戦後のピアノ協奏曲

 第二次世界大戦後にもピアノ協奏曲を書く作曲家はいたが、その目指すところはそれまでの創作とは異なっている。戦後のピアノ協奏曲は、多くの音楽ジャンル同様、解体される運命にあった。もちろん18世紀以来、鍵盤楽器の協奏曲を書く作曲家はつねに、規範からの逸脱を創作のエンジンとしていた。しかし、解体そのものが目的と化したのは、20世紀に特有のことだ。

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