見出し画像

小説版『ひよこの夢さがし』試し読み


※遅れて読む人もいると思うので、コメント欄に「内容の開示」「ネタバレ」になるようなことは書かないでください。

※「いいね」ボタンは大歓迎です。

小説版『ひよこの夢さがし』試し読み

■はじまり

10歳のひよこ、ピヨクシーは、今日も元気に駆け回っていた。家の外には大きな畑、そして、果てしなく青空が広がる。畑には色とりどりの野菜が実っていて、あちこちで蝶々が飛び交っている。青空には真っ白な雲が浮かび、ときどき涼しい風が吹いてくる。
ピヨクシーはこの景色が大好きだった。太陽の光が降り注ぎ、どこまでも輝いている。この温かさに包まれて、心も体も癒やされる。ピヨクシーはこの家で生まれ育ち、この景色をずっと見てきた。ここはピヨクシーにとってかけがえのない場所であり、心の拠りどころだった。

そんなピヨクシーには一つの悩みがあった。友達は将来、お医者さんになりたい、パイロットになりたい、歌手になりたいなど、それぞれの夢がある。しかし、ピヨクシーはまだ将来のことが想像できていなかった。

友達は今日も将来の夢について熱く話す。お医者さんになりたい友達は、病気の人を助けたいという強い意志を持っている。パイロットになりたい友達は、大空を自由に飛びたいという希望を持っている。歌手になりたい友達は、声と踊りだけで感動を届けたいという想いを持っている。
将来、ピヨクシーもなにか大きなことを成し遂げたいという気持ちはあるが、具体的な目標が思い浮かばない。不安は日を追うごとに大きくなっていき、夜になると眠れなくなる日もある。このままなにもせずに過ごしていけば、いつか後悔することになる。そんな気持ちがピヨクシーの心に影を作っていった。

ある日、兄弟たちは畑を走り回って遊んでいた。ピヨクシーはその輪には入らず、少し遠くで座り込んでいた。ここ数日は友達の夢の話が頭から離れず、いつもより元気がない様子。
そのとき、優しい風が頭を撫で、どこからか甘い香りが漂ってきた。それは、母さんが作った焼きたてのパンの香りだった。ピヨクシーはその香りに誘われて、家に向かって走り出した。

家に入ると、母さんがパンを切り分けているところだった。
「おかえり、ピヨクシー」
微笑んだ母さんを見て、顔が自然とゆるんだ。
「今日は特別なパンを焼いたのよ。ピヨクシーが大好きなハチミツ入りのパンよ」
ピヨクシーはパンを頬張りながら、母さんの手際のよさに驚いていた。母さんのパンはいつも温かく、安心感を与えてくれる。ピヨクシーは少し気になったことを尋ねた。
「母さん、どうしていつも、そんなに楽しそうにパンを作ってるの?」
「それはね、母さんは家族が幸せで、健康でいてくれることがなにより大事だからよ。パンを焼くことでみんなが喜んでくれるのを見てると、母さんも幸せになるの」
ピヨクシーはなんとなく、この言葉は単純だけど、なにか深い意味が込められているような気がした。自分がなにをすればいいのか、なにになりたいのかはまだわからない。でも、誰かを幸せにすることが、自分の喜びにつながるということを少しだけ理解した。

その夜、ピヨクシーは窓から星空を見上げながら考えた。今はまだ夢はないけど、母さんのように自分も誰かのためになにかをすることで、誰かの心を温かくできるかもしれない。

翌朝、ピヨクシーは清々しい気持ちで目覚めた。太陽の温かさに包まれながら、今日は畑を元気に駆け回った。
少し気分が晴れたピヨクシーは、駆け足で公園に向かった。偶然にも公園には友達が集まっていて、また将来の夢について楽しそうに話している。その光景を見たピヨクシーは、遠巻きにその輪を眺めることしかできなかった。友達の目は輝いていて、みんなの声は大きく響いていた。
見たくないものを見てしまったピヨクシーは、また自信をなくしてしまった。公園の片隅に座り込み、草の葉をむしりながらため息をついた。
「どうして僕だけ、なにも見つけられないんだろう……」

