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受精卵でなく、患者さんを見なさい。

先日、私の所属する医療機関でも取材いただいたジャーナリストの河合蘭さんの記事を紹介します。

この記事を見た時に、僕は驚きも、慄きもしたし、同時にどこかで、医療者側の気持ちがわかるようにも思いました。

不妊治療が保険適用になり、医療者側の対応は変更を余儀なくされました。
一般的に医療機関の報酬は下がり、患者さんの数は劇的に増え、守るべきルールが増えました。
それでも、医者の数、スタッフの数は変わっていないわけです。

どうしても、患者さんの意見を傾聴する時間がなく、決まっている仕組みの中で機械的な判断がくだされることには一定の理解をもってしまう。

ただ、僕をこの領域で育ててくれた今のボスの言葉が常に胸にあります。

グレードではなく、患者さんを見なさい。

もちろん、ルールもある。
でもその患者さんはどういう方で、今回の採卵で得られた受精卵にどのような意味があるのか。

確かにグレードがCCなどになれば、確率は下がるでしょう。
でも0%じゃないんです。

かといって、それを残していては、新しい採卵ができない。
より妊娠に近い受精卵に出会うチャンスが制限される。
それも考えないといけない。

だからこそ、患者さんのこれまでと今をしっかり見つめて、
今回の受精卵がどのような意味を持つのか。

受精卵ばかりを見ているのではなく、患者さんを見なさいという言葉を今こそ大切にしていたいと感じさせられる記事でした。

河合蘭さんの記事にはいつも心が揺さぶられます。

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