狼男を現代風にアレンジした名作映画「ドッグ・ソルジャー」についてレビュー
最近エヴァの話題ばかりで食傷気味だったので別の映画の話題をしようと思います。
今回紹介する映画「ドッグ・ソルジャー」は多分見た人も多いんじゃないかな。
イギリス映画といえば00年代当初ちょっとしたブームがおきていて、本作もそんな映画の一つであった。
しかし、イギリス=お洒落・紳士というようなイメージはほとんどなく徹底して泥臭くえげつなく暴力描写に満ちた内容になっているのである。
映画の題材はなんと狼男!
狼男といえば、毛深いおっさんがウオーン!!とやっているアレであるが本作は狼男をエイリアンやゾンビのような狂暴無比な怪獣として描くことに成功している。
主人公たちはイギリスの陸軍小隊で、隊員のクーパー(吹き替えはなんとあの小山力也)は昇進も兼ねた特殊部隊のテストに落選したばかりであった。
そのテストというものが苦楽をともにした軍用犬を殺すか否かというもの、クーパーはそれができず結局小隊のままにいることとなったのだ。
クーパーたちは訓練がてら入った森林の中で驚くべきものをみつける。
それは、何者かに八つ裂きにされた特殊部隊の隊員たちであった。
その中の生き残りであったライアン大尉にクーパーは面識があった。
そう、あのテストの時に試験管をしていたのがライアンだったのだ。
と、同時にクーパーたち小隊に謎の生物「人狼」が牙を向けて襲い掛かってくるのであった。
とうとう、クーパーの仲間たちにも犠牲が出る中、道中で動物学者の女性と出会い逃げ込んだ誰もいない民家の中で恐怖のサバイバルが始まるのであった…。
というのが本作の内容である。
大体こういう映画にありがちなことだが、まあ登場人物がステレオタイプなものになりがちであるが、本作は中々登場人物が非常に魅力的である。
まあ、そんなわけで今作のキャラクター達を紹介していきたいと思います。
主人公のクーパーは昇進のために犬を殺すことのできない愛犬家で、民家で出会った犬のサムも大事にするなかなか魅力的なナイスガイである。
演じるケヴィン・マクキッドは様々な映画に出演しており、現在でも活躍するイギリスを代表するイケメン俳優の一人である。
上でも書いたが、何と吹き替えを務めるのは小山力也さんである。
小山氏の熱演もあって、熱くかっこいいいい男になっている。
そんなクーパーのよき兄貴分であり上司であるウェルズ軍曹は程よく優しく程よく厳しいまさに理想の上司そのものである。
また指揮も的確で常に冷静沈着、殺された仲間のために怒声をあげる熱いところのあるおっさんである。
俺がみてきた映画の上司キャラの中でもナンバーワンの「かっこいい理想の上司」の一人でもある。
そんなウェルズも人狼によって手酷いダメージを受けてしまい、大怪我を負うがみるみる内に回復、彼は自分が怪物になっていくことを知ってしまうのであった。
最後人狼の大軍団に強襲を受け、クーパーと犬のサムを逃がし、自身は自爆をして死亡するという作中最強にカッコイイ死に方をして視聴者の涙を誘うこと間違いなしの熱い展開がまっている。
彼は怪物になるより人のまま死ぬことを選んだわけですね。カッコイイ。
ベタですね、でもベタこそがベターなんです。
演じるショーン・パートウィーはこれで一気に有名人になり、バットマンの少年時代を描いたドラマ「GOTHAM/ゴッサム」ではアルフレッドを演じることとなった。
吹き替えは星野充昭さん、ワンピースのマゼラン役が有名ですが自分の中ではこっちのイメージが強いです。
本作のヒロインである動物学者のメーガンですが、何と実は彼女も人狼一族の一人でした。
クーパーとはいい仲になりましたが、結局裏切っていたことを知ったクーパーに非難されてしまいます。
しかし、割と積極的に協力してたあたり本当は都会に出て人狼一族の一員ではない生き方を本気で探していたんじゃないかという気があります。
でも、人狼としての本能には逆らえなかったという意味では悲劇的なヒロインですね。
本作の悪役であるライアン大尉。
性格は傲慢不遜で他人を見下している嫌なヤツ。
クーパーに犬の殺害を強要させ、できないと知ると罵倒とともに追い出す。
さらに助けてくれたクーパーたちの部隊の隊員にも見下した横柄な態度をみせイライラさせてくれます。
さらに実はクーパーたち小隊をおとりにして人狼を捕えようとしていたことも明かされました。
イヤなヤツですねえ。
最終的には自分が人狼になってしまいましたが、一人生き残ったクーパーの前に現れラスボスとしてタイマン勝負を披露しました。
吹き替えは名優・池田勝さん。
いやらしさが画面にあふれ出てくるようで、ダニー・グローバーを演じてる人と同じ人とは思えないほどのウザさがでてくるので吹き替えでの視聴をおすすめします。
犬のサム。
民家でかわれていたと思われる犬。
相手が人狼であっても一歩も引かない負けん気の持ち主でもある。
人懐こいが、ウェルズ軍曹の腸をソーセージと勘違いして噛むなどポカをやらかすこともある。(ここは本作最大の爆笑シーン)
ちなみにかわいい。かわいいは正義である。
この手の映画に出てくる犬猫はたいていヒドイ死に方をしたり、気が付けばあっさりぶち殺されることが多いが、本作ではなんと最後まで生存するという大役をみせる。
とまあ、キャラクターはこんな感じなのだがそれ以上に音楽もカッコよく、テンポもよく、グロ描写もほどよくやりすぎ感がでていてみていて飽きない映画の一つになっている。
さらっといったが、音楽の使い方がいい。
狼男の襲撃が終わった後、満月をうつしながらドビュッシーの月の光が流れる場面があるのだが、ここがなんとも美しいことこの上ない。
この緊張感の上げ下げこそが映画のリズムというものである。
この映画の監督であったニール・マーシャルは以降も「ディセント」や「ドゥームズデイ」といった傑作を作っているが、最近「ヘルボーイ」のリメイクを作ってにっちもさっちもいかない状況になっている。
一度、本作の続編をやってみるのもいいのではないだろうかとおもってみたりもするのですが、皆さんはどう思われますでしょうか?
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