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保険適用で使える主なオプション(不妊治療)

簡単ながら、保険診療で活用でき、有用と考えられるオプションをご紹介しておきます。

1.AHA(アシステッドハッチング)

透明帯開口法とも言われます。
受精卵を凍結した際に、受精卵の透明帯という外側の膜のような部分が固くなってしまうことが確認されています。

ちょうど、親鳥が卵をつついて、ひな鳥が卵から出てくるのを助けるようなイメージで、レーザーを用いて、固くなった透明帯に穴をあけ、脱出を促進するというものです。

融解胚移植の成績を向上することが報告されていますので、現時点では主に凍結胚移植の方のためのオプションと位置づけられています。

新鮮胚移植の方でも医師が必要と判断すれば実施は可能です。

2.高濃度ヒアルロン酸含有 胚移植用培養液

ヒアルロン酸の持つ粘着性の特性を活かして、胚が子宮に着床するのを助けようとする方法です。
主に、一度は胚移植を実施していて、うまくいかなかったという方が対象です。
実際に保険診療開始から3ヶ月の成績を見ていますが、思っていたよりもかなり大きな妊娠率の向上が確認されていたことに驚きました。
(データ解析をしっかり行うには、まだまだN数が足りません)

なお、この培養液は、同じ文言で使用される胚発育用の培養液とは異なります。

3.卵子活性化

顕微授精を行うものの、正常な受精率を大きく下回る受精障害が考えられる方を対象に行う受精の補助的な治療です。
受精率低下の原因に、卵子や精子が自分の力で受精のために必要な「活性化」を起こせなかったことが考えられます。
顕微授精後の卵子をストロンチウムまたはカルシウムイオノフォアという薬剤を含む培養液で培養するというものです。


これら3つの技術は、保険収載されているものなので、3割負担での実施が可能です。

こうした細かな技術の組み合わせや積み上げで、少しでも高い妊娠率を実現しようというふうに、医療現場では考えられています。

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