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打ち合いたかったわけではない 32節 アトレティコvsバジャドリード(A) 2023.4.30

日本はGW。ラリーガはなんだか毎日やっている。負けずにやっていきます。
週末はバジャドリード戦。エスタディオ・ホセ・ソリージャはアトレティコが2年前に優勝を決めた舞台である。
前回対戦。そういえばマジョルカ戦はなぜか前回対戦載せなかったね。忘れてた。

前半で3-0と試合を決めた。今日もそんな試合だと良いですね。

バジャドリードは前節、残留争いの直接のライバルであるバレンシアのホームへ乗り込み、開始早々相手のミスから先制するも、GKマシップも信じられないへなちょこミスで失点。全く得点の匂いがしない終盤に19歳ハビ・ゲラの強烈な一撃を浴びて敗れた。ライバルを蹴落とし損ねたところでアトレティコ、ラージョ、セビージャと厳しい試合が続く。

●スタメン
・アトレティコ

グルビッチ
モリーナ / ヒメネス / ヴィツェル / エルモソ
コケ / デ・パウル / ルマル / カラスコ
グリーズマン / モラタ

この日もオブラクがベンチに戻れずGKはグルビッチ。
11人全員前節マジョルカ戦と同じメンバーとなった。
ちなみにカップ戦込みで見た時に2試合連続で同じスタメンになったのは今季初めて。

・バジャドリード
マシップ
ルイス・ペレス / ホアキン・フェルナンデス / オングラ / エル・ヤミク / フレスネダ
モンチュ / キケ・ペレス / アグアド
ゴンサロ・プラタ / ラリン

地上戦で戦いたそうな中盤。
2トップは最近の鉄板
フレスネダは何故か左で使われた。


今季初めて2戦連続で同じスタメン


●前半
バジャドリードは5バックで戦う時は保持時、大外をWBに独占させる。独占というと聞こえがいいが。他にやる人がいない。一応右はプラタが流れてくることが多い。アトレティコとしてはプラタがエルモソを連れて大外に流れて1vs1になる形はあまり好ましくない。

WBを大外の高い位置に押し出すことが狙いのバジャドリードはボールを持ちたい。

3-2ビルドでWBを大外に押し出したい。そのためにはアトレティコからボールを取り上げましょう。という取り組みが主になってくる。そんなことできるんかと思いながら見ていた。

狙いは3CHの真ん中にいるアグアドがコケをジャンプしてヒメネスまでプレッシャーを掛けに来てロングボールを蹴らせる、というところにあったように思う。なかなかのスピード感を持って突っ込んできてけっこう怖かった。カラスコとモリーナには前向きにボールを受けられないように両WBのルイス・ペレスとフレスネダが警戒した。
対してアトレティコはコケが早速判断して"じゃあ蹴りましょう"という方法を試した。この判断が早かったのはとても良い。

蹴る

グリーズマンが降りてきて7vs5を作れば別に地上戦でも突破できそうだったが、それに拘る必要もあまりないという判断だった。
相手の3CBに向かって蹴って跳ね返させれば実質4vs2でセカンドボールを優位に拾える。この辺はアトレティコらしい陣地回復である。ボールを持ちたいんじゃなくてシュートを打ちたいんです。という。いいと思います。

バジャドリードの非保持で意思統一が難しかったのはラインコントロール。3CBの位置を低くしすぎると上記のロングボールによる陣地回復で常に後手になるのと、モリーナ&カラスコに付く両WBと3CBの間がえらい距離になってしまう。この日ジョレンテはいないがモラタやカラスコが走ってきたらほぼ対応できないので、最終ラインの背後に蹴られたくはないが手前のアタッカーに自由にランニングされると試合にならないというジレンマがあり、かなりラインコントロールに神経を使った。それが次第に我慢が効かなくなり、"ボールにはプレッシャーが掛かっていて背後にロングボールは飛んでこない前提"くらいの心持ちでいないと成り立たなくなってくる。要は雑になっていった。

とはいえアトレティコが最近積み重ねているのはプレス回避の質であり、特にエルモソからルマル・グリーズマン・カラスコに配球する左サイドから当たり前のようにバジャドリード守備網を押し込んでいく。

20分、その左サイドから最終ラインにボールが戻りヒメネスがフリーで前向き。ここでバジャドリードの最終ラインがバタつき、左HVエル・ヤミクは列を降りたグリーズマンについていき、左WBフレスネダはラインコントロールを優先してモリーナへの警戒とオフサイド取りでふわついた。

人に基準を置くのかエリアに基準を置くのか、5バックのHV&WBは難しいんです。急造感は否めなかった。モリーナが一発で裏を取り、とんでもない1stタッチを決めて冷静に流し込んだ。
色々書いたが結果だけ見ると5バックがWBの裏取られんな案件である。
4分後にはFKでグリーズマン→ヒメネスで2点目。良いボールだったが最終ラインの背後が云々と言っていたところでセットプレーで裏を取られるとしんどい。

38分に3点目。ズルズルラインを下げてしまって出し手のデ・パウルがフリーで選択肢を持って前を向き、アトレティコはグリーズマンとモラタが2vs2を作れている。この2トップが2vs2を作ってそこに放り込めば点になる。お粗末な対応だった。

同じく5バックで挑んだ前回対戦の反省が活かせなかったのは残念。


その後エルモソがPA内でプラタに肘鉄してしまいPK献上。1-3となって前半終了。


●前半終了
前回対戦と同様、前半から3点取って試合を決めたかに見えたがPKで失点。それにしてもアトレティコからすると相性の良い相手である。

バジャドリードは自軍の攻撃の選択肢が少ないことを受け入れて準備はしているが、どうしても上回られてしまう。アトレティコはバジャドリード戦は毎回その時期に取り組んでいることをちゃんとやれば点になっている。相性ですね。
プラタに対するエルモソの対応が常に甘い中で関係ないところでPKを与えたミスはいただけないが、まあしょうがないでしょう。プラタめちゃくちゃドリブルキレてました。


●後半
後半。バジャドリードがボールを持って進み、アトレティコは受けて立ってカウンター待ちの展開に。

バジャドリードは60分にイバン・サンチェスとセルヒオ・エスクデロを投入。特にエスクデロがドリブルで侵入し始め、チャンスメイクを始める。攻め立ててモンチュのFKで得たCKからそのエスクデロが合わせて2-3に。
直後にセルヒオ・レオンのヘディングがバーを叩くