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サッカーキックにみられるムチ動作のダイナミクス

サッカーにみられる最も典型的なムチ動作はキック動作時の下肢にみられます。何種類かあるキックの中でもインステップキックは、ヒトの最も基本的な動作である歩行・走行中の下肢の動きに近く、無理なく足部を前方へ加速させることができるため、最も早い足部速度(ボール速度)を生み出します。

インステップキックの下肢ムチ動作に関する研究では、特徴的なムチ動作として「大腿部角速度の増加に連続して起こる下腿部角速度の急激な増加と、ほぼ同時に起こる大腿部角速度の減少」と論じています。
これは要するに、キック動作では太ももの加速後に下腿が加速し、ほぼ同時に太ももが減速することで、まるでムチのように末梢の足部の速度が上がるということです。

特に、ボールインパクト直前に下腿部に作用する動作依存モーメントは、その大部分が蹴り足の動作ではなく、支持脚の動作によって生じていると考えられています。
これは、キック動作の終盤で非常に高い角速度にされされ、ほとんど張力を発揮できない蹴り足側の筋を利用するのではなく、ほぼ止まった状態にある支持脚側の筋力を利用することで大きな力を発揮しやすくすることは、理にかなったコーディネーションです。


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