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中国四千年の叡智を学べる「成語」

前回「あなたの中国語を知的でクールにする方法」で成語を学ぶ大切さをご紹介しました。記事内でも触れた通り、中国では小学生から多くの成語を学ぶので、小学生向け国語の教科書は中国語を学ぶ外国人にとってもよい教材となります。(参考:朗読のススメ

教科書では成語の由来となった歴史的な出来事や故事が描かれますが、戦争や政治的な争いの話も多く、中には読んでいて気が滅入るような内容のものもあります。以下に教科書を翻訳したものを掲載するのでちょっと見てみてください。

口蜜腹剑(口で甘いことを言い腹では剣を持つ)

李林甫は唐の玄宗時代に宰相の地位にあった人です。弁が立ち、器用な人でしたが、心根はそれはひどいものでした。才能ある人を妬み、自分よりも名声が高い人や勢いがある人を常に手段を選ばず排除しました。玄宗に対しては媚びへつらう「才能」を発揮し、全力で持ち上げました。また、あの手この手で玄宗が寵愛する妃や腹心たちに取り入り、彼らの支持を得て自らの地位を維持しました。

李林甫は人と接する時、いつも柔和で親しみを込めた様子で、善意に満ちたことを言います。ところが実際の彼の性格はとても陰険、狡猾で、常に人を陥れていました。

例えば、こんなことがありました。彼はある日、同僚の李適之に真面目な面持ちで「華山に大量の金が出たので、採掘すれば国家の財政はとても潤うでしょうね。でも、残念ながら皇帝はまだこのことをご存知ないのですよ。」と言いました。李適之はこれを本当のことだと思い、すぐ玄宗に採掘するよう勧めました。玄宗は大喜びで李林甫に相談しましたが、彼はなんとこう言ったのです。「その件はすでに知っていました。しかしながら華山は風水的に帝王の気が集中している場所です。どうしてむやみに採掘などできましょう。もし、採掘を勧める者があるとしたら、それは、おそらく何かよくない企みあってのことかもしれません。私は何度も申し上げようと思いながら、どうしても口にはできませんでしたので……」玄宗は彼の話を聞いていたく感動し、なんと国を愛する忠臣だろうと思い込み、一方進言をした李適之のことは信頼できなくなり、徐々に遠ざけるようになりました。

このようにして、李林甫はその「才能」で十数年間宰相を勤めたのでした。

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どうですか?悪が悪のまま生き延び、陥れられた者はそのまま救いなし、です。そしてこの話から成語が生まれ、脈々と受け継がれ、小学生でそれを習うのです。ちょっと大げさかもしれませんが、こうやって中国の子供達は現実の厳しさを成語から学んでいくのかな、と思ったりもしました。

成語の学習は中国の歴史の奥深さ知り、中国人のメンタリティを知る上でもやはり必須ですね。がんばって勉強していきましょう。

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