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PythonのためのVisual Studio Codeのはじめ方(hello.pyからExcel自動化プログラミング用環境まで)

本記事はPythonのための Visual Studio Code(以下、VS Code)の環境構築方法を初心者を対象にわかりやすく解説したマニュアルの決定版です。

はじめてのプログラム(hello.py)を単純に実行するだけの環境から、仮想環境を用いた実用的な環境(Excel自動化プログラミング用)まで、構築方法を本記事では手順を省かないで順序立ててわかりやすく説明します。

本記事では、Windows11 のパソコンを使用します。本記事ではおもに以下の方法の理解を目指します。
✅ PythonとVS Code のインストール(Microsoft Store 使用)
✅ VS Code の拡張機能のインストール
✅ VS Code プロジェクトの作成
✅ VS Code を用いたPythonファイルの作成・コード整形
✅ VS Code を用いたPythonファイルの実行・デバッグ
✅ VS Code を用いた仮想環境の作成(venv使用)
✅ VS Code を用いたPythonライブラリのインストール(pip使用)
✅ VS Code を用いたExcel自動化プログラミングのための環境構築
✅ VS Code の設定変更


なぜ開発環境の構築はむずかしいと感じるのか

現代のプログラムを作成する現場では、いかにチームで円滑に開発するかが最大の課題です。プログラミングの開発環境にも、そのための機能が不可欠であり、新人にはその使い方をいかに教育するかが重要になります。

そのため、開発環境に関する書籍や記事は、プロの現場に参加することを目的にしたものが多く、まず個人でプログラミングのスキルを身に付けようとする初心者にとってはイメージしづらくわかりにくい内容となっています。

そこで、本記事では自分でプログラミングするのに最小限必要な環境だけに絞って説明します。チーム開発に必要な機能は一切触れずに、まずは個人でちゃんとプログラミングできるための環境構築を目指します。


なぜいまVS Codeなのか

VS Codeは、いまもっとも利用されている開発環境の1つです。世界中のプログラマが利用しているコミュニティサイトのStack Overflowの調査でも、回答者の 73.6% が VS Code を定期的に使用し今後も使い続けると答えています。

VS Code の人気の理由は、無料で利用できることだけでなく、拡張機能を追加することで、様々な言語に対応したりカスタマイズできる点にあります。

Pythonのための拡張機能も充実しており、近年ではPythonの開発環境としても非常に人気があります。


VS Codeには準備が必要

VS Codeが様々な言語に対応できるのは、言語ごとのプログラミング支援機能をあとから拡張機能としてインストールできる仕組みになっているからです。

Pythonについても同様です。Pythonの開発に使えるようにするには、拡張機能をインストールしながら自分で構築する必要があります。

つまり、インストールしたからといってすぐには使えません。その点が、初心者がはじめるための最初の壁になってしまいます。

そこで、本記事では、最初の Python と VS Code のインストールから、手順を省かないで説明するようにしました。さらに、Python と VS Code は Microsoft Store から簡単にインストールできる方法を採用しています。


VS Code は最初の設定こそ面倒ですが、使い始めればとても快適です。さらに、新しい機能もどんどん登場するので、AIによるサポートなど最新の開発手法に触れることもできます。ぜひ、この機会にVS Codeを使いはじめてみてください!

本記事の内容は、2024年11月時点の情報に基づいています。また、本文の執筆には、Python3.13.0、VS Code1.95を使用しました。

本記事では、なるべくパソコン環境に依存しにくい方法を採用していますが、パソコン環境は膨大な設定の組み合わせがあるため、環境によっては記事の通りにならない可能性も考えられます。そのような場合が生じても、環境を個別に調査して対応することは実質上不可能なため、申し訳ございませんが個別の対応はすべてお受けしておりません。あらかじめご了承願います。 

本記事は情報の提供を目的としていますので、本記事の内容を用いた運用は必ずご自身の責任と判断により行なってください。これらの運用の結果について、ガンマソフト株式会社はいかなる責任も負いません。

目次



Python のインストール

Pythonのインストールは、Pythonの公式サイト(python.org)からダウンロードしたインストーラを用いるのが一般的ですが、本記事では Microsoft Store を利用してPythonをインストールします。

Microsoft Store を利用することで、インストールの手順が大幅に少なくなるので、非常に簡単にインストールできます。さらに、Pythonはユーザー領域にインストールされるので、教育環境や会社などで権限が制限されているパソコンにもインストールできるケースが増えます。アクセスできるパソコン内の領域も限定されるので、安全性の高いプログラムだけ実行できるメリットもあります。


