BOARD GAME RESORT GAW JOURNAL#03 「名前を決めるって、最高にクリエイティブ」松田健(The Breakthrough Company GO)×GAW
〈GAWジャーナル〉第3回目のゲストは、「GAW」の名付け親であるクリエイティブディレクターの松田健さんです。「GAW」という名前に込めた思いのほか、自身もボードゲーム好きという松田さんが考えるボードゲームの魅力、そして、これからの「GAW」の可能性についてたっぷり語ってくださいました。
構成・文/GAWジャーナル編集部
「仲良くなるを、とめない」。その思いを、名前に。
太陽:GAWの名付け親である松田さんですが、ほんとうに様々な企業や商品に携わっていらっしゃいますよね。普段どのような思考でお仕事をされていて、GAWの場合はそれと比べてどうだったのか、ずっとお聞きしてみたかったんです。今日はよろしくお願いします!
松田:僕も楽しみにしていました。よろしくお願いします。
太陽:松田さんにお会いしたのは、まだ東京に住んでいた頃に、広告業界の人たちが集う交流会があって、友人が誘ってくれて参加したら、たまたま隣の席に座っていたのが松田さんだったんです。
松田:そうそう。そしたら太陽さんが、古川裕也さんのクリエイティブディレクション講座に通っていると教えてくれて。僕も以前その講座を受けたことがあったので、話が盛り上がったんですよね。
太陽:そうなんです。古川裕也さんは電通の著名なクリエイティブディレクターなのですが、その講座で刺激をたくさん受けて「クリエイティブディレクション」のことをもっと知りたいと思っていた時期で、松田さんもクリエイティブディレクターとしてさまざまなお仕事を手がけられていたので、松田さんのお話にも興味深々で。
松田:その時に、太陽さんからあだち先生のボードゲーム事業のことをお聞きして、僕もボードゲームが好きなので、みんなでゲームをしたいねという話になったんですよね。
あだち:そこから数年経って、ゲーム会を開催しましたね。しかもコロナ禍中にオンラインで遊んだという。変わった初対面でした。
太陽:そんなご縁もあって、松田さんにGAWのネーミングを…そういえばこの時はまだ自分たちの中では「アナログゲームリゾート」と呼んでいましたね。このネーミングを改めて考え直すことも含めて、PRのご相談をさせていただいたんですが、まさか松田さんにご快諾いただけるとは思っていなかったので、本当に嬉しかったです。
あだち:「いいですよー」って軽く受けてもらった(笑)。
松田:いえいえ、こちらこそ。お二人とお仕事をご一緒させていただいて、すごく楽しかったです。完成するまでの道のりは長かったですが、オープンするとあっという間に時が経ちますね。
あだち:あっという間です。本当に早いです。
太陽:先ほども話題に上がったように、最初からずっと自分たちで「アナログゲームリゾート」と呼んでいたのですが、さぁ建築が始まろうとした時…アナログゲームリゾートって、施設名というよりカテゴリー名だから、「アナログゲームリゾート〈○○○〉」みたいに、何かその後に続く名前が必要だと思うようになって、そこから、そもそも「アナログゲームリゾート」でいいのか?とか、どんなふうにPRしていく?とか、いろんな検討事項が出てきて……。自分たちじゃ手に追えない!それで、松田さんにまずはPRの件だけ相談したんだよね。
あだち:そうそう。結果、PRの話に留めれず、色んな困り事を相談したら、ネーミングを考えるところもやりましょう!と言ってくださって。ほんとですか!と、まさに2人で顔を見合わせたよね(笑)。
太陽:ネーミングの案もたくさん提案してくださって。しかもどれも捨て難いもので。
太陽:松田さんが施設名を決める作業に加わってくださったおかげで、僕たちが、どういった思いでボードゲーム施設を作りたいのか。大事にしたいことはなんなのか。それら部分を客観的に整理しながら、施設名を決めていくことができました。
ちひろ:確かに!最初のころは想いばかりで、言語化がうまくできてなかった。
松田:「GAW」は「Get along with(仲良くなる)」の頭文字をとった造語。「Get along with」は、あだち先生のボードゲーム事業「あだちのYEAH!!!」のVISIONで示している、ボードゲームで、人と人とのコミュニケーションを活発化したい、「ボードゲームで、仲良くなるをとめない」という思いからつけたものなんですよね。
あだち:はい。じつは、松田さんから「GAW」という案をいただいたとき、新しいボードゲーム事業を始めるのに、「あだちのYEAH!!!」のビジョンをここに持ってきていいの?って、一瞬戸惑ったんです。同じボードゲーム事業とはいえ、どこかで線引きしないといけないって思っていたので。
でも、私がボードゲームで叶えたいことって、やっぱり一つで、仲良くなるを、とめない。なんですよね。その思いがGAWでも受け継がれるなんて思ってもみなかったです。
松田:打ち合わせを重ねるほど、あだち先生と太陽さんがここでやりたいことは「ボードゲームは単なる遊びではなくコミュニケーションを活性化する力を持っている」ということを伝えていきたいんだなということが伝わってきました。
それと、お二人は人生の価値観も近いと感じていたので、二人が共有しているボードゲームへの思いや概念から名前を考えるのがいいと思ったんです。
太陽:そして理屈抜きで「ガウ」という言葉の響きも、呼びやすくて愛らしくてよいですよね。ちなみに、原村の方からも「ガウ、頑張ってる?」と声をかけてもらうことがすごく増えました。子どもからお年寄りまで、みんなが「ガウ」って名前を覚えて呼んでもらえていることがまず嬉しい!
