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世界で一番高い絵のランキング【2021年版】

2020年にオークションで販売された最も高額な絵画は、フランシス・ベーコンによる≪アイスキュロスのオレステイアに触発されたトリプティク≫(1981)でした。
6月29日にサザビーズのオークションに出品されたこの三枚組の絵画は、手数料込み8455万ドルで落札されました。フランスシス・ベーコンの作品としては史上3番目の高価格です。
ところが2021年が始まって早々、2020年の記録は抜かれました。
どのような作品によってでしょうか。

2021年のオークションの幕開け

ボッティチェッリ≪ラウンデルを持った青年≫1480年頃

2021年1月29日にサザビーズのオークションに出品された、イタリア・ルネサンスの画家サンドロ・ボッティチェッリの≪ラウンデルを持った青年≫は、手数料込み9200万ドルで落札されました。
これは2013年に1040万ドルで落札された≪聖母子と若き聖ヨハネ≫を抜いて、ボッティチェッリ作品の最高落札記録であるばかりでなく、オークションに出品されたルネサンス作品としては、レオナルド・ダ・ヴィンチ≪サルバトール・ムンディ≫に次ぐ史上2位の価格ともなりました。
この絵の驚くべき点は、売買記録の来歴が1935年までさかのぼれることです。
1935年にイタリア人コレクターがイギリス人コレクターに売却したときの価格は、わずか1万2000ポンドでした。
そして今回の出品者が1982年にこの絵を入手したときの価格は81万ポンド(現在でいえば約100万ドル)でした。40年間で絵の価値が90倍になった計算です。
この40年のほとんどの期間、作品は所有者によってワシントン国立美術館やメトロポリタン美術館やロンドンのナショナル・ギャラリーなどに貸し出されて展示されていました。

世界でいちばん高い絵とは?

ボッティチェッリ≪ラウンデルを持った青年≫の9200万ドルは、もしかすると2021年に販売された最も高い絵となるかもしれません。
しかし、9200万ドルという価格は、歴代の高い絵のランキングでは30~40位くらいにしかなりません。
これまでに1億ドル以上で売却された絵画は30点以上、1億5000万ドル以上で売られた絵画だけでも14点も存在しています。
1位のダ・ヴィンチ≪サルバトール・ムンディ≫は、なんと4億5000万ドルです。
以下がそのリストです。


歴代高額取引絵画ランキング・トップ15(2021年2月現在)

ダ・ヴィンチ ≪サルバトール・ムンディ≫1500年頃

1. ダ・ヴィンチ≪サルバトール・ムンディ≫2017年、約4億5000万ドル(オークション)
2. デ・クーニング≪インターチェンジ≫2015年、約3億ドル(個人間取引)
3. セザンヌ≪カード遊びをする人々≫2011年、約2億5000万ドル(個人間取引)
4. ゴーギャン≪いつ結婚するの?≫2014年、約2億1000万ドル(個人間取引)
5. ポロック≪Number 17A≫2015年、約2億ドル(個人間取引)
6. ロスコ≪No.6≫2014年、約1億8600万ドル(個人間取引)
7. クリムト≪水蛇Ⅱ≫2013年、約1億8400万ドル(個人間取引)
8. レンブラント≪マールテン・ソールマンスとオーペン・コーピットの肖像≫(2枚1組)2015年、約1億8000万ドル(個人間取引)
9. ピカソ≪アルジェの女たち(バージョンO)≫2015年、約1億7900万ドル(オークション)
10. モジリアーニ≪横たわる裸婦≫2015年、約1億7000万ドル(オークション)
11. リキテンスタイン≪マスターピース≫2017年、約1億6500万ドル(個人間取引)
12. モジリアーニ≪(左向きに)横たわる裸婦≫2018年、約1億5720万ドル(オークション)
13. ピカソ≪夢≫2013年、1億5500万ドル(個人間取引)
14. クリムト≪アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅱ≫2016年、約1億5000万ドル(個人間取引)
15.ベーコン≪ルシアン・フロイドの3つの習作≫2013年、約1億4240万ドル(オークション)