Microsoft StoreのPythonの注意事項

Microsoft Store からインストールしたPythonは、上記のようなメリットがありますが、あくまでもアクセスできるのはユーザー領域に限られるで、自分のユーザー領域以外(例えば、システム領域)へのアクセスが必要なプログラミングには適していません。

自分のユーザー領域以外にもPythonプログラムからアクセスしたい場合は、Pythonの公式サイト(python.org)からダウンロードしたインストーラを用いてPythonをインストールする必要があります(方法は弊社のホームページなどが参考になります)。

本記事ではおもにオフィスワークなどでドキュメントフォルダのファイルを処理するプログラミングを想定します。そのため、ユーザー領域のファイルにアクセスできれば十分なので、本記事では簡単にインストールできるMicrosoft Store のPythonを利用します


インストール方法

では、インストールを始めます。まず、Windowsのスタートメニューの[すべてのアプリ]から以下のように Microsoft Store を選択します。

以下のように Microsoft Store が起動したら、検索ボックスに「python 3」と入力します。検索結果にPython が表示されるので、その中からバージョン番号が大きい最新版(執筆時点はバージョン3.13)をクリックします。

Pythonは「無料」でインストールできます。料金が記載されていたら、違うアプリなので気をつけてください。

次に以下のような画面が表示されるので、[入手]ボタンをクリックするとすぐにインストールが開始します。

インストール中は以下のように「インストールしています(*%)」と経過が表示されます。

経過が表示されなくなったらインストールは完了です。

Pythonの環境構築には、他にも Docker や WSL(Linux 用 Windows サブシステム )を利用する方法があります。パソコンのシステムと分離した環境が構築できるので、特にWebアプリケーションや AI の開発で重宝します。ただし、この方法については、本記事の範囲を超えてしまうので今回は触れません。


ターミナルで確認してみよう!

インストールしたPythonを ターミナル で確認してみましょう。

ターミナルは[すべてのアプリ]から[ターミナル]を選択して起動します。起動したら、以下のように「python --version」と入力します。するとインストールした Pythonのバージョン が表示されます。

ここで、上のターミナルには「新機能と改善のために〜」と注意書きが表示されています。これは、Windowsのターミナルが、従来からの「Windows PowerShell」を使用しているためです。

Windowsのターミナルでは、この「Windows PowerShell」がデフォルトに設定されているので、気にならない場合はこのまま使用してください。機能的にも問題ありません。

一方、気になる場合や「新機能と改善のために〜」の表示が煩わしい場合は、以下の方法で「最新のPowerShell」に変更することができます。

まず、注意書きに記載されている以下のURLのページの方法で最新のPowerShell(PowerShell 7)をインストールします。

https://aka.ms/PSWindows

インストールの仕方はいくつか説明されていますが、簡単なのは以下のコマンドを実行する方法です。

winget install --id Microsoft.PowerShell --source winget

以下のようにPythonのバージョン確認で開いたターミナルでそのまま実行して大丈夫です。

最新のPowerShell のインストールが完了したら、ターミナルを再起動して、以下のようにタブの右横にある下方向の矢印をクリックして、表示されたメニューから[設定]を選択します。

すると以下のような設定画面が表示されるので、[スタートアップ]を選択して、[既定のプロファイル]のドロップダウンリストを Windows PowerShell から PowerShell に変更します。最後に[保存]ボタンをクリックします。

保存したらターミナルを再起動します。今度は最新のPowerShell が起動します。以下は、最新のPowerShell で Pythonのバージョンを確認した画面ですが、Windows PowerShell のときの「新機能と改善のために〜」の注意書きは表示されていません。

最新のPowerShellの画面

本記事では、最新のPowerShell の方が画面が見やすく説明しやすいので、以降 最新のPowerShell を使用します。


VS Code のインストール

VS Code も同様に Microsoft Store を利用してインストールします。以下のように検索ボックスに「visual studio code」と入力し、検索結果に表示されたVisual Studio Codeをクリックします。ここで、末尾に「- Insiders」と付いた開発中のバージョンも一緒に検索結果に表示されますが、安定したバージョンとしてリリースされている以下の通常版(青色)の方をクリックしてください。

VS Codeも「無料」でインストールできます。料金が記載されていたら、違うアプリなので気をつけてください。

以下のような画面が表示されるので、[インストール]をクリックするとすぐにインストールが始まります。

しばらく待つとインストールが完了します。以下のように表示が「インストール済み」に変わります。

VS Code の起動

これからVS Code に拡張機能をインストールするので、VS Codeを起動しておきます。Windowsの[すべてのアプリ]から以下のように「Visual Studio Code」を選択します。

VS Code 拡張機能のインストール

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