【実績・ノウハウ紹介】地域おこし協力隊:半年間の募集支援を経て、2名の採用に至るまで~京都府木津川市~
日本全国の自治体様向けに『地域おこし協力隊』制度の活用支援を行っている合作株式会社。
今年度初めて地域おこし協力隊を採用することとなった京都府木津川市の募集支援に伴走し、8名のエントリーから2名の隊員採用が決まりました!
現在、地域おこし協力隊を募集している自治体数は1,164団体(R5年度)。募集する自治体数が増えており、募集に対する応募数は1以下が半数と言われている中(※)、木津川市では8名のエントリーが集まる結果に!
地域おこし協力隊の採用企画から内定に至るまでの半年間、どんなプロセスを経て採用に至ったかを紹介します。(※詳しくは本文中で補足します)
採用企画:募集要項を書き始める前に、まずは企画を練ることから。
木津川市では、10月からの協力隊着任を目指し4月から検討をスタート。
初期の早い段階で合作メンバーが現地を訪問、担当部門の職員の皆さんと現地を巡り、協力隊に活動してほしいと考えているエリアを訪ねながら、地元の方にもヒアリング実施。その上で、今回募集する協力隊に担っていただく業務は、どんな業務が適切か?の議論を進めました。
point💡最も力を入れるのは、採用企画
合作の募集支援で一番大事にしている点は、何よりも企画(※)。時間がかかってもしっかり丁寧に企画をつくりこむことを重視しています。
※協力隊制度を活用する3年間の企画そのもののことを指します
そもそも、自治体として地域おこし協力隊に来てもらう目的は何でしょうか?
その目的のために、どんな人にどんな業務を担っていただくことがよいでしょうか。私たちは、この地域だからこその魅力ある協力隊の採用企画を職員と一緒に練っていくことに最も力を注いでいます。
なぜなら、協力隊受け入れ成功のポイントは、事前準備(企画~採用まで)が5割!協力隊が来てくれたら頑張ろうでは間に合わない!からです。
もちろん任期中に協力隊本人が頑張ること、協力隊の活動をマネジメントすることは言わずもがなです。しかし、現在全国で7,200名が地域おこし協力隊として活動する一方、応募のミスマッチや活動中のトラブルもあとを絶ちません。また、人口減少と東京一極集中が続く国内の人材市場において、有力な大手企業であっても人材採用は困難を極めている中、ただ募集するだけでは人は集まらない状況。曖昧な募集内容では、来てほしい人には来てもらえず、来てもらっても「何をすればいいのかよく分からない」まま終わってしまっては本末転倒です。
だからこそ、地域おこし協力隊制度を使って実現したいことは何か、そのためにどんな募集に落とし込めばいいのか?その事前準備こそまず力を入れるポイントとなります。
◆採用企画を考える4つのポイント
合作では下記の4つのポイントを踏まえ、自治体職員の方々と協力隊の職種設計・業務内容を練り上げていきます。
木津川市の職員の皆さんとは事前のヒアリング・現地訪問、採用企画や募集戦略の検討など募集開始までの間に計9回の打ち合わせを重ね、約3ヶ月かけて募集要項を作り上げていきました。
設計・戦略:地域ならではのポイントを、協力隊業務へ落とし込む
今回決まった募集職種は『ライティング・コミュニケーター』。
木津川市内にあるニュータウン”南加茂台”を活動の舞台として、そこで暮らす方やこれまで南加茂台に関わりのあったさまざまな方への取材や交流を通じて<南加茂台ならではの物語>を集めた冊子をつくり、団地の内外にその魅力を発信するという業務を担っていただくことに決まりました。
地域おこし協力隊に求めるものは、地域ごとにさまざまです。地域おこしの具体的な成果や、定住促進を目的にすることもあれば、地域の産業や事業への就業・起業促進の場合もあります。
木津川市でも初期段階では複数の案がありました。空き家問題、住民コミュニティの支援、まちづくり計画・調査、移住…どのテーマでも、協力隊が関わることは可能ですが、今回はヒアリングや現地訪問を通してこれらの課題に協力隊が現時点で携わるのは時期尚早と考え、地域住民の活動の中で特に盛んな「公民館活動」を取材・発信する“南加茂台の暮らしのトリセツ作り”の業務を合作から提案。
この方向性で職員の皆さんと採用計画の具体化を進めた結果、
職種名:ライティング・コミュニケーター
業務:ニュータウンの魅力を取材し、地域内外に発信するための冊子をつくる
という内容に決まりました。
◆今回着目した“ニュータウン”
point💡業務をとことん具体的に明確に
採用企画の方向性・職種が決まっても油断は禁物。ここからさらに具体的な業務、協力隊の任期の中でどんなステップで業務を進めていくか、その活動のために自治体や地域の中でどんなサポートができるのかの詳細に落とし込んでいきます。
木津川市の職員の皆さんとMTGを重ね、より細部まで協力隊の業務・募集内容を作り込んでいきました。
協力隊に手がけてもらう予定の"冊子"。どんな媒体を想定するのか?誰に向けた発信なのか?どんな効果を生み出したいか?など、さまざまな広報誌や情報誌を参考に検討を重ねました。
特に、「誰に向けて作りたいのか?読み手にどうなってほしいか?」という点は、正解がない問いです。お互いが持つイメージを出し合い、出てきた言葉の意味を更に深掘りしたり、具体化したり、あーでもないこーでもないと何度も繰り返してすり合わせていく作業。
1番時間のかかった工程だったと思いますが、この時間を経て、職員のみなさん同士の考えや想いも一段と深く鮮明になっていきました。
◆“具体化”の例
また、普段から地域の方々との交流を大切にされてきた職員の皆さんならではのアイデアもふんだんに盛り込んでいきます。
1年目、2年目、3年目の業務のステップを考える上で、地域の人と良い関係を築いていくための活動方法として<「はじめまして活動」「お知り合い活動」「お隣さん活動」>という、わかりやすい活動表現が生まれたりもしました。
業務を具体的に明確にするからこそ、その業務に必要な要件や募集する上で求めたいスキルや経験も具体的に見えてきます。
1年目~3年目のステップを明確にしたことで、自治体や活動する地域からのサポートも「このタイミングではこういった支援ができそうだ」と関わりしろが明確に。
サポート体制や自治体として用意できる福利厚生なども募集要項に記載することで、協力隊としての活動イメージをより鮮明に描いてもらいやすくなると同時に、魅力ポイントになっていきます。
こうして約3ヶ月かけて出来上がった募集要項がこちら。
文字量は少し多い印象かもしれませんが、改めてポイントを意識しながら読んでみると、一言一言とても具体的に考え込まれた内容であることが感じ取れると思います。
協力隊を考えている立場だとしたら、とても具体的に活動のイメージが膨らむと思いませんか?
