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パリ・オペラ座の日々1993~1994:10月23日 イタリア・ローマ②


10月23日

ホテルのベッドが広々していてよく眠れた。まずは朝イチでヴァティカン美術館へ。14時閉館なのでとにかく急いで観覧。ラオコーン、アポロン、ヴェルヴェデーレなど石膏像のオリジナルを見て大感動。でも広すぎて、展示物が多すぎてだんだん頭がクラクラしてきた。延々と続くタピストリーの展示とかはほぼ素通りでとにかく歩く!

システィーナ礼拝堂はゆっくり観覧できた。「最後の審判」は修復中でポスターで代用されてた(笑) でも天地創造はじっくり、ゆっくり首が痛くなるまで眺めることができた。

ずいぶんがんばって展示を周ったつもりだったけど、閉館時間になって追い立てられるように出口へと向かう途中に、古代ギリシアの有名彫刻を集めたエリアを発見。でも時すでに遅しでそのエリアへは立ち入りできず😿 遠くから写真だけ撮って退散。。

ピザを食べようとガイドブック掲載のお店まで、メトロA・Bを乗り継いで向かうが、それほど美味しいというほどでもなくてガッカリ。フォロローマノ、マルチェロ劇場、真実の口の教会など巡り、トラステベレ地区のカフェで一服。ナヴォーナ広場でショッピングをしていたら雨が本降りになった。

夜はレストランを求めて再度トラステベレまで行き、結局日本人シェフの居るお店で食べた。東京にも支店があるそう。美味しかったけど値段も高かった。

地下鉄 200L
ヴァティカン美術館 2400L
地下鉄 200L
観光地スライド 3600L
昼食 2900L
カフェ 800L
バス 240L
コーラ 130L
夕食 7600L

 

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あまりにも見どころが多すぎるローマですが、石膏屋の息子として生まれ育った身ですからヴァティカン美術館を訪れないわけにはいきません。閉館時間が14時(!?)と早いこともあり、この日は朝一番のオープンと同時に美術館を訪れました。


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ヴァティカン市国の地図。実際に観光客が立ち入れるエリアは、ヴァティカン美術館と、サン・ピエトロ大聖堂に限られています。



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とにかく広い。。そして古代ローマ彫刻が延々と続く。この当時はそれほど混んでなかったです。たくさん観光客が居るんですけど、なにしろ内部が広いので…

フィレンツェのウフィッツィ美術館でもそうだったのですが、曲がりなりにも古代彫刻のコピーを生業とする家庭に生まれ育った僕にとっては、この情報量は脳内が完全にオーバーフローでした。ひとつひとつの彫像についてじっくり観察したくなってしまうし、石膏像として知っている作品との共通項なんかが次々頭に浮かんできて困りました。そんな風に見ていたのでは、一日でこの広大な美術館の全容を体感するなんて到底不可能なんですけど…。


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こういう密度で並んでるんで、一日で鑑賞するのは到底不可能なんです。


1時間くらい丁寧に鑑賞しつつ進みましたが、だんだん焦ってきました。これじゃとても閉館の14時までに全部周れない。


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限られたフィルムで写真撮ってるのに、なぜトイレ表示(笑) そして階段注意のピクトグラム(笑)



ということで少し順路をショートカットしたりして、自分にとって最重要であろう「ベルベデーレの中庭」へ。


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なんたってここは石膏像としてもお馴染みの有名彫刻が揃い踏みなんです。


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ヴェルヴェデーレのアポロン

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ヴェルヴェデーレのトルソ


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そしてミケランジェロが発掘に立ち会い、大絶賛したというラオコーンの群像

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僕の仕事で作っているのは、中心人物の神官ラオコーンの上半身部分だけ


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時代は古代ギリシャ・ローマとはずいぶん離れますが、19世紀の新古典主義時代の彫刻家アントニオ・カノーヴァ作のペルセウス像


といった具合に、このヴェルヴェデーレの中庭周辺には、実家の仕事でよく知っている彫刻のオリジナル作品がずらりと並んでいました。当時はまだ本格的に石膏像の仕事を始める前ですから、西洋彫刻についてそれほど詳しくありませんでしたが、工房でよく見ていた石膏像の「本物」を目の当たりにしてすごく興奮したことを覚えています。


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チグリス川を擬人化した彫像。こちらの半面も僕の工房では定番商品です。


その後も延々と歩き続けて、収蔵物の多さにだんだん腹が立ってきた頃に閉館時間が…

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今は少し良くなったかもしれませんが、14時閉館だったらイタリアの係員は14時に仕事完了を目指して動き始めます。13時半くらいから既に「客の追い込み」が始まっていて、次々とエリアが封鎖されて強制的に出口に向かうようなフォーメーションとなります。まるで牧羊犬に追い立てられる羊の群れのよう(笑) 


最後の出口手前のエリアにこの光景が見えて、ああああああああ!と

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これ絶対見なきゃいけないやつ!!!

どういう分類で構成されていたのか不明瞭なんですが、ここは明らかに古代ギリシア関連の彫像、断片を集めた部屋ですね。ここは絶対みなきゃいけない部屋!…なのに、もうすでにロープが張られていて観覧できません。仕方なく遠くから何枚かシャッターを切って泣く泣く退散(´;ω;`)ウッ… 

中央に見えているのは「アテナとマルシュアス」の像。アテナの捨てた笛を、サテュロスのマルシュアスが拾って…というギリシア神話では有名なエピソードです。

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あーあ。。。


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システィーナ礼拝堂ももちろん観ました。それほど混んでなくて、のんびり天井を見上げて。まるで人物が降ってきそうなほどのリアリティ。

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残念ながら最後の審判は大規模修復中で完全に幕に覆われていました。でも天井画だけで十分満足。石膏屋の息子でしたから、ミケランジェロはやはり彫刻だろう、という妙な先入観がありました。それにしても壮大な天地創造をじっと眺めていると、天才、巨人という賛辞が自然と胸に湧き上がってきました。


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夕飯を食べたのはここだったのかな…? 完璧な仕上がりの名刺ですね(笑)

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