あだち:どの世代の方も「あのゲームの建物」とかじゃなくて、ちゃんと「ガウ」って言ってくれるんだよね。
太陽:カタカナたった2文字で、覚えやすいのにインパクトがあって、それでいてあまり聞いたことがない響きの名前って、なかなかない。松田さん、いい名前をつけてくださって本当にありがとうございました。
あだち:この場をお借りして改めて、ありがとうございます。
本当にこの話題はいつも2人で何度も何度も話す(笑)!「ガウっていい響きだよねー」「たった2文字ってのがいいよねー」って。
松田:そう言っていただけて嬉しいです(笑)。
太陽:松田さんには、GAWのショップカードの文章も考えていただきました。その文章も、ことあるごとに見返しています。
あだち:「ボードゲームに没頭する体験を通じて、人とのコミュニケーションを深める施設です」って書いてあるんですけど、「GAW」がどんな場所かということを、端的に伝えてくれています。
太陽:打ち合わせなどで、GAWのことをさんざん話してきているのに、いざ取材などで「どんな場所ですか?」と聞かれると、「えっと、大人のためのボードゲーム施設で……」とか「ボードゲームをした後に焚き火を囲んで……」とか、自分たちで語る時に説明の仕方が全然定まらないんですよね。それに、施設としての情報量が多いだけにメディアによって切り取り方も違って、「デジタルゲームに疲れたら八ヶ岳でアナログゲームを楽しもう」とか「新しい娯楽施設の誕生」とか、いろんな他の切り口の説明の仕方もできてしまう性質も持っている。多くの方に興味を持っていただくために、それも必要なことだと思うのですが、「GAW」って、つまりなんなのか。
ショップカードのこの文章があることで、自分たちが再確認できるし、目指すべき姿に立ち戻れるというか。
松田:そうなんですか!それは嬉しいです。でも、お二人のボードゲームへの思いがゆるがないからこそ、この言葉にすることができたんですよ。
名前をつけるだけでは意味がない
あだち:松田さんはいま、The Breakthrough Company GOという会社で、クリエイティブディレクターをされていますが、具体的にどんなことをされているんですか? こんなふうに、施設名や社名を考えたりすることもありますか?
松田:GOでは、企業のブランディングに深く関わって企業と共に成長していくために、事業成長のために必要なクリエイティブ全般、PR内容などを提案しています。社名も、事業成長の上で大事な部分なので関わることもありますよ。
ちなみに、回転すし「スシロー」をチェーン展開する「スシローグローバルホールディングス」が2021年4月、「FOOD & LIFE COMPANIES」へと社名変更した際のネーミングにも関わらせていただきました。
あだち:めまいがするほど規模の大きなネーミングのお仕事ですね(笑)。
松田:このような大企業の案件だけでなく、スタートアップの企業にも関わることも多いです。
太陽:スタートアップ……まさにGAWじゃないですか! でも、「事業成長のためのクリエイティブ」って、なんとなく想像できるけど、やっぱり具体的に教えてもらってもいいですか(笑)。
松田:「クリエイティブディレクター」と言うと、クライアントの要望に対して、何か独創的なアイディアや、インパクトのある名前やPR計画などを考えてくれる人と思われがちなんですが、いくらすごいビジュアルや枠組みができたところで、それが、世の中や社員に浸透しなかったらまったく意味がないと思っているんです。
太陽:なるほど。
松田:ちょっと専門的な話になるんですけど、「パーパス・ディープニング」というフレームワークを提唱しているんです。大半の会社や経営者の中には、「こうなりたい」「こうあってほしい」という思いが「暗黙知」として眠っていると。それらの暗黙知を、ヒアリングを繰り返すことで引き出し、言語化して「形式知」に変える。さらに、そこから生まれた「暗黙知」をまた「形式知」に変える。
この作業をぐるぐると繰り返すことで、パーパス(企業の社会的意義)が企業の中に浸透し、事業成長につながっていくと。
太陽:面白いですね。でもそれはブランディングとは違う……?