募集開始:一人ひとりのアクションが肝。どこに情報を出していくかも戦略的に。
募集要項ができあがったのが6月中旬。ここからいよいよ情報を公開し、募集開始です。
今回の募集期間は約5週間。移住・交流推進機構が運営する地域おこし協力隊募集サイト『JOIN』への掲載の他、今回は有料の求人サイト『LOCAL MATCH』への掲載や、地元メディア『京都移住計画』に宣伝を依頼するなどの情報拡散をサポートさせていただきました。
この段階で欠かせないのは、募集している自治体・担当する職員の方々からの直接の情報発信です。掲載が可能な市役所や京都府の移住関連のWEBサイト・SNS、個人で連絡が可能な対象をリストアップし、情報発信の協力を依頼。担当職員にも各自10~20人程度に直接ご案内いただき、「今私たちのまちで地域おこし協力隊を募集しています📣」を広めていただきました。
▼木津川市の公式Youtube内で、説明会動画も配信
平均を大きく超えるエントリー数!
職員自らの発信も功を奏し、今回は8名からエントリーをいただきました!
1募集あたりの平均倍率は約2倍と言われている中(※)、今回の募集では8名ものエントリーが集まり、「適任の方を採用できて良かった」とコメントをいただきました。
(※)正式な統計データは公開されていませんが、独自の調査によると1募集あたりの応募倍率の平均は約2倍程度とされています。実際は人気のある自治体の募集に応募が集中するため、採用可能性のある適任者の応募数は1名以下の募集が50%前後と推測されます。
協力隊の隊員数も年々増加していますが、募集している自治体数も増している昨今。自治体としての知名度や地理的要因、過去から継続している協力隊の活動によって人気を集めている自治体に応募が集まりやすくなっているため、「〇〇(地域名)で地域おこし協力隊を募集します」ではなかなか注目も応募も集められません。
だからこそ、”自分たちの自治体ならではの魅力を踏まえた募集をつくること”がますます重要なポイントに。
応募数を集めることがゴールではありませんので、協力隊制度活用の目的を明確にして、魅力的な募集をつくり、来てほしい人に来てもらうための事前準備と募集活動が大切です。
採用はスタート:協力隊制度を活用するのは、誰?二人三脚で力を合わせてこそ成功。
地域おこし協力隊の制度活用のポイントはいくつもありますが、忘れてはいけない大前提は<自治体(職員)と協力隊が二人三脚でつくりあげていくもの>。協力隊に何かしてもらおうという受け身や単なる業務の委託ではなく、協力隊が活躍できる環境やマネジメントの体制を整えて一緒に伴走する、任期中に一緒に動くことが大切です。
その点、木津川市の職員の皆さんはとても熱心に今回の採用企画の作り込みに取り組んでくださいました。業務の具体化は、何より職員の皆さまが率先して真剣に考え抜いてくださったからこそ出来上がったもの。
そして、ここからが本番です。着任前にも改めて業務やサポート内容のすり合わせ・見直しを行ってくださっていました。これから始まる3年間の二人三脚、きっと想像を超える面白さや成果に繋がっていくことと思います!
今回は特に採用企画の作り込みに重点を置いて紹介させていただきました。いかがでしたか?まだまだお伝えしたいポイントはたくさんありますので、気になる自治体の皆さまはぜひお気軽にお問い合わせください。
合作では30を超える全国の自治体で協力隊の募集支援や、職員向け研修、隊員向け研修などを実施しています。
「担当職員が変わって制度理解が進まない」「募集がうまくいかない」といったお悩みをお持ちの自治体のみなさま、ぜひお気軽にお問い合わせください✉(担当:事業共創チーム)
https://gassaku.co.jp/contact/
#合作 #地域おこし協力隊 #地域おこし協力隊募集のポイント #木津川市