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客船の動線距離の設計

こんにちは。最近ちょっと勉強が楽しくなってきたおのしゅんすけです。


さて。今日は客船の動線距離の設計についてまとめます。


ポイントは疲労感

前回のブログで一日の動線距離が肝心だという話を少ししました。


適切な動線距離がもたらすものは適度な疲労感で、その先の疲労感が生む一日の満足感です。

しかし、疲労感が足りていないとそれは不満につながります。具体的にはテーマパークを半日で回り切ってしまい、かつまだ元気が余ってる状態です。当然「もう終わりか」という不満につながります。

では、この適度な疲労感、つまり適切な動線距離はどう作るのか。

これ実はヒトの太古からの行動範囲に決まっているんです。

動物のサイズやエネルギー消費に関係しているそうなんですが、ヒトの行動半径は2キロメートルだそうです。

太古の時代の歩行距離を考えるには円周で考えた方がいいらしく、半径2キロなら円周はおよそ12キロと少しです。

ゴルフの一ラウンドが7~8キロらしいので、そこに1日の生活距離を考えればちょうど12キロくらいになります。

つまりゴルフの1ラウンドは人間のちょうどいい歩行距離になるんです。

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なので動線距離が7~8キロに設計されているテーマパークは適度な疲労感を与えることができます。

事実としてTDLのゲストの平均滞在時間はおよそ7時間でこれは適切な動線距離を歩かせることになります。


ここからが考えどころです。

客船では…

世界最大の客船シンフォニー・オブ・ザ・シーズでさえ全長362m、全幅65mしかありません。これは端から端なので実際はもう少し小さい値です。

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これでは1日7~8キロなんてとても確保できません

解決策の一つとして、船には高さがあります。

つまり何層にも渡ってエリアをつくることで歩行距離を稼ぎます。

が、あくまで欧米人はそれでいけますがやっぱり日本人は難しいです。

理由は別のブログにも書いたのですが日本人は一気にすべて見てしまいます。なのでワンフロアの滞在時間がそれほど見込めません。


この解決策としてはあえて不便にしてみるべきなのかもしれません。

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階段がたくさんあると途中で上に行ったり、下に行ったりできてしまいます。

が、例えば縦に長い船の端っこにしか階段がないという状況にします。

すると

・どうしても上の階に行きたい→階段まで行く→歩行距離が増える

・上に行きたいけど階段まで行くのはめんどくさい→その階に留まる→結果船内を一周するのが先送りになる(ゆっくりになる)

こうすれば一つ一つのフロアの充足度がしっかり高ければ結果として満足度は高くなると思います。

これにより生まれる不満は部屋が遠くなることだと思います。これはまた別に解決策を考えたいと思います。それでは。

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