笠原桃奈という乙女の哲学を愛した

はじめに
ヲタクの皆様、お元気でしょうか。いつもお世話になっております。
卒業企画という非常に愛の溢れた企画にお誘いいただけたことを、まず実行委員会一同様に感謝申し上げます。
僭越ながら、笠原桃奈さんへのボイスメッセージの音楽を作曲させていただきました、がよりんと申します。
この度、卒業企画委員会様から許可をいただきまして、こうして楽曲を公開させていただく所存となりました。
笠原さん個人へ向けて書いた曲であり、こうして公開させていただくことに躊躇やヲタクとしての線引きを考えましたが、所詮プロの身でもなくただ一人の笠原桃奈さんのファンとしてはできることをしたい、一作曲を志すものとして多くの方の意見が聞きたい、より多くのアンジュルムファンの方の感想が聞きたいという気持ちを汲んでいただき、公開させていただくことになりました。その上で、ある程度の礼儀としてライナーノーツが必要だろうと考え、本文を書いております。

○企画について
今回、笠原桃奈卒業企画と題しまして動き始め、このボイスメッセージ企画を立ち上げさせていただきました。
当初この企画委員にお誘いを受ける前は、個別イベントで笠原さんに「絶対にももなのためにいつか曲を書きます」という約束を果たすため、一個人として作曲したものをファンクラブ宛に送ろうと思っていました。
ただ、こうして企画に誘っていただいた以上、もっとおもしろいことはできないか、自分個人のためではなくもっと多くの人、強いては笠原さんの心を動かす作品に変えられないだろうかと方針を変えました。
当初計画したのは、不特定多数の参加を想定した作品(多数のボイスメッセージを使ったミュージックコンクレート作品など)を考えました。ただ、不特定多数の方に募集をかけるということは、それだけ一人一人に対する思いへの責任と、技術的環境、統括力がなければ計画が破綻してしまうと考え、委員会によるボイスメッセージと限定をさせていただきました。自分の技量、編集環境不足で大きな計画を動かすことができず、その点に関しては反省が残っています。ただ、今自分にできる精一杯のことはやろう、そう決心しました。

○楽曲について
まず、楽曲制作にあたって以下の点を留意していました。

①笠原さんの雰囲気に合う音楽、好きであろう音楽を分析する
②ボイスメッセージと合わせて効果的な音楽をつくる
③一つの音楽としても作品として聴くことのできる構成を持たせる
この3つを重視しました。

①に関しましては、笠原さんの旅立ち、飛翔をイメージできる音形、前向きな姿勢と18歳という儚さと愛おしさを表現できる構成を意識しました。また、笠原さんの好きな音楽としてブログなどで言及されているジブリ音楽(千と千尋の「あの夏へ」)やドビュッシーの月の光など、久石譲さんの音数は少なくとも印象に残るメロディライン、ドビュッシーの近代フランス和声感などを意識しました。
②に関しましては、実際に一度委員会の方に仮ボイスメッセージを録らせていただいて、自分のデモと重ねてみました。気づいたこととしては、音数があまりにも多いとメッセージの声の邪魔をしてしまうこと、感情の揺れ幅としてあまりに感傷的な音楽になってしまうと様々なメッセージとの感情的バランスが取れないことでした。
③に関しましては、ボイスメッセージの裏で流すとはいえ、一つの音楽作品として成立する構成を持たせたかったです。なぜならやはり作曲を志すものとして、BGMという概念から少し抜け出したものを、笠原さんにより良質であるべき音楽を提供したいという心からでした。(劇伴音楽を否定しているわけではありません)
以上3つを留意した上で、スケッチを始めました。

○企画進行について
さて、書き進める上で何を重要と考えるか、それはやはり委員会の総意でした。笠原さんを送り出したいという強い気持ちをお持ちの方々に、きちんと了承された上での音楽をつくりたいと考えたので、予め主たるテーマとなる短めのデモ音源を3つ用意しました。(本当はもっと多くのパターンを用意したかったです、反省)
その中で、どの曲が一番笠原さんのイメージや今回の企画の意図に合っているか、投票を行いました。もちろんみなさん音楽の専門に精通しているわけではなくとも、もう少し明るめのものがよいか、華やかにしたほうがよいか、等々具体的な率直な感想を求め、レスポンスをいただきました。
投票の結果選ばれたのが、今回の楽曲の主テーマとなっております。

○楽曲の書き起こし
いざ、テーマが決まったので楽曲を書き始めたのですが、書き始めて1ヶ月くらい経った頃、笠原さんの11月中旬での卒業が発表されました。当初12月中頃の卒業を想定していたので、1ヶ月ほど計画を前倒しで急いで曲を仕上げました。正直悩んでいる暇というものはあまりなく、なるべく〆切に向けて着地できるよう、迷いすぎず、それでいて正確な音形を形作れるように努力いたしました。構成としては比較的聴く方も聴きやすく、書く方もバランスの取れやすい三部形式を選択しました。(聴き用によれば二部かもしれません…)本当は逐一方向性が間違っていないかなど委員会の方に確認を取りながら進めたかったのですが、それをやっている時間の余裕がなく、結果独断での判断とギリギリの完成となりました。(申し訳ないです)

