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【採用責任者は語る vol.3】人事と学生の視点の違い。

次回に引き続き、日産自動車で新卒採用責任者を務め、現在は取締役や役員を指名する委員会を務める東郷さんを質問攻めにしたノンフィクションドキュメンタリーです(笑)。

今回のテーマは、
「日本の学生に言いたいこと」・「人事と学生の視点の違い」

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【大学生は、他国から見たら"立派な大人"】

周:ざっくりとした質問になってしまうのですが、日本の学生に言いたい事・日本の学生にもっと考えて欲しい事はありますか?

東郷:誰かに教わり続けるのは高校生まで。大学生は自分で考えて、行動して、またそこから何か学んで、そうやって社会に出る準備をしておいて欲しいってことかな。実際に会社に入るとそういう毎日の連続だから。まずは色んなことに興味関心や問題意識を持って行動したり、色々な人に会ったりして自分自身で考え続ける。その結果、視野が広がると思う。誰かの意見の受け売りはしちゃダメ。

日本の学生ってなんて言うか、社会に出ていないから学生気分が抜けきっていないけど、他国では「大学生は立派な大人」なんだよ。もっと大学一年生のころから色々なことを考えて、行動して、自分の血肉に変えるなり、自分の視野を広げてほしい。例えば香港の大学生なんかは、多くの学生が休学して1年間企業でインターンをすることが主流になっている。

周:確かに、そこの意識は若干弱いように思われます。

ちなみになんですけど、短い面接時間で自分の意思を持っている学生かどうかって判断できるんですか。

東郷:分かるよ。その学生の考え方は、面接で色々な角度から質問をしていくと分かる。

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【就活は、"想像力を養う場"】

周:さすが、東郷さん、、笑 国内外問わず様々な学生にお会いしている東郷さんにお聞きしたいのですが、就活生に何か言いたいことはありますか。

東郷:就活って社会の変化をどう捉えるか、自分の中で整理をする場だと思うんだよね。今の世の中って、変化があまりにも激しくて、今後何が起きるか誰もわからない。そんな中で就活をする学生は、今その会社が何をやっているかではなくて、今後どうなるかしっかり考えて欲しい。壮大なテーマだけど、就活の数ヶ月であっても十分にできること。色んなニュースにアンテナ張っていると、よく見えてくるよ。

たまに、「CM見てこの車に関わりたいので志望しました!」と言う学生もいるんだけど、それは社会について自分の中で整理することが出来ていない例だね。今自社でやっていることに憧れて入ったとしても、2年後にはそれないかもよ。

数ヶ月って短い期間でもいいから、世の中の変化を見据えて、社会のことを整理する想像力を養って欲しい。その想像力は、これからの社会をリードする若手世代には必ず必要になるものだよ。


【 人事と学生の視点の違い 】


周:お話を聞いていて、平均的な就活生と人事の方が求めるものの間にズレがあるのではないかと考えていました。

つまり、就活生が評価されてると思ってるポイントと、人事が実際に評価してるポイントがズレてる事ってあるんじゃないかな?と思ったりします。お話できる範囲で、人事と学生の視点のズレもお伺いしたいです!

東郷:1個見た残念なケースを挙げると。面接で、「日産さんも燃料電池車売っていますよね!」って言っていた学生がいたんだけど、「いや、売っていないよ。。」って。勘違いで話してしまうケースはなかなか厳しい(笑)。

あとは、情報が偏っているケースも厳しい(涙)。商社やメーカーは、海外でビジネス展開している割合の方が多かったりするから、海外で何が起きているかを見据えて情報収集しておかないと、追いつけないよ。例えば自動車について言えば、自動運転やシェアリングサービスなんかは日本より海外の方が圧倒的に進んでいる。情報収集する時に、海外を含めた市場動向を探っておくことをオススメするよ!

他にも挙げるとすると、経歴をただ並べて話してくるケースも辛い(笑)。

学生:「留学してました」「〜〜の大会で優勝しました」
「研究で論文書きました」「こんな分野で起業してました」

私:「う〜ん。それで? 」ってなっちゃう(笑)

経歴だけただ並べられても、その人の考え方とか優先順位の付け方が見えてこない。そうじゃなくて、その経験の中から、どんな事を自分なりに考えて工夫して、どう行動して、失敗したにしても何を学んで、自分の価値観がどういう風に変わって。っていう話を是非聞きたい。「何が出来る学生か」ではなく「どんな学生か」を知りたい。

他にも、他人と比べて自分が優れているかどうかを気にしているケースはもったいないなーって思う。例えば、体育会系で頑張ってきた学生が「留学も行っていないし、私って不利ですよね‥」って言ってきたこともあったんだけど、もったいない。

他人と比較して考えるんじゃなくて、いかに自分自信が自信のもてるものを引き出せるかが重要。

謙虚すぎて自分の良い所が埋没してしまうケースもあるけど、本当にもったいない。自分史を書くとかして、自分自身で自信の持てる部分を引き出せる取り組みをするべきだと思うなー。


【東郷さん対談まとめ 〜編集後記〜 】

1:「高校4年生、5年生」から抜け出せない日本の大学生
2:自分は、どんな社会を「彫刻」したいか?
3:「他者を恐れる前に、自分の強みを磨け!」

1:「高校4年生、5年生」から抜け出せない日本の大学生

東郷さんは、結構オブラートに言ってたように思いますが、
個人的には本当にその通りだと思います。

就活では、他人の力を借りるべき部分も多々ある一方で、
9割は自分の頭で考えて、行動してナンボの勝負だと思います。

高校と大学の一番の違いは何かといえば、
「受動的な教育課程と、能動的(であるべき筈)な教育課程」にある。

そこから未だに抜け出さずに、高校4年生、5年生をやってる。
自分の頭で考えて、行動しよう。という話を教えて頂きました。


2:自分は、どんな社会を「彫刻」したいか?

ヨーゼフ・ボイスは、「社会彫刻」という概念を提唱しました。

社会彫刻 (Soziale Plastik) 」
あらゆる人間は自らの創造性によって社会の幸福に寄与しうる、すなわち、誰でも未来に向けて社会を彫刻しうるし、しなければならない

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全ての人間が、明日の社会を”彫刻”する主体者である。
だからこそ、社会の諸問題に関して、常に自分の考えを持つ事が大事。

漫画的な世界観ですが、著者がかなり好きな概念なので、少しだけ取り上げさせて頂きました。

3:「他者を恐れる前に、自分の強みを磨け!」

「 Belive in youeself. 」
とも言いますが、他人と自分を比べる前に、自分が他人よりも価値を出せる(潜在的な)分野や項目を必死に探す努力をする事が大事だと思います。

就活の短い期間で、自分の強み自体が形成されるとは思いませんが、自分の属性を理解して、弱みを認知して、戦う土俵をじっくり考える事は、凄く意味のある事だと思います。

***

東郷さんへのインタビュー記事第三弾は、ここで終了です。

次回は、「日本の学生と海外の学生の比較」について話をお伝えします。日本での採用活動だけでなくボスキャリなど海外でも採用活動に携わったことのある東郷さんの話、ぜひ見てみて下さい。


GCS  周毅博

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