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卒業ははじまり

「卒業は終わりじゃないよ。新たなはじまりだからね。あなたの人生はまだまだこれから。これから何でも出来るんだからね。」

中学校生活の最後に日に担任の先生から言われた言葉。

決していい生徒ではなかった。
むしろ迷惑しか掛けてこなかった。

中学校生活を一言で言うと「ひたすらに荒れていた」
学校が荒れていたのもあるけれど、自分もとにかく荒れていた。笑

窓を見ると、机や椅子が降ってきたり、廊下でバイクや自転車を乗り回したり。そして毎日のように喧嘩したり。とにかくやりたい放題だった。

平気で人を傷つけて、誇れるようなことは何もして来なかった。

ただ自分が楽しければいい。それしか考えていなかった。

将来について考えたこともなかったし、夢もなかった。

大人や周りの先生たちから

「頼むから学校をやめてくれ」
「お前の存在が迷惑だ」
「生きてる価値がない」

そんなことを言われ続けていた。

今感えるとひどい言われようだけど、そう言われてもしょうがないようなことをしていた。

そんな中で、何があっても自分の味方でいてくれて、いつも向き合って、本気で想って、本気で怒ってくれたのが担任の先生だった。

「何でそんなことをするの?」
「相手の気持ちを考えたことある?」
「あなたは変わることが出来る」
「相手を想って、ちゃんと考えて行動しなさい」
「気に入らないことがあるなら、どうしようもできなくなったら私に言いなさい」
「人に迷惑をかけることがどんなこと考えなさい」
「あなたの言葉で、行動で傷つく人がいるのを忘れてはいけない」

本当に沢山の言葉をもらった。

これだけ向き合って、想ってくれる人はなかなかいないのに、そのころの自分はただ「うるさい人だな」としか思っていなかった。

警察に呼ばれた時も、いつも、どんな時でも駆けつけてくれた。

多分周りの先生たちからは「あいつは諦めた方がいい」「あいつのことは気にするだけ無駄」「先生にとっても良くないですよ」「迷惑掛けられているし、あいつは変わらないですよ」

そんなことを言われていたのに、その人は「大丈夫。あの子は変われますから」。

いつもそう言ってくれていた。

そんな先生の想いに気づくこともなく、変わらずに、高校も行かないで、仲間と楽しく過ごせればいいと思っていた。

そんな中学3年の12月にある出来事が起きた。

自分のこれまでを、そしてこれからを変える出来事。

きっと一生忘れることはない。

そしてその出来事があって、このままではダメだと思った。
自分は変わりたいと思った。

どうしたらいいだろう。

そう思った時に、まずは高校に行こうと思った。

小学校と中学校とほぼ勉強をせずに過ごしてきて、高校も行かないつもりだった自分がいきなり高校に行こうと思ってもどうしていいか分からなかった。

そして思いついたのが担任に相談することだった。

今まで迷惑しか掛けて来なかったのに。
変わるかどうかも分からなかったのに。

その人は自分の道を作ってくれていた。
変わると信じて待っていてくれていた。

訪れるか分からない中で、自分が高校に行きたいと言ってくる時のために、自分が行ける高校を探して、勉強ができない、授業をほとんど受けていない自分でも行ける方法を用意してくれていた。

まずは一般入試で高校に挑戦することに。

自分の予想通り、問題が全然分からず、結果として不合格に。

そしてヘラヘラした感じで、その人に「落ちました」と言ったら、目の前でその人が泣いていた。

「あなたなら絶対に行けると信じていた」と。

何があっても動じることなく、自分を信じ続けてくれていた人。
常に気丈に振舞っていた人。

その人が、今目の前で泣いている。

自分は本当に最低だと思った。

信じて、想って、向き合ってくれた人を裏切ってしまった。

本当にこのままではダメだと想思った。
変わりたいと思った。

そして併願という方法がまだ残されていたので、併願入試にかけることに。

そして何とか高校に行けることになった。

中学3年の12月に高校に行きたいと思って。
そして高校から合格通知をもらった2月。

2ヶ月弱を本当に共に過ごしてくれた。

そして迎えた卒業式。

何とか高校にも行けることになって、卒業することもできて。

自分一人だったらきっと無理だった。

その人がいたから拓けた道。

「本当にありがとうございました」。

そう言って頭を下げた自分に。

「卒業は終わりじゃないよ。新たなはじまりだからね。あなたの人生はまだまだこれから。これから何でも出来るんだからね。何度でも変わることができるんだからね。人の痛みを知っているあなたなら大丈夫。」

「もしこれから先、迷うことがあっても自分を信じて進んでいってね。」

その言葉は今も忘れていない。

その言葉を胸に今も行動し続けている。

人を想うこと、人と向き合うこと、人を信じること。
たくさんのことを教えてくれた。

3月のよく晴れたあの日。

新たなスタートを切る事ができた。

卒業式ではあったけど、新たなはじまりの日だった。

文:がんちゃん

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