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左右上下隣のことを想う

グロースエンジンの仕事を今はしていますが、
そもそもIT系に興味なかった私。

学生時代は研究室にはじめて入ったコンピュータに近寄りもしなかった。
就職氷河期で何十社も落ちて、苦し紛れに面接で

「研究室にもマックが入りましたし…」
※触ったとは言ってないですが

などという戯言で印刷会社に入り、
入社当時は朝から晩まで製本課で
紙積んだり、折ったり、綴じたりしてました。

高1からずっとデザインの勉強をしてきて
大学も5年かかってやっとでて
ついに社会人だと思ったのに
朝から晩まで工場で肉体労働しながら
それもパートのおばさんにスピードで負ける日々。

やさぐれて門前仲町の飲み屋で同期とくだまいて
二日酔いで遅刻したりしながら日々を過ごしていて
どうにも納得いかなくて、どうしてもデザイン課に移りたくて
工場長に直談判して、むりくりデザイン課に移ったものの
8年もかけて学んできたデザインに関することは
印刷業界の工程や用語がさっぱりわからなくて
MACの電源の入れ方もわからないし
部屋のすみっこで何の役に立たず、
初の大卒女子と嫌味言われながら無能であることに
毎日近所の公園で悔し泣きにあけくれていました。

くやしいくやしいくやしい
どうしてもなんとしても見返したい
屈辱と情けなさで爆発しそうな気持ちを抱えて
仕事に役に立ちそうな本は必死に読んだし
コピー用紙の補充からお茶くみ文具の補充まで
自分でもできることは毎日必死にやって過ごすのが精一杯だったのですが
印刷会社での仕事だけじゃないんだけど
結局どんな仕事でも自分のやってる工程には
必ず前と後ろがあって。

デザインするには
素材が必要だし、原稿が必要だし、構成が必要なんですよね。
写真とるにも、
・撮るもの借りてきて、
・スタイリストつけて
・スタジオ借りて、
・照明あてて、
・カメラマンに撮影させて
・取ったデータもらって、
・補正して、
ようやく素材になる。
それ全部やる人たちがいて、私はそれをデザインデータにするけど
今度は
・校正紙する業者がいて、
・なんなら製版して刷版して刷る人がいて。
・インク調合する人がいて、
・印刷機の調整と
・紙発注する人と…
・もともと私がいた製本課で断裁から
・折から
・綴じる人がいて。
なんなら
・発送の為の梱包
もするわけですよ。

その全行程を私は社内で見てきたし、仕事として作業してきたから
前の人がどういう仕事をするかで、後ろの工程の人がどんな目にあうか
しわ寄せが最終工程に来るから、

自分の工程のアウトプットにどんだけ次の工程への思いやりを乗せられるか
というのが結局自分自身を信じてもらえるようになるかに帰ってくる。

そういうことを学んだよなぁと思う。

私はこの新卒で入った印刷会社の後、流れ流れて
グロースエンジンで仕事するまで15~6社渡り歩く羽目になるんですが(笑)
自分の仕事だけして、あとは業者がやってくれるから的な発注とか
本当にクソ野郎だなと思うし、

お前らみんなハゲてこい!

と怒りに震えていています。
正直、これまでの上司蹴ろうかと思ったことも1度や2度ではない(笑)。
あまりにムカついてエレベーターのボタンを
叩き割ってしまったことすらある(笑)。

社会人なんだから、いろんな理不尽も飲み込んで
うまいことやるのが要領というものなんだろうけど
そんなことより、一人でやる仕事じゃない以上、
自分の渡すものの先にある左右と前後ろの偉くもなんともない
現場の人にどれだけ信頼されるか、
それしかいいアウトプットは生まれないと思っている。

自分を評価してくれるのは、
上司じゃなくてお客さんだし、同僚だし、
関係会社の人なんだと思っている。

あまりにも転社してるので、ジョブホッパーだの長続きしないだの
色々言われてこの年まできたけれど
「入社できない限り辞められないんだよね、会社って」
と言ってやるようにしています(笑)。

転職は何社までとか、何歳までに転職しないととか
あれやこれや言う話はいくらでも転がってるけど
そんな御託より今自分には何ならできると言えるのか
何をしてきたかすらも今後きっとどうでもよくなる。
今何ができるか、そして
その可能性に賭けてみようと思ってもらえる人間が
自分の周りにどれだけ居るか。

あの人はきっと頑張る、嘘はつかない

そう思ってもらえるかどうかだと思うんですよね。
能力で他人と並んだ時、どっちとるかになったら。

だから今転職でどうしようとか
仕事で悩んだりしてる人がいたら
目の前の人の信頼をまずは高めるしかないんじゃないの
という気がしています。

実践経験のない資格なんていくらとっても、
相手は歯牙にもかけてないんだって(笑)。