松田:重なる部分は大きいと思います。ただ、ブランディングがその企業のパーパスを言語化する部分が大きいとすると、僕が同じくらい重きを置いているのは、パーパスを浸透させるために何が必要かということを考え、実践していくこと。最近、ITメディアビジネスでも連載が始まったので、ぜひ記事をご覧になってください。
太陽:実際に、どんなことをされているんですか?
松田:例えば、「PETOKOTO」というフレッシュペットフード事業のスタートアップを担当した時は、徹底的にヒアリングを繰り返した結果、「ペットを家族として愛する世界へ」というパーパスが生まれました。そこから、ロゴ、HP、名刺などのビジュアル面はもちろん、パーパスの意図を伝える社内浸透会の開催、展示会ブースのコンセプト策定、経営計画書や人事評価制度の見直しも行いました。
あだち:徹底的ですね。
松田:パーパスをビジュアル面に落とし込むという考え方はよくあると思うんですが、社内浸透会の開催や、経営計画書の策定にまで関わっていくことは少ないと思います。
でも、パーパスって言葉やビジュアルで伝えるだけでは全く足りないんです。いくら聞こえがいい言葉でも、伝わる言葉に変えて説明しないといけないし、パーパスを「体感」できる時間や場所を作ることが大切だと思っています。
太陽:ただ形だけパーパスをつくっても、企業にとってはまったく意味がないと。
松田:そうです。ただ、経営におけるクリエイティブの必要性って、数値化しやすいデジタルマーケティングなどに比べると、説明しにくいこともあって、その必要性を理解いただけないことが多いのも現状です。
クリエイティブと経営理論の関係について、よりアカデミックな知識や理論で説明できるようになりたいと思って、早稲田大学大学院のMBAに通うことにしたんですね。
あだち:すごい。
松田:大学院では、経営学者であり、様々な企業の経営にも携わっている入山章栄(いりやま・あきえ)先生に師事しているのですが、先生に「君のやってることはブランディングを超えていると思う。パーパス・ディープニングみたいな名前の方がいいんじゃない?」と言われて、それで、開発したフレームワークの名前に使わせていただきました。
GAWに話を戻すと、GAWは、「Get along with」、「仲良くなるを、とめない。」っていうあだち先生が以前から掲げていたパーパスを、実際にボードゲームをすることで、参加した人全員が体感値として体内に浸透させることができる。パーパス・ディープニングがまさに体現できる場所というのがすごいですよね。
あだち:わ、松田さんの普段の仕事のやりかたとGAWは、ここで関わってくるんですね! 松田さんが、ボードゲームが単なる遊びではなくて、一緒にゲームをする相手との関係性を作るためのもの、という部分をしっかり理解してくださっていたからこそ、GAWという名前にたどり着いたんだと、今改めて感じています(涙)。
ボードゲームがつくり出す、心理的安全性
あだち:松田さんと初めてボードゲームをした時は、「レジスタンス」という全員、自分の正体を隠しながら、本来行なわれるべき行動を邪魔をしようとするのは誰なのかを会話などから探っていく、心理戦ゲームを遊びましたよね。
覚えているのが、私が凡ミスしてかなり動揺した瞬間があるんです。もちろん必死で取り繕ったんですが…その時、松田さんがPCの画面越しにも関わらず、私の心理状態を見事にキャッチしていて……。表情は全く変えずに淡々と理詰めで、徹底的に私を追い詰めていくのがこわかった(笑)。
松田:僕、すごいサイコパスな勝ち方とかして引かれる時があります(笑)。でも徹底的に戦略を立ててやること自体にボードゲームの魅力を感じているのでそこは譲れません。
あだち:松田さんが考えるボードゲームの魅力、もっと聞きたいです!
