしまいます。これ、海外でも同様な傾向にあります。これを、従業員の割合で見てみると7割となっていますが、高齢化と新入社員の就職先としては中小企業以外を選ぶ傾向が強まっているので、全体の中小企業の労働人口が減少傾向にあるといえます。
こういった背景もあり、中小企業の後継者問題は深刻になっているわけです。普段関わらない人にとってはピンとこないかもしれませんが、例えば、製造業では日本の地場の中小企業(いわゆる町工場)が担っていた部分は大きく、現在も70歳を超えても続けている会社は多くあります。中には、そこでしかできない技術があり、辞めたら国内で生産ができなくなるというものも多く存在するのです。
一方で、コロナで生産量が激減したことを機に廃業してしまった工場も多くあります。辞めるに辞められずという状況だったのがちょうどいいきっかけになったケースもある様です。最近耳にするのは、アパレル業では国内工場がコロナによる減産を機に廃業してしまい、頼める工場がなくなってしまったという話です。なので、注文は受けるけれど入荷がかなり先という状況になってしまいます。これはアパレルだけではなく多くの分野で発生していることですね。
というわけで、最近はモノを買うのにも「入荷未定」という言葉をよく聞く様になったと思います。
その一端が国内生産ができないというところに関係しているわけです。
これは、製造業を例にしましたが、今は業種関わらず高齢化で多くの事業者が廃業しかかっている状況です。これらの会社の中には、経営状況が良いものもたくさんあり、単に後継者がいないがために廃業となる企業がたくさん含まれています。
一番いいのは、企業内に後継者がいてその方への事業承継を進めることです。ただ、この事業承継も1〜2年で済むものではありません。というのも経営者が持つノウハウからネットワークまで可能な限り多くを引き継がなければならないからです。(中には、刷新して成功するケースもありますが稀だと思います)
そのためには、社長交代前に5年、交代後に5年のあわせて10年ぐらいかかるのが一般的と言われています。また、経営者には誰でもなれるものではないのと、誰でもなりたいものでもありません。社長が後継者候補と思っていたけれど、後継者候補に話したところ、断られたというケースも多く聞きます。
後継者については、家族経営の場合はその子息、社内の有力人材、取引先の関係者が多いみたいです。
もっとも、後継者候補がいればいいのですが、それすらいない場合もあります。
そういう時に選択できるもう一つの方法が、M&Aになるわけです。いわゆる売却ですね。このM&Aが最近増えてきています。わたしも、支援時に50代後半ぐらいからの経営者の方と話している時に事業承継の話題になることが多いのですが、M&Aを考えているという声を聞く様になってきました。
M&A自体は簡単なものではなく、買い手を探さなければいけなく、このための時間も多くかかります。なので、M&A専門の業者や機関に頼るケースがほとんどです。この場合、まず最初に気にしなければいけないのが、会社の価値がどのくらいかということです。なので、自社の価値をまずはきちんと把握しておくことが大切になりますね。
と、今日は、M&Aの導入についてです。(気が向けば続きを書きます)