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三十路を安心したい

今日は成人の日。
全国各地で、それぞれの成人式が行われた。
20歳を迎えた一人ひとりが、思い思いに一生に一度の時間を過ごしたことだろう。
一生の思い出になる人も居れば、一生のトラウマになる人も居るかもしれない。人によって大きな変化がある1日であることは間違いない。

さて、時は2018年。
僕は昨年ちょうど30歳になった。
今日は、30歳で迎える初めての成人の日だ。

30歳は人生の1つの節目ではないだろうか。

30回目の誕生日、唐突に30歳を迎える。
30歳になったからって何が変わる訳でもないだろう。
29歳365日目の自分の延長線上に30歳の自分が居る。

しかし、精神的には大きく変わる。
20代だった自分と30代になった自分は違う。

不安になるのだ。

それは婚期を逃したからとか、出世できてないからとかとは違う。

結婚に対しての焦りはそこまで無いし、元々、競争が苦手な人間としては出世を目指したことなど一度も無い。(管理職の経験が無いことは悩ましいが)

思っていた30歳とのギャップに不安になるのだ。

リリー・フランキー氏と福山雅治氏が、この前の『ウタフクヤマ』で「思い描いていた大人に今もなお、なれていない」みたいな話をしていたが、まさしく、20代までに思い描いていた30代はこんなはずじゃなかったのだ。

もっと自我を確立しているはずだったし、仕事も脂が乗りまくっているはずだった。マイホーム持つくらいの余裕があってもおかしくなかった。
こんなに迷いの多い生活をしているはずじゃなかったのだ。

迷いが多いのは僕自身がフリーランスという生き方を選んだことも大きいだろう。定められた未来が無い(今や、有る人の方が少ないだろうが)からこそ、迷いも多い。
でも、SNSや周囲を眺めている限り、迷いが多い30歳がほとんどじゃないだろうか。迷いが無い30歳なんて居るんだろうか。

***

ここで、こうした不安の原因となっている「思っていた30歳」という曖昧なものについて考えてみる。すると、それは、メディアに出る人々と、身近で見ていた家族や学校の人、近所の人でしかないことに気づく。

限られた人たちの、しかも表面的なものを見て勝手に想像したイメージ。
もしかしたら、自己啓発本やマンガなんかに30歳像についての記述があったのかもしれない。統計データを読んだのかもしれない。でも、特定の30歳に細かく実状を聞いたことなんて無い。

メディアに取り上げられるのは特別な30歳だ。
特別なことを成し遂げたか、特別な才能を持っているか、特別な状況に置かれている人しか、ほとんどメディアには取り上げられない。

統計データもアテにはならない。平均値を出されたところで意味が無い。
個別にどういう家庭環境で、どういう勤務状況で、どういうキャラクターの人に対するアンケートなのか、個人を詳らかにした回答で無いと、想像上の存在と相違ない。

要するに僕は「思っていた30歳」のことを何も知らない。
具体的な30歳のイメージなんて何一つ持っていなかったのだ。

そんな何も知らないことに対して、現実とのギャップから感じる不安。
姿の見えない幽霊におびえる子どものようだ。

ならば、知れば良いのではないだろうか。
知れば、その不安を減らせる可能性が出て来るのではないだろうか。

もちろん、この世のすべての30歳のことを知ることなんてできない。
しかし、少なくとも東京に生きる様々な30歳のことを知れば、その生き方の多様性を体感すれば、近しい悩みを持っていることを理解できれば、不安を少しは解消できるのではないか。

一人ひとりの生き方や考えを知ることで、逆に打ちのめされてしまうリスクも孕む諸刃の剣ではあるが、何も知らないで怯えている状態よりはマシな気がする。

ならば、30歳を知る機会を作ろう。

僕の今の主な仕事はライティング/編集/コミュニティ支援。
プライベートではコミュニティスペースの運営とイベント企画などをしている。

イベントで座談会などを組んでも良いかもしれない。ただ、どうしても、一人ひとりを掘り下げることは難しくなるだろう。

答えは最初から出ていた。
インタビューをしよう。

まずは身近な同級生などから。その後は、その紹介や公募から。
できるだけ、色んな生き方をしている人を紹介できると良い。
公務員やサラリーマンやフリーランスだけでなく、仕事が無い人も。

メディアに取り上げられるような特別な生き方をしている人ではない。
最近のローカルメディアで言われる「地域の隠れた面白人の発掘」なんてことはしない。

それぞれの生き方をしている「30歳のリアル」を紹介したい。

その具体的な多様性を見せることで僕のように不安を抱える人の不安を解消できたら。

***

最近『南瓜とマヨネーズ』という映画を観た。
主人公は、ライブハウスで働く女性。ミュージシャンを目指す彼氏を、時に水商売に手を出しながら支えていく。
映画を観ながら、日常を細やかに描くことで立ち上ってくるドラマ性に感動しながら、ふと、最近、行ったライブハウスの受付の女性のことが頭をよぎった。
音楽が好きで、色んなライブハウスを訪れているはずなのに、今までにライブハウスで働く人のことなんて想像したことも無かった。
彼女ら・彼ら一人ひとりにも、この映画と同じとは言わないまでも、悩みがあるはずだ。人生について、彼氏・彼女について考えていることがあるはずだ。

考えてみれば、僕達が普段観ているテレビドラマの主人公は、ほぼ普通の人。近年、話題になった「逃げ恥」も「カルテット」も主な登場人物のほとんどはメディアに取り上げられることが無いだろう。(maki makiさんは事件で新聞沙汰にはなってしまったが)

そうした普通の人の努力や、生き様や、考え方や、関係性に感動するのだ。
時に、生きる希望をもらったりするのだ。

「普通」の定義は難しいが、ここでは「メディアなどでは取り上げられない特別ではない人」としておこう。

そうした「普通の30歳」を紹介するインタビューメディアをやりたいと思う。

まだまだ構想段階だ。
メンバーは僕ひとり。

以前、谷根千のローカルメディア運営をひとりではじめて、3ヶ月で頓挫した経験があるので、なるべくチームで動きたい。

スポンサーを付けて、有償で回せたら良いのだが、メディアの価値が上がらない限りは当面は難しいだろう。

こんな「普通の30歳」にインタビューするウェブメディアに興味がある人、是非、コメントやメッセージを頂けたら、嬉しい。

できれば、あなたも30歳ならなお良い。近々、30歳になろうとしている人でも良い。

インタビューしたい人でも、ライティングしたい人でも、カメラやりたい人でも、デザインしたい人でも、編集したい人でも大歓迎だ。

三十路を安心したい人、ぜひ。