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アート作品を作る理由

私がアート作品を作り始めた理由は、単純に絵を描くことが好きで、モノをつくることが好きということもありますが、白血病の治療で入院中に看護師さんから言われたことがきっかけの一つです。

『治療がうまくいった患者さんが作るものや寄贈されるものからは、良い気が出ていて、患者仲間が受け取るとそのエネルギーを受け取って治療がうまくいくんです。』

白血病の治療は、通称セミクリーンと言われる、準無菌エリアでの治療となります。治療の最中は基本的にそのエリアから出ることは出来ず、抗がん剤投与中は、吐き気をはじめとして副作用に悩まされてベッドから起き上がることもままならない日が続きます。

副作用が落ち着いてきたタイミングで、体力を少しでも戻すため、運動機能を維持するために、出来る範囲でリハビリを行うのですが、その際に歩行トレーニングをするのが病棟の廊下です。
その廊下におそらく銅板レリーフと思われる作品が飾ってあって、それを眺めている時に教えてもらいました。

その時は確かに縁起が良さそうだなぁくらいにしか感じなかったのですが、骨髄移植で無菌室にいる時、移植直後にちょうどクリスマスが来て、ちょっとしたプレゼントが届きました。
そのプレゼントもまた別のサバイバーさんが届けてくれたものらしく、この時にも同じようなことを言われました。

移植時期は治療の最も佳境となるタイミングです。身体はボロボロで、医療用麻薬で痛みを和らげながら、もうろうとする時間が多い中、夢の中にいるような状態で、じゃあ自分も回復して元気になったら何か作って届けたいなぁと考えていました。

退院してGVHDが落ち着いてくるまで1年かかり、少し動けるようになったかなというタイミングでコロナ禍になりました。
自宅から出られない日々が続き、ダンボールに絵を描いたり、工作しながら立体作品を作ってみたりし始めたのがそのころです。

作ったものの入院病棟への出入りは出来なくなったので、とりあえずということでInstagramに載せたところ、写真を見てくれた方から注文を頂きました。
これが病院への出入りが難しくなったのなら、間接的な方法でなにかやろうと考え始めたきっかけの一つとなり、ブランド立ち上げへとつながりました。

絵やアート作品を気に入ってくれる方は少ないながらもいらっしゃいますが、実際に販売するというのはなかなかに難しいことで、手軽に手に取りやすい方法として描いたイラストをTシャツにするいう形に派生させました。

Tシャツであれば、だれでも手に取りやすいし、それこそ患者さんが着てくれたら治療がうまくいったパワーを受け取ってもらえるのではないかと思っています。

アート作品を作るには時間がかかります。
ですが、自分のルーツというか、身体の調子に合わせて気持ちがどうしても浮き沈みしてしまう心を落ち着かせる作業にもなるので、作品として出すかどうかは別ですが、少しずつでも続けてくだろうなと思います。

また機会があったら展示などにもチャレンジできたら。

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