オンライン・オークションの隆盛

新型コロナウイルス禍に見舞われた2020年のアートマーケットですが、世界的な株高を背景に、富裕層の購買意欲は旺盛のようです。
外出が控えられたことで思わぬ隆盛を示したのがオンライン・オークションでした。
たとえば2020年のサザビーズは、美術品取引のおよそ60%にあたる6880点をオンライン・オークションで販売しました。
2020年5月に行われたオンライン・オークションでは過去最高となる1370万ドル(約15億円)の売上を上げて、1億円以上で落札された絵画も複数ありました。
実物を見ることのできないオンラインだけでのオークションでも十分な売上があがることがわかり、いよいよ絵画も本格的にネット販売の時代がはじまりそうです。
ちなみに美術品のセカンダリー・マーケットにおいて、過去20年間で最も売れている画家はパブロ・ピカソです。
一点あたりの価格ランキングでは、ピカソ≪アルジェの女たち(バージョンO)≫は9位にとどまりますが、生涯に制作した作品数が圧倒的に多いだけに、常に何らかの作品が二次市場で流通し、売上をあげています。
過去20年間のオークションにおけるピカソ作品の総売上額はおよそ3700万ドルと見積もられています。
もちろん、コロナ禍をきっかけに盛り上がっているオンライン・オークションでもピカソはよく売れています。
2019年までのオンライン・オークションでピカソの作品はおよそ2700点販売されていて、その数は1位でした。
ちなみに2位はアンディ・ウォーホルの890点、3位はサルバドール・ダリの689点です。
ではオンライン・オークションにおける絵画の最高価格はどのような作品でしょうか。
意外なことに、それはピカソでもウォーホルでもありません。
オンライン・オークションにおいて歴代の最高価格390万ドルを叩きだしたのは、インドの現代アーティストのティエブ・メータです。
ティエブ・メータはインドの現代アートの大家です。1968年の第1回ニューデリー・トリエンナーレで金賞を受賞して以来、インドのアート業界を牽引してきました。
オンライン・オークションというニッチなマーケットにおいては、インドが先進国といえそうです。

価格が上がりやすい現代アート

バンクシー ≪風船を持った少女≫2004年

2020年のアートマーケットで最も驚くべき躍進をとげたのはバンクシーです。
バンクシーの歴代高額オークション記録ベスト10のうち6件が、2020年に落札されたものです。
史上最高額こそ2019年に落札された≪Devolved Parliament(退化した議会)≫(約13億円)ですが、2位≪Show Me the Monet(モネを見せてくれ)≫、3位≪Forgive Us Our Trespassing(不法侵入をお許しください)≫、4位≪Mediterranean Sea View 2017(2017年の地中海の景色)≫、5位≪Monkey Poison(モンキー・ポイズン)≫は、すべて2020年の落札になります。
また、2020年9月にクリスティーズに出品された≪Girl with Balloon(風船を持った少女)≫は、シルクスクリーン作品であるのに約1億1000万円で落札されて、ベスト10に入りました。
この作品は、2018年にオークションで落札された直後にシュレッダーが作動して切り刻まれた≪風船を持った少女≫と同じ絵柄なので人気を集めました。
≪風船を持った少女≫のシルクスクリーン作品は、2004年にバンクシーの公式ストアから初めて発売されたときには約5万円の価格でした。16年の間に、そのうちの1枚が約2000倍にまで値上がりしたのはたいへん驚くべきことです。
≪風船を持った少女≫のシルクスクリーン作品は別の機会に約6000万円でも落札されています。
2020年には約600のバンクシー作品がオークションに出品されて落札されました。
日本の作家でいえば、2020年の草間彌生もあいかわらずの人気でした。
たとえば草間彌生が1978年にアクリル絵具で描いた≪Season Cherry≫は、2011年にサザビーズのオークションにて1万ドルで売却されましたが、2020年に再びサザビーズに出品されると、今回は10万6250ドルの価格で落札されました。
9年間でその価格は10倍以上になり、これはおおよそ年率30%の利率にあたります。
この作品ばかりでなく、草間彌生の絵画はこの10年間で、オークションにおける相場価格が9倍以上になりました。
10年前にバンクシーや草間彌生を入手されていた方は相当の目利きと言えるでしょう。

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