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【バーティカルSaaSスタートアップ調査】 2021年7月第3週に調達している世界の注目事例5選!vol.07

皆さん、こんにちは🙇‍♂️
Gazelle Capital アソシエイトの山木です。
今週も海外のバーティカルSaaSスタートアップの中でも個人的に気になったところを5社ピックアップしてご紹介していきます。
もう7本目の記事ということで自分でもびっくりしておりますが、掲載の仕方についての改善点や感想などございましたら、是非コメント欄やTwitter等でご意見ご感想いただけると嬉しいです!

①法的文書を自動的に見直す「Robin AI」

スクリーンショット 2021-07-18 18.49.10

https://www.robinai.co.uk/

設立🏢:2019
拠点🏠:イギリス
調達日🕑:2021/07/12
調達額💰:$3.1M
ラウンド🚉:シード
今回の投資家👤
(リード)Episode 1Black Founders Fund
(その他)Al Giles氏Oliver Burgel氏Paul Massara氏Creative Destruction Lab (CDL)

【事業内容】
法務の中には時間がかかるが重要度の低い、手間を取らせる仕事や反復作業などがあります。
その法務の仕事の自動化を「Robin AI」は実現。これにより企業や法律事務所がコストを最大70%削減しました。またNDA、サプライヤー契約、データ保護契約などの様々な契約を処理する時間を数百時間節約することが可能になりました。
Robin AIのソフトウェアソリューションは、独自の機械学習テクノロジーとヒューマンインテリジェンスの組み合わせを採用し、法務を自動化します。ソフトウェアは即座に情報を読み取り、事前に学習させた契約書のルールと比較、単語レベルでの詳細な修正を行うこともできます。ソフトウェアによって確認された法的文書は、その後弁護士が最終チェック行うため正確性も担保されます。
日本でもリーガルテック業界は注目されており、2023年には市場規模は400億円になると言われています。「Robin AI」と似たAIで契約書をチェックするサービスとして「AI-CON(アイコン)」や「Legal Force」など様々なプロダクトがあります。「Legal Force」は今年4月シリーズCラウンドにおいて総額30億円を調達しています。
リモートワークという新しい働き方により、日本の契約業務の自動化やデジタル化の流れもさらに加速することになるではないでしょうか。

記事リンク:https://www.uktech.news/news/diversifying-tech-london-robin-ai-funding-ai-contracts-20210712


②警察という巨大組織をDXするSaaSを提供「Mark43」

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設立🏢:2012
拠点🏠:米国
調達日🕑:2021/07/12
調達額💰:$101M
ラウンド🚉:シリーズE
今回の投資家👤
(リード)The Spruce House PartnershipTiger Global Management
(その他)Radcliff GroupMalcolm TurnbullLucy Turnbull

【事業内容】
警察の情報を収集・管理・分析・共有できるSaaSを提供。
アメリカの州や、地方それぞれの警察が持っていた過去の犯罪の情報などを活用して通信指令担当者が通報者の安全確保できるように情報が掲載されたダッシュボードを確認できたり、AVL(車両位置自動認定システム)から事件・事故現場近辺のパトカー・警察官を確認して現場へ早急に向かわせ、少しでも現場到着を早めます。
他にも逮捕や事件の報告をする作業を携帯を使用した写真撮影などを活用して、事務的作業50%以上速く書くのを助け、時間の節約をできるようなRMS(記録管理システム)もあり、現場・オペレーターどちらの業務も効率化できるようなサービスです。
現在、「警察庁情報通信局」によると日本の警察の情報システムでは指名手配犯・盗難車両・犯行現場の指紋などの情報のデータベースが存在しており、他にも犯罪発生状況・犯罪手口といった犯罪関連の情報を地図上に表示するといった「Mark43」が提供している領域を一部カバーしている状況であることが伺えます。
また、こちらの記事によると当社の創業者であるScott Crouchらはこのサービスを考え始めた際、実際に警察車両に同乗してヒアリングを進めていたそうです笑

記事リンク:https://www.govtech.com/biz/mark43-raises-101m-to-expand-police-tech-products

③トラック運送業者の配送時間と労働環境を改善する「Trucksters」

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https://www.trucksters.io/

設立🏢:2018
拠点🏠:スペイン
調達日🕑:2021/07/13
調達額💰:€6.3M
ラウンド🚉:シリーズC
今回の投資家👤
(リード)Kibo Ventures
(その他)Amplifier VenturesBonsai PartnersBig Sur VenturesMetavallon VCAPXSacha Michaud氏、Sasha Mirchandani