■出会い

いつもと変わらない太陽が降り注ぐ暑い日、ピヨクシーは元気のない様子で下を向いて歩いていた。すると、前からひよこのおじさんが歩いてきた。
「下を向いて、どうしたんだい?」
ピヨクシーを見ながら、おじさんは優しい笑顔を浮かべた。
「僕には夢がなくて、友達はみんな、夢があるんだ」
おじさんはピヨクシーの頭を優しく撫でた。
「大丈夫だよ。おじさんもずっと、将来の夢が見つからなかったんだ」
ピヨクシーは驚いた。
「おじさんは、いくつで夢を見つけられたの?」
「30歳を超えてからだよ」
ピヨクシーはさらに驚いた。
「30歳!?」
じっとしたまま動かないピヨクシーに、おじさんがそっと伝えた。
「今は夢がなくても、毎日の出来事や出会いを大切にすれば、きっと素敵な大人になれるよ」
この言葉は、ピヨクシーの心に温かい光を灯してくれた。

ピヨクシーはおじさんとベンチに座り、しばらく仲良く話しながら過ごした。周りには子どもたちの楽しげな笑い声と、鳥たちのさえずりが響いていた。時間が経つにつれ、ピヨクシーはおじさんとの会話を通じて、少しずつ不安が和らいでいった。

ピヨクシーは家に帰る途中、近くの図書館に立ち寄ることにした。図書館は涼しく、静かな空間で心地よかった。
児童書コーナーに足を運び、色とりどりの本棚を眺めていると、一冊の本が目に留まった。
『旅する不思議な動物たち』
表紙には見たこともないような動物たちの絵が描かれていた。ピヨクシーは興味を引かれた。手に取りページをめくると、さまざまな動物たちの生活や特徴が詳しく紹介されていた。読み進めるうちに、自然と顔がほころんだ。
「こんな生き物がいるんだ」

家に帰ると母さんが夕食の準備をしていた。
「ただいま」
「おかえり。今日はどんな1日だった?」
「今日は声をかけてくれたおじさんと話したり、図書館でおもしろい本を読んだりしたよ」
「それはよかったわね。おじさんとはなにを話したの?」
ピヨクシーはおじさんとの会話を思い出しながら母さんに話した。母さんは優しく頷きながら話に耳を傾けてくれた。この日のピヨクシーと母さんの会話は、夜遅くまで続いた。

続きは絵本購入者特典で🐥

≪絵本『ひよこの夢さがし』販売情報≫
◆発売日:8月20日(火)17時より販売スタート
◆販売ストア:BASE(ネットショップ)にて300冊限定販売(1家族2冊まで購入可)
◆販売価格:2,750円(税込)(送料無料)
◆購入者特典:短編小説『ひよこの夢さがし』書き下ろしデータ
◆補足①:サイン付きでお届け(サインはいらない説)
◆補足②:サインを書いて加戸がすべての作業をするため、発送まで1週間~2週間ほどかかります。お許しください。がんばります。
◆注意事項①:サインに「○○さんへ」などの言葉を添えることはできません。
◆注意事項➁:海外への発送はできません。
◆注意事項③:クレジットカード決済のみとなります。

これからも絵本を「どう知ってもらうか」「どう届けるか」「どう愛してもらうか」の3点をベースにまだまだ探っていきます。

急遽はじまった絵本制作、絵本事業の構想にお付き合いいただき感謝します。

ということで、引き続き進捗状況などもお伝えしていきますので、絵本に興味ある人は見てください。興味ない人も見てください。

応援よろしくお願いします。

【プロフィール】
GalaxyBooks株式会社
代表取締役社長 加戸 昌哉

1985年 滋賀県生まれ。
高校卒業後より3年間FM局にて番組アシスタント。
その後上場企業にて不動産営業、通信営業を経験。

2011年 akippa株式会社入社
2013年 取締役就任/出版事業開始 
2016年 galaxy株式会社設立
2017年 M&A
2018年 MBO 
2019年 事業再生
2020年 資金調達・書籍『音色』リリース
2021年 GalaxyBooks株式会社に社名変更
2022年 助け合い(愛)プロジェクト100を掲げる
2023年 著者100人パーティー開催
2024年 絵本『ひよこの夢さがし』リリース

企業ホームページ
加戸昌哉 SNSまとめ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?