松田:ボードゲームって、1回やるだけでも、その人のことが分かったりして距離が縮まりますよね。
太陽:僕もそこが好きです。
松田:戦略的にルールをハックしようとする人とか、真面目に素直に進めていく人とか、とにかく性格が出るんですよね。相手のそういう部分が分かると、例えば、仕事においても、その人との距離感を適切に保ちやすくなると思います。
あだち:ほんとそうです、そうです。
松田:例えば、もし、その人からの指示がちょっときつい言い方だな……と感じても、「そうだ、この人はゴールに突き進む時は、感情を表に出さないタイプだったな」と、ボードゲーム中の姿と重ねてポジティブな距離感を保てたり、ボードゲームで、ともにゴールを目指したという達成感を共有しているので、チームとしての信頼関係がそこで自然と生まれていたりする。
心理的安全性というのかな。そういうのって、言葉だけのリモート会議などを続けていても、なかなか生まれないものですよね。
太陽:ボードゲームは、途中にどんなに心理戦を繰り広げても、ゲームが終われば「楽しかった」とか「一緒にがんばった」というポジティブな感触の思い出で残るのもいいですよね。
松田:そうなんです。僕も会社のみんなや、研究室のみんなとGAWに行きたいって思ってるんですよ。
あだち:嬉しいです!
企業研修に、今、ボードゲームが注目される理由
あだち:じつは数年前から、「企業研修でボードゲームをしたいからナビゲートしてほしい」という依頼が増えています。社員同士のコミュニケーションを活性化するきっかけにボードゲームが注目されていることを感じています。
松田:ボードゲーム、めちゃくちゃ合うと思います。それに、企業研修のかたちって、今、すごく変わってきてますよね。
太陽:というと?
松田:これまでの研修って、座学的な時間が多かったと思うんです。例えば企業のマニュアルをみんなで確認していくとか、財務書表の読み方を学ぶとか。でも今は完全に「チーム力を高めるための研修」が求められている。
太陽:なるほど。ちなみに、GOではどんな研修をしているんですか?
松田:まさに最近、合宿をしたんですけど、まず、会社に集合したらスマホを没収されて、アイマスクをつけさせられて、バスでどこかへ連れ去られました(笑)。
あだち:えー!
松田:バスで2時間くらい運ばれて。それで、どこかもまったく分からない場所に降ろされて、目的地の写真と手描きの地図、緊急連絡用のガラケー、あとは1人5000円だけ渡されて、5人1組で地図に描いてある目的地を目指せと。
バスを降りたのが12時くらいだったので、てっきり昼食はこの地図に描かれている釜揚げうどんのお店で食べられると思いますよね。歩いて15分とか、20分くらいのところにあるだろうと。
でも、後で分かったんですが、このうどん屋、バスを降りたところから徒歩で1時間かかる場所でした。
太陽:めちゃくちゃ遠い! 最終的に目的地には着いたんですか?
松田:いろんな奇跡が起きて無事に着くことができました。
あだち:奇跡……気になる!
松田:まず、あきらめて途中で入ったうどん屋さんで、隣の席に若い女性3人組に「すみません、この写真の建物を調べてもらえませんか?」って、目的地の写真を3人に見てもらって、スマホで調べてもらえたんですよ。
太陽:自分達の手元にスマホがないのなら、人のスマホで調べてもらえばいいと。
松田:そしたら、うどん屋から目的地までは、徒歩3時間はかかる場所ということが分かって「マジか……」ってなったんですね。
あだち:うわー何もかもが遠すぎる。
松田:その3人組のみなさんは、僕たちより先にお店を出て行かれたんですが、なぜかすぐに戻ってきたんです。それで、「これから行く予定だった施設が、1時間後から入場料が半額になるみたいで、それまで時間があるから車で目的地まで送りますよ」と言われたんです(笑)。
あだち:奇跡!
松田:バスやタクシーなどの公共交通機関は使ってはいけないルールだったんですが、それ以外の車移動はありなので、ありがたく送ってもらって、ぶっちぎりの一番でゴールしました。
太陽:思わぬ裏技を(笑)。でも、これはかなり示唆深いですよね。ゴールできるかどうかは、定められたルールを破らないところで、いかに新しい方法を見つけられるかにかかっているというか。
松田:そうなんです。理不尽なテーマに対して、自分たちの形に、どう立体感を作っていくかとういうか。まさに、チームビルディングのための研修内容ですよね。
あだち:ちなみに、他のチームはゴールできたんですか?
松田:車で送ってもらったのは僕たちだけで、他の人たちは、徒歩で4時間かけてゴールしていました。
太陽:「車で送ってもらった」って言ったときのみんなのリアクションは?
