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講師やんツー 「56億年の身をしる雨、あるいはトリップシッターとしての弥勒菩薩」Plot特別講義レポート

Plot Art Schoolでは、作家が制作する上で乗り越えてきた試行錯誤をゲスト講師から学んで行きます。第二回目はやんツーをお迎えし、作家になった切っ掛けから最新のプロジェクトまでお話いただきました。Plotのアシスタントにレポートいただきました。

Plot特別講義レポート

Plotのカリキュラムも後半に入り、今回はゲスト講師にやんツーさんを迎えての特別講義が行われました。

『56億年の身をしる雨、あるいはトリップシッターとしての弥勒菩薩』と名付けられたこの講義では、やんツーさんが高校生の頃からグラフィティに興味を持たれたきっかけから始まり、これまでのご自身の作家としてのキャリアを200枚程用意されたスライドと共に話してくださいました。
活動の軌跡を話してはいるのだけれど、全体を通して美術におけるテクノロジーの現代性と政治性を考えることのできる、包括的な内容であったように思います。

やんツーさんは、今も自分は作家としての過渡期であり、これまではずっと「芸術のための芸術」をしてきたけれど、近年では「社会のための芸術」へと思考が移行していると話されていました。そうした背景には、ご自身のお子さんが誕生されたことも大きかったのではないかなと感じています。
また、この日はやんツーさんの37歳の誕生日だったそうで、同じくこの日にお姉さんご夫婦にご長男が誕生されたことも話してくれました(なんてドラマチック!)。

ひとつの命の誕生をキラキラとした表情で話してくれる彼の姿を見ていたら、ひょっとするとやんツーさん自身がトリップシッターとしての弥勒菩薩だったんじゃないかな…そんなふうに思え、自分がこの講義の間テクノロジーという大海原を懸命に旅をし、やや溺れかかっていたことに気が付きました(自分があまりにも無知であるが故に…)。

「ポスト・ヒューマン」を語れば語るほど人間性が炙り出されていくと講義の中でも話されていたけれど、わたしはこの講義を通してやんツーさんのそうした「ヒューマン」に心を動かされたように思います。

◯講義情報
「56億年の身をしる雨、あるいはトリップシッターとしての弥勒菩薩」ゲスト講師 やんツー|Plot (プロット) Art School 特別講義

日時|2021年7月4日13:00 - 16:00(開場|12:30)終了

◯講師プロフィール
やんツー
1984年生まれ。2009年多摩美術大学大学院デザイン専攻情報デザイン研究領域修了。デジタル・メディアを基盤に公共圏における表現にインスパイアされた作品を多く制作する。行為の主体を自律型装置や外的要因に委ねることで人間の身体性を焙り出し、表現の主体性を問う。文化庁メディア芸術祭アート部門にて「SENSELESS DRAWING BOT」が第15回で新人賞、「Avatars」が第21回で優秀賞を受賞。近年参加した主な展覧会に、「第20回DOMANI・明日展」(国立新美術館,東京,2018)、「呼吸する地図たち」(山口情報芸術センター[YCAM],2018)、「東京ビエンナーレ2020 プレイベント」(2019)がある。
http://yang02.com/

次回特別講義

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2021/07/11 (日)13:00 - 16:00|4000円
ラッパーのItaqを講師に迎へ特別講義を開講します。今年5月、2ndアルバム『Savior of Aquarius』をリリースした気鋭のラッパーItaqを招き、「作品制作を介した神と人間の関係性」について徹底的に議論しますので、ぜひご参加ください。
*Peatixでより予約いただけます

◯講師プロフィール
Itaq
1999年生。幸福の科学学園中学校・高等学校在学中にヒップホップと出会い、孤独の中で腕を磨く。上京後の2019年に粗悪ビーツが作曲を担当した1st Album『委託』をリリース。2020年には「ラップスタア誕生2020」にてファイナリストとなり、自身の信仰をレプリゼントした姿勢と濃密な歌詞、暴力的なまでのラップスキルを世間に知らしめた。2021年春に、コンセプト作である2nd Albumをリリース予定。


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