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「旅だけ番組」

旅だけ番組(造語)[→たびだけばんぐみ]
旅するだけの旅番組
「旅番組の中で-こそ至高。」

旅番組が好きだ。「紀行番組」「街歩き番組」「さんぽ番組」なんて言い方もある。どこかに行ってる番組であれば基本的に何でも旅番組。その射程は広い。

ググってみたら、地上波とBS併せて、こんなに有るみたい。人気コンテンツ。

旅番組・紀行番組・街歩き番組・散歩さんぽ番組まとめ【旅番組一覧】|ザテレビジョン 

なんで人気なのかと言うと、恐らく、他の番組に比べてスタッフ側の準備が楽な割に、安定した視聴率が稼げるからな気がする。現地に行って、現地の人と話して、現地の魅力を取材すればOK。本来は、事前の取材依頼などが必要だけど、最近は事前調整を行わない、現地交渉自体をコンテンツの1つとして考えてるフシもある(個人的には反対だけれど)。そうなったら、行く場所とメンバーさえ決めれば、あとは、出演者にお任せしてカメラやら照明やら音声やら警備やらを回せば済んじゃう。多くの人間は旅行欲があって、知らない場所に行くのが好きだから、ある程度の魅力がある場所ならどこでも安定した注目は集まる。

ほぼ一通り、観たことあるけど、個人的に好きで定期的に観ている旅番組は、ここらへん。
・モヤモヤさまぁ〜ず2
・有吉くんの正直さんぽ
・バカリズムの30分ワンカット紀行
・出没!アド街ック天国
・アナザースカイII
・ブラタモリ
・バナナマンのせっかくグルメ!
・新日本風土記
・なりゆき街道旅

そんな旅番組好きが今、一番オススメするのがBS朝日毎週金曜夜10:00~の「迷宮グルメ 異郷の駅前食堂」。

前々回から見始めたばかりなのだけれど、メチャクチャ感動してツイートしたら、まさかの出演者ヒロシさんまでツイートが届いて、プチバズリ。

ツイートの通り、ヒロシさんが世界各国のとある駅に行き、その駅の近くにある食堂を目指して、現地の人とコミュニケーション取ったり、探検したりするだけなんだけど、なんかメチャクチャ良い。

特別なことは何もしてない。事前準備も恐らくほぼしてない(ように見える)。スタッフも恐らく最小限で、世界各国に旅してるにも関わらず、通訳もつけてない。ヒロシさんは、日本でのイメージとはかなり違って、全く物怖じせずに色んな人にバンバン話しかけていく。基本的には日本語と英語で。ほとんどは通じてないし、時々、認識を間違えたまま過ぎていく(番組上は字幕で正しい情報が出る)。でも、本来は、それが自然な旅であるはずで。そこには予定も決まりごとも無い。別に、駅に一番近い食堂である必要はなくて、ヒロシさんの嗅覚に従っていくつもの店を見て、店選びをしていく。食べてる時の反応も極めて正直に見える。マズけりゃマズいって言ってくれそうな信頼感がヒロシさんには有る(今のところ、嗅覚が全部当たってるか、ハズレはカットしてるのかもしれないけど)。

僕は、こうした番組を「旅だけ番組」と呼びたい。予定も決めず、事前に決まっているのは行く場所だけ。事前にリサーチもせず、現地で何があっても旅を継続する。現地でスタッフがサポートしたり正しい情報を教えたりもしない。それを、特別な編集をすることもなく、基本的には、そのまま出す(間違ってる情報だけ正す)。

極めて真っ当な、というか原始的な旅番組なのだけれど、これが、実際にやるとなかなか難しい。明確に、出演者のキャラが出てしまうというか。間にゲストの方とのトークなども入らない分、場所と出演者の魅力勝負。

ポイントは、現地の人とどれだけ話をするか、な気がする。他の旅番組だと、メインコンテンツはゲストとのトークだったり、レストランでの食事シーンだったり。でも、この番組におけるメインコンテンツは、完全に現地の人との会話。基本的に、言語は通じてないはずなのに、なんとなくコミュニケーションが成り立ってる。非言語だと、一気にそこに居る人を近く感じるというか、国境とか人種とかを完全に超えちゃってる瞬間を目撃する感じ。結局、まちは人で出来ているので、至極、真っ当に「現地の人」にフォーカスするというのが大事だと思う。

近いのは「アナザースカイII」なのだけれど、あのスカした感じの演出が気に食わないし、なんだかんだ、ゲストはみんな目的を持っている。

この番組では、目的が特に無いから、現地でどんどん面白そうなものを見つけては見に行く。その感じが視聴者目線に近くて非常にリアルで楽しい。

実際に行った時の参考にもなりやすい気がする。

これ、必ずしも海外である必要は無い(もちろん海外ならではの文化の大きな違いという魅力もあるけれど)と思ってて、国内の辺境駅とかでも是非、やって欲しい。こういうシンプルで正直で作為の無いものが求められる時代になってきている気がしてる。