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信じられないぐらい鬱アニメ「スパイダーマン新アニメシリーズ」

スパイダーマンといえばバットマンに並ぶアメコミの稼ぎ頭であるため、様々な手段で映像化されている。

今回ご紹介する「スパイダーマン新アニメシリーズ」もその一つなのだが、本作は他の作品と違い後味の悪さはかなり悪く見終わった後トラウマになること間違いなしだ。

まず本作のレビューから入る前に説明にいきたいのだが、2002年サム・ライミ版「スパイダーマン」が大ヒットを収めた時代に「2」の前日談的な作品として本作は作られていた。

子供向け作品の多かったアメコミヒーローの海外アニメの中では、本作はグロ描写もあったりちょっとエロい描写も多くありまさしくヤングアダルト向けのアメコミヒーローアニメだったのだ。

話の内容はグリーンゴブリンとの決戦を終え、親友ハリーがスパイダーマンへの憎悪を燃やしながらもピーターが大学生活を楽しんで青春とヒーロー活動の両立に苦しみ悩んでいくという王道の内容であった。

だが、出てくるヴィランに変化してしまうのもピーターの大学の恩師であったり、サークル仲間からのいじめに苦しむいじめられっ子であったり、大体はろくな最期を迎えず失意の中で死んでいくという陰惨な話が多くあった。

流石に身内が多く死ぬこと、JJJからのパワハラに苦しんだこと・・・などが様々ながたたってしまいシリーズの中盤でピーターはテレビ局で働くことになるのだった。

さて、スパイダーマンといえば映画史上最悪のヒロインと悪名高いメリージェーンワトソンとも関係に苦しんだピーターはテレビ局の新人リポーターで彼を逆ナンパしたアジア系の女性のインディと仲良くなってしまうのだった。

思わせぶりな態度をとる最低のヒロインのMJだったが、本作ではとうとうお役御免と相成った。

ちなみに本作のメリージェーンはライミ版を参考にしているからか、恐ろしく思わせぶりな態度がイライラするクソビッチと化している、おまけに顔も妙にグロテスクであったりする。(ざまぁかんかんだ。)

インディが幸運を呼び寄せたのか、スパイダーマンに憎悪を抱いていたハリーはスパイダーマンのことを認め始めるようになっていき、学業の方でも成功を収めていくのだった。

ピーターとしても、このインディと仲良くしながら傷をいやしていこう・・・・とおもっていたが運命は思わぬ方向に狂ってしまうのだった。

他者を操れる能力を持ったミュータントの兄妹と戦うことになったスパイダーマン、多少の苦戦を強いられたがなんとか妹の方を倒すことに成功した・・・はずだった!

「相手をよく見ろ、スパイダーマン」

倒したはずの超能力者の女がなんと背後にたっていた。

スパイダーマンは目の前で起きたことが信じられない、「あいつは倒したはずだ。」そう自分に言い聞かせながら敵の女が落下したビルをみつめるスパイダーマン。

そこには傷ついたインディの姿があった!


スパイダーマンは激しいショックを覚えた。

これは罠だったのだ!!

運が悪いことにその光景はテレビで放送されており、アメリカ全国から「スパイダーマンは犯罪者である」と強く報道されることになった。

さらに悪いことにインディは植物人間状態になり、意識が戻ることはほぼ絶望的な状況になった。

ピーターとインディの知人であったハリーはインディの病室を訪れ、怒りのままに告げる。

「あいつは悪人だったんだ!!!」


テレビ番組に出演したJJJ編集長も怒りのまま叫び声をあげる。

「もう出てくるな、スパイダーマン!お前は災いを起こしているだけでしかないんだ!!」


これらの出来事はピーターの心に激しい傷をつけてしまった。

ピーターはその責任を受け止め、これをスパイダーマン最後の戦いにすることを決意激しい攻防の末、超能力兄妹は見事爆死して仇を取ることに成功するのであった。

だが、敵を倒したところでスパイダーマンの抱える状況はよくはならなかった。

親友のハリーはスパイダーマンがやはり危険人物で悪人であったと思い込み、アンジェラは意識を失ったまま、メリージェーンとの関係に進展はあったが・・・それだけでは彼の精神を支えることにはならない。

ピーターはスパイダーマンのコスチュームを詰めたカバンをニューヨーク湾の中に捨て、寂しく告げる。

「スパイダーマンになったことで得られるものはなにもなかった。失うものの方が多かった。ハリーは父を失い、インディはすべてを失った。もうこんなことはやめよう。」

「だから、こう言おう。さようなら、スパイダーマン・・・。」


スパイダーマンのコスチュームの入ったカバンは海の中に沈んでいき・・・この話も終焉を迎えるのだった。

独善的な性格であったが、他のヒーローがいない世界観で孤高に戦っていたスパイダーマンもとうとう折れてやめてしまうというまさかの大バッドエンドで終わる本作。

なんでこんな終わり方にしたのかというと、シーズン2を考えていたがシーズンが続かなかったことが原因であったそうだ。

もしも幻の第二シーズンがあればスパイダーマンの復活につながったのだろうが、それはそれで味気なく、この作品はこれで終わっていることで逆に独自の切なさが出ている傑作になっている。

ちなみに、本シリーズの序盤で出てくるトカゲ人間のリザードの声優を日本語版は大塚明夫さんが、英語版はあのミュージシャンのロブ・ゾンビが演じている。

大塚明夫さんの切ない演技が見ものである。

おそらくDVDがまだamazonで売られており、全10話程度で話もすっきりみられるのでお勧めだ。




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