○楽曲の振り返り
楽曲が完成して、友人(元バイトの先輩)のピアニストに譜面を渡し、あまりに〆切ギリギリだったので急いで練習と録音をお願いしました。その時に、♭が落ちていたり、このコードは本当にこれでいいの?など友人からありがたいアドバイスがあり、改変した小節もありました。その点私はまだまだ作曲家として未熟だなと反省しました。いざ聴いてみると、やはり各和声に対する移行の仕方が急であること、メロディの印象付けの薄さ、構成力の低さに反省をしてしまいました。ただ、良い点としてはボイスメッセージと比較的合う音楽がつくれたのではないか、ということと、自分のイメージしていた笠原さんへの尊敬や感謝、情愛の表現が自分なりの手癖で書くことができていたのではないかと思い、その点は今後の自信につなげていこうと思います。

○ミキシング、マスタリングについて
この点においては私はほぼ素人でした。以前大学生のときに短期実習で習っただけでしたので、過去の記憶を呼び起こしつつ、今あるソフトウェアでできることをなんとかこなした…というものであり、専門の方が聴いたら非常にお耳汚しのお粗末なものになってしまったかもしれません。もちろん、制作会社をされている音楽の先生にも相談をしたのですが、やはり先生にお任せするとなるとそれなりな予算がかかってくること、どうせやるなら自分でチャレンジしたいという気持ちがあり、自力でやることを決めました。先生に最終チェックだけをお願いし、「まぁいいんじゃない」とご返答をいただけたので、この状態でインポートいたしました。

○楽曲名について
当初、「桃源郷」というタイトルで楽曲を書こうかとも思いました。しかし、楽曲のイメージと桃源郷というものの概念がかけ離れていること、また桃源郷はアンジュルムのメンバーがライブで体現してくれるものだという畏敬の念があり、タイトルは和暦の七十二候である「桃始笑(ももはじめてさく)」としました。意味としては、笠原さんがアンジュルムとしてデビューしたとき、桃の花が咲いたようだったこと、そしてこれからの笠原さんがまた桃の花の咲く季節が訪れることを願って、このタイトルにしました。副題の「憧れの季節へ」は過去への憧憬でもあり、未来の笠原さんの憧れの季節へ飛び立って欲しいという願いを込めました。

○最後に
今回の制作にあたって、自分にとっての推しへの愛の表現とは何なのか、それをよく考えました。正直言って、私は多くの時間とお金を笠原さんに捧げることはできませんでした。なぜなら、自分自身の生活と、作曲家になりたいという夢を追いかける時間にほとんどを費やしていたからです。また、持病があるためあまり体調に無理をかけて周りに迷惑をかける事態を招くことも危惧していた部分もあり、あまり遠征などはできていなかったと思います。ただ、お金のない中でできること、例えばブログのコメントやラジオ投稿、とにかく笠原さんの良いところを見つけまくるという日課は続けていました。ようやく少し自分の生活とお金に余裕ができた頃、コロナ禍に突入してしまいました。私は夫、親戚全て医療者という環境で生活している以上、責任としてある程度落ち着くまでは県外に出ることはできませんでした。しかし、卒業が発表されたあとの行動については、夫婦ともワクチン接種をしていることや、感染を避けた行動をすることなどを考慮し、できる限りのヲタ活はできたと思っています。最後の方にしか現実にはお会いできていなかった多くのヲタクの方々に、おまいつのヲタクだよとも言われず、優しく迎え入れていただいたこと、誠に感謝いたしております。
私は自分の夢のために使ってきた時間を、笠原さんに返さなければいけないと思いました。今まで作曲のために費やしてきた時間と費用、それを返せる手段は作品としか返すことしか私には贖罪を償うことはできないのです。もし今、芸術や夢を追いかけながらヲタクをしている方がいれば、こんな形でも想いは伝えられるのかもしれない、そんな参考の一つになれば幸いと存じます。
最後に、デビューから卒業までの5年間、私がどんなにつらいときでも、苦しいときでも、作曲が辛いと思える時も、私に輝きを与え、励みと癒しと、情愛を全ての方に伝え続けてくれた笠原桃奈さんに、心からの感謝を申し上げます。貴方がいてくれたから、私は今日まで健やかに生きてくることができました。私にとってのオアシスであり、見守り続けたい愛おしい存在であり、何よりアンジュルムという哲学を体現した最高のパフォーマー、表現者、アイドルであった笠原桃奈さんを、いつまでも愛し続けることと思います。
どんな貴方であっても、人生ごと応援するからと言ったこと、たくさんの約束したこと、これからも心に刻んで生きていきたいと思います。
私は私でこれからも自分の夢を追いかけ続けます。
ももなの姿を思い出して…

ここまで長いライナーノーツを読んでくださった方々、本当にありがとうございます。
少しでもアンジュルム、ハロープロジェクトのヲタクとして、心に伝わることが言えていたなら幸いです。
楽曲をお楽しみください。
では、BIG LOVE!!

がよりん

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