自由であることの尊さを再認識する年度末

 卒論と修論と年度末の業務におわれている。毎年のことだ。文化的雪かきをひたすらに行う。理系的なレポートの書き方すら習得出来ていないであろう学生の、とても論文とはいえない得たいの知れない「文字の書いてある何か」を論文として生まれ変わらせていく。コメントをつけ、体裁について注意し、参考論文を読むように促し、誤字脱字をなおし、不思議な空白行を消しては戻され、算数を統計に昇華させ、少しずつ、少しずつ論文へと変貌させていく。並行してプレゼンのだめ出しをする(最近はプレゼンは良く出来る学生が増えてきたので、かかる時間は減少している)。

 毎年の恒例行事も今年の終わりがみえつつある。ぼやっとゴールが見えてきた。ホッとしている。

 ただ、いつもと違うのは、この後だ。卒業論文発表会がオンラインだとか、修士論文の発表会への参加が少人数予約制だとかではなくて、全てが終わった後の「楽しみ」がないのだ。毎年であれば打ち上げがあったろう。送別会もあっただろう。いわゆる飲み会と称するものは、この先も出来そうにない。そもそも今年は研究室としての飲み会は一度もなかったのだ。行動制限がやや緩やかだった時期に、博士課程の学生と論文アクセプトのお祝いで、屋外(キャンプ場)で二人で酒を飲んだ(そして泥酔した)ぐらいか。ただ、まぁ今の若い方は飲み会そのものを好まない方も多いので、それはそれで良いのだろう。飲みに行くよりも、研究室にケーキを買っていった方が喜ばれる時代だ。

 深刻な問題は家庭の方だ。例年、12月後半から2月にかけては、卒論/修論、年度末のあれやこれやに追われて、家族と過ごす時間はぐっと減る。特に卒論や修論の〆切が迫ってくると、土曜も日曜もなく、年によっては学生と一緒に大学に泊まり込むこともある。何年か前には、一緒に3日ほど泊まり込んで、無から有の状態になったのを見届けて仮眠したら審査会に寝坊したこともある。なので、卒論/修論が終わったら、ひとまず週末や有給を使って、どこかに出かけるのが我が家の常だった。原稿の上がりを待つ編集者状態の待ち時間に予約サイトを検索して温泉宿を探したりするのが楽しみだった。だが、しかし、今の我がド田舎県の状況は酷い有様で、当然ながら所属組織のルールは過去最も厳しくなっている。仕方のないことだが、何も家族サービスを打てる手がない。

 そういう意味で「自由の尊さ」を改めて再認識している。行きたい場所に行けるというのは本当に尊かったんだなぁ、と。

 家族にまでおよぶ行動制限の中で、家族にも相当の我慢をさせてしまっている。うーん、何かないものか、考えてはいるがキャンプ場にすらも行けない状況で何も出来ない。家の中で出来ることしかない。桃鉄は楽しいが、私のせいで暫く時間が空いてしまった。桃鉄を再開するぐらいしか浮かばない。私としては、卒論/修論に追われて中断したままの自分の投稿論文の執筆を再開出来れば、それなりに楽しい日々になるので良いのだが、何か家族にも楽しみを・・・と思うのだ。原稿待ち編集者になっている時に、いわゆる「おうち時間の過ごし方」みたいなサイトも見て回るが、いまいちアイデアが浮かばない。

 悩んで最初にひねり出した案は、自宅のiMacがそろそろ限界に来ているので、子供と一緒にXX年ぶりに自作PCを組むというものだった。この先、塾やら予備校やらもオンラインで参加出来るようになるから、今からPCをイチから自分で組み立てて、OSのインストールをして、必要なパーツ(今ならカメラやマイク)を増設するというのも悪くない。ただ、既に息子君はノートPC一台、タブレット1台持ってるからなぁ。PC1台組もうと思えば、そこそこの出費になる。

 そこで次に考えたのが、ラズベリーパイの工作キットである。以前から実は自分もチャレンジしてみたかったのだ。これを子供に渡して、一緒に何かを作るというのも悪くないのではなかろうか。ただ、いきなり工作キットを購入しても興味を持ってくれなかった時が寂しいので、まずは初心者向けの工作ガイドの本を購入して興味をもつかどうか見てみようと思う。いくつかの工作例も載っているようで、監視カメラが乗っている本にしてみた。これで庭にうんこをしにくる野良猫くんを撮影してみないか?と声をかけてみようと考えている。興味を持ったら、私も勉強ついでに(ラズベリーパイは弄ったことが皆無だし、手先も器用な方ではない)ラズベリーパイで遊んでみようではないかと考えている。

 ・・・なんとなく積読になるか、もしくは結局は私だけが楽しんでしまうような気もするが・・・モノは試してみないとわからないので、まずは本を注文して子供に見せてみよう、とぽちっと押した。もし興味をもったらラズベリーパイ本体を購入するだけでなくて、センサーやら何やら必要なパーツを購入することになると思うので、家族3人で温泉に泊まりにいくのと変わらない出費になるかもやしれない。でも自分もやったことのないモノの方が、家族みんなで楽しめるのでは、、、と期待をしている。届くのが楽しみだ。・・・どっかでモニターを拾ってこなくては。。。

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