【事業内容】
トラック輸送業者の運転手たちは、数日かけて荷物の運搬を行いますがその間は家に帰れず、トラックの中で寝泊まりしなければいけないという労働環境の課題があり、その改善を求められています。また、近年のECの成長により1日でも早い配送を望むニーズも生まれています。
このような2つのニーズを解決するのが、人工知能を活用してドライバーを繋げるリレー式貨物輸送サービスを提供する「Trucksters」です。
このように、数人のドライバーが一定の区間で交代することで、今まで睡眠時間に当てられていた時間がなくなり、時間の効率化が可能になるだけでなく、ドライバーの労働環境も改善できているようです。
他にも、このサービスを使う運送事業者たちはモバイルアプリで直接コミュニケーションを取ることも可能で、配送状況の確認ができたり到着時刻の予測も可能になっており、現在500社以上の運送事業者や大手EC事業者に導入されているようです。
日本のトラック運送事業の現状はどうなのか調べてみたところ、全日本トラック協会によればトラック運送事業の事業者数は62,461となっており、数はそれなりに多い感触ですが、一方で国土交通省の資料では労働時間の長さや年間賃金の安さ、高齢化による人手不足が課題として顕在化しているようなので、「Trucksters」のようなサービスはニーズがあるのではないかと思いつつも、営業をどう行うのかは一つ事業を展開する上で障壁になるのではないかと考えております。

記事リンク:https://www.eu-startups.com/2021/07/madrid-based-freight-transport-startup-trucksters-closes-e6-3-million-to-accelerate-the-european-expansion/

④Fintechプラットフォーマー ユニコーン候補⁉︎
「Railsbank」

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https://www.railsbank.com/

設立🏢:2016
拠点🏠:英国
調達日🕑:2021/07/14
調達額💰:$70M
ラウンド🚉:シリーズB
今回の投資家👤
(リード)Anthos Capital
(その他)Central Capital、Cohen and Company、Outrun Venturesなど

【事業内容】
Fintech先進国とも言われる英国で、ネオバンクや小売事業者などが自分たちの金融商品を作成・販売が可能とするためのAPIを構築・提供するプラットフォーマーを担っているのが「Railsbank」です。
このAPIを通じて、顧客は簡単に自社ブランドのクレジットカードを提供したり、顧客のアプリに対して「 Railsbank 」の API が連携されることにより、銀行を間に入れることなく、送金、入金が可能となります。
ホームページを見ると、簡単に登録・使用できることをアピールしており、30秒以内にアプリの登録、2時間以内に機能を実装できるという具合で速さ、使いやすさをアピールしています。
国内では、デジタル決済や資産運用、会計管理といったサービスが多く立ち上がっている中で、徐々に「Railsbank」が顧客にしているようなネオバンクも立ち上がっています。日本初のネオバンクだと自負する、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)傘下のiBankマーケティング(iBank)が提供する「Wallet+」や住信SBIネット銀行が「NEOBANK(ネオバンク)」事業を開始しており今後もいくつか立ち上がるのではないかと思います。
一方で、「Railsbank」も過去にグローバルブレインから資金調達を行い日本進出を始めていますので、国内で類似のサービスが立ち上がるのか注目していきます👀

記事リンク:https://techcrunch.com/2021/07/14/railsbank-raises-70m-to-build-out-its-fintech-as-a-service-platform/

⑤自動車修理店向けオールインワンツールを提供
「Shop monkey」

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https://www.shopmonkey.io/

設立🏢:2017
拠点🏠:米国
調達日🕑:2021/07/15
調達額💰:$75M
ラウンド🚉:シリーズC
今回の投資家👤
(リード)Index VenturesBessemer Venture Partners
(その他)ICONIQ GrowthI2BF Global VenturesHeadline

【事業内容】
請求書の発行・部品の発注・スケジュールの管理といった業務を自動車修理業者のオーナーたちは、それぞれ別々のツールを使用しており、大変手間であるという課題を抱えていました。
その課題に対して、そのような業務を一元化するツールを提供しているのが、「Shop monkey」です。
上記に挙げているような請求書を作成し、先方へテキストやEメールで送信する機能、オンラインでも店舗でも可能な決済システム、簡単な予約管理機能とそれに付随し顧客とのコミュニケーションを簡略化するメッセージ機能がついており、まさに自動車修理店の為のオールインワンツールという感じですね。
現在、当社は自動車修理業者を中心に2,500社以上の顧客を抱え、今回の調達は前回の調達から1年以内のファイナンスになっており成長の速さが伺えます。
では、日本の自動車修理業界はどうなのでしょうか。
国内で自動車の整備・修理出張を依頼できるサービス「セイビー」の開発・運営を行う「 Seibii」によると日本の整備工場数と整備会社数は
車の整備工場数:91,533
車の整備会社数:72,523社

で、わかりやすい比較をするならば全国のラーメン店は約32,000店舗、歯医者が約68,000なので事業者数の多さがよく分かります。
この巨大な市場で「Seibii」はどう展開していくのか楽しみです!

記事リンク:https://techcrunch.com/2021/07/15/shopmonkey-raises-75m-series-c-to-help-auto-repair-shops-streamline-their-business/?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

今週もここまで読んでいただきありがとうございます🙇‍♂️
以上が2021年7月第3週に調達している世界の注目事例5選でした!
Gazelle Capitalは今回ご紹介したような既存産業に対するソリューションとしてSaaSを提供しているスタートアップに多く投資をしております。
この事業領域で起業を検討中の方や、このような領域で起業されている方はぜひGazelle Capitalの問い合わせフォームまたは山木のTwitterにてDMでご連絡くさだい!

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