松田:「そんな方法があるのか!」とか「そんな優しい人たちがいるのか!」とか。
あだち:「ずるい!」とかじゃないのが素敵ですね。そんなふうに言ってくれる人たちだと、普段のお仕事も関係性がいいんだろうなと想像できます。
松田:そうそう。あと、この研修の良かった点が、このプログラムを終えた日の夜は、すごくリラックスできる雰囲気のコテージを貸し切って、みんなで焚き火を囲んでわいわい話す時間があったことなんですね。
その日みんなで体験したことを、非日常な空間の中でリラックスしながら振り返っていく。そしたら自然と、自分は会社でどんな未来を作りたいかとか、どんなふうに行動すればいいかとか、いろんな会話が生まれたんです。
そんな時間を共有して、日常の仕事に戻ると、チーム全体の仕事の効率性が上がっていたり、会社の雰囲気が本当によりよくなっているんですよね。
太陽:まさにまさに、GAWでもそういう体験を生み出したいんです。ボードゲームをして、ベネフィットカードを使ってそれぞれの学びを共有して、焚き火で内省の時間を共有する。
松田:そうそう、ベネフィットカードもすごくいいアイディアですよね。
ボードゲームが、「人生ゲーム」のイメージで止まっている人も多いと思うので、ボードゲームでどんな学びを得られるかを言語化したことで、ボードゲームに対する価値観を置き換えていくことができる。しかも、ベネフィットを実際に触れるようにカードにしたのは、「体験」としてインプットされやすい。
太陽:今までは、ボードゲームの魅力が暗黙知として眠っていて、言語化されていなかったということですよね。
松田:そういうことですね。今思い出したんですが、「暗黙知」を共有することで、組織としての力は確実に強まるという論文も発表されているんですよ。
「トランザクティブ・メモリーシステム」という考え方があるんですが、「トランザクティブ・メモリー」とは、アメリカの社会心理学者であるダニエル・ウェグナーが唱えたもので、「組織内の情報の共有化で大事なことは、組織の全員が同じことを知っていることではなく、〈組織の誰が何を知っているか〉を組織の全員が知っていること」という定義。もし、誰かが転職したりその場にいない状況があったりしても、「このことはあの人に聞けばいい」ということが共有できているので、情報を失うことなく、継承していくことができると。
参考先「トランザクティブ・メモリー」https://www.hrpro.co.jp/glossary_detail.php?id=124
あだち:なるほど。ゲームの中でも、個々に謎を解いて最終関門の場面で、それを結集すればゴールできるのに、情報共有できてないことが仇になってゴールできなかった…そんな事があります。まさに、誰がどんな情報を持っているかを共有していればゴールできたのに!って。
松田:そういうことを、ゲームの中で疑似体験できるって、本当に貴重な時間だと思います。
GAWという名前に決まったからこそ、より進化できる
あだち:企業研修の場というだけでなく、ボードゲームは、コミュニケーションの課題を感じている人にぴったりだということも、今日は再確認できました。
参加いただく方の目的により一層フィットできるボードゲームを選んでいきたいと思いますし、「体験」や「学び」の共有という部分を、改めて大事にしていきたいですね。もちろん、ボードゲームの楽しさとともに!
松田:ボードゲームって、助け合わないとクリアできないものや、人生的な価値観が垣間見えるものとか、いろいろな種類があるので、目的によって組み合わせを変えることもできる。
それを長野の八ヶ岳の自然の中、非日常的な空間の中で体験できるって、世界中探してもやっぱりGAWにしかない。
あだち:もしも他の人にこのGAWの計画を話したら「そんな場所、遠すぎるんじゃない?交通の便は?わざわざなぜそこで?」って疑問を持たれていたかもしれない。松田さんはまずこの遠さを価値に感じてくれた!そこが嬉しいですね。
松田:GOの研修旅行でも、バスで2時間くらいの遠方にわざわざ行ったように、いつものメンバーだけどあえてガラッと場所を変え、非日常な体験を
共有することは、むしろとても重要ですね。
あだち:そうなんです。普段とは異なる場所でコミュニケーションをとるのが肝だということ。これは企業研修を実際に数多く経験している方から、よく聞くことです。
松田:そして、「仲良くなるを、とめない。」というビジョンが、お二人の中で以前からしっかりと存在していて、GAWはそれをそのまま表現した場であるということが、本当に素晴らしいし、だからこそ、GAWのプログラムがさらに進化していく、GAWの成長につながっていくのだろうと期待しています。
太陽:そう言っていただいて、すごく勇気が湧きます。松田さんとのこれまでのいろんなやりとりを振り返ると、名前を決めることって、最高にクリエイティブな事だなって思います。
あだち:GAWのネーミングをしていただいたことは、まさに松田さんのクリエイティブディレクション!って思います。「GAW」という名前は「Get along with」という大事なことを何度でも思い返すことができる、自分たちにとっての道しるべです。これ以外にない!というような名前をつけていただいて、本当にありがとうございました。
松田:じっくり話せて楽しかったです。またGAWに行ける日も楽しみにしています。
あだち:お待ちしています!
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