見出し画像

〝偶然〟を制する者は、人生を制することができる

【超訳】エフェクチュエーションは、「できない理由」に対する見方を一変させる原理。「できない理由」ではなく、「リスク最小限な状況のうえで、今できることに絞って始める」方法だ。不確実な社会において、エフェクチュエーションは間違いなくビジネスの主流になる

エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」 吉田満梨・中村龍太
超訳まとめシート

冒頭で「エフェクチュエーション」について、このような紹介をされている。「熟達した企業家に対する意思決定実感から発見された、高い不確実性に対して予測ではなくコントロールによって対処する思考様式」。

分かるようで、分からない。分からないようで、分かる。このモヤモヤした感情は再読することで全て納得感に変わった。

著者のメッセージを届けるなら「新しいこと考えるといっても自分にできることからで大丈夫!もっと肩の力を抜いてやればいいんだよ!」ということが読後感である。

大事な論点が繰り返し論考されているため、やや冗長的な部分もあるため、より本質を凝縮した内容でまとめてみたいと思う。

【5つの原則】コーゼーション VS エフェクチュエーション

自作まとめ比較

この書籍では、コーゼーションとエフェクチュエーションの二項対立で紹介されている。どちらが優位かではなく、「予算がない」「人脈がない」といった手持ちの条件に制約がある中で、従来型の戦いをしても成果を出すのは難しいという着眼点から、このエフェクチュエーション(手元にあるものとできることで戦おうよ)という考え方が生まれている。

エフェクチュエーションの実験モデルには、以下のような条件が設定されている。

・個人・チームを問わず、1社以上を起業
・創業者としてフルタイムで10年以上
・最低でも1社以上を株式公開

このような高いハードルの起業家を分析した結論は、「起業家の特性や特質ではない」という驚くべきものである。もちろん、個人に拠るところはあるだろうが、注目すべきは論理・思考プロセスの理論化であり、それが5つの原則だ。本書では5つの原則に対応する形で、コーゼーションとエフェクチュエーションの比較がなかったので、まとめ直しをしてみた。
以下では、簡単に各原則のポイントをまとめておきたい。

①手中の鳥の原則

英語の諺「手中の1羽は、藪の中の2羽の価値がある」に由来するものだ。
不確実な資源を追い求めるよりも手元の資源を大切にすることである。それを把握するためにも、「私はだれか」「何を知っているか」「誰をしっているか」+「余剰資源」を把握することで具体的な行動を起こすことが可能になる。

②許容可能な損失の原則

熟達した起業家は命がけのジャンプはしない。予測不能なリターンの可能性のために特別な努力を払う代わりに、「失うことを許容できる範囲」においてのみ資金や投資を行うことが共通点である。
予期せぬ事態は避けらないことを前提に最悪の事態が起こった場合の損失をあらかじめ見積もり、許容できるなら実行することで意思決定を行なっている。

③クレイジーキルトの原則

一番の特徴は、自発的な参加者を重視することだ。パートナーシップという考え方に対して、「売り込む」ことよりも「何を共創することができるだろうか?」と考えて積極的に関わることだ。同じ人が複数の役割を果たすこともあるなど、多様なコミットメントを提供することができる。

④レモネードの原則

名称の由来は「人生が酸っぱいレモンを与えるなら、レモネードを作れ」という格言に由来するものだ。望ましくない予期せぬ事態が生じても、新たな行動のための資源として積極的に活用することで、新しい価値を生み出すための考え方だ。「ナイトの不確実性(計測不可能な真の不確実性)」への対応こそが起業家が利潤を手にすることができる源泉であると認識している。

⑤パイロットの原則

不確実な未来に対して「コントロールできる範囲において予測は不要」という前提のものと、コントロール可能な手持ち手段に働きかけることに集中する。「ナイトの不確実性」、「目的の曖昧性」「情報の非対称」な課題にこそ、このパイロットの原則は有効に機能する。

最初に発表された論文でも両者は逆方向に作用するわけではなく、補完的に機能することが指摘されている。しかし、「豊富な経験を積むにつれて、エフェクチュエーションを熟達し、好んで用いるようになる」ことが紹介されているのは特筆すべきことである。

エフェクチュエーションのプロセス全解剖

プロセスを加筆

前半に紹介された全体図だが、どのよう要素がどの原理に対応しているのかが分からなかったので、原則を赤字で追記した。本ではレモネードが先、クレイジーキルトが後に紹介されているが、プロセスの流れを追っていくとクレイジーキルト→レモネードの流れで把握すると断然理解が深まる。

もし、本書を読む機会があるならば、ぜひこの見取り図を参考にしていただきたい。「置かれた場所で咲きなさい」ではないが、今の環境に不満足であっても、できることから行動することで、少なくとも経験が積まれることで、自身の手段と目的はアップデートされるのだ。

エフェクチュエーションはビジネス外でも応用できる

エフェクチュエーションは、物事の認知の仕方であるともいえる。俯瞰的に捉えることで、感情的な判断を避けたり、アンガーマネジメントの訓練、部下の指導や教育といったハラスメント対策にも応用することができそうだ。ポジティブシンキングというのは、思い込むことではなく、体系的な理論を知り、日常生活で実行していくことではないだろうか?

「♡」は、誰でも(noteにアカウントを作っていない方でも)押すことができます。この投稿を「いいな」と思った方は、気軽に押してもらえると嬉しいです。もちろんフォローも嬉しいです!

ハラスメントゼロの社会へ!サポートは財団活動費として大切に活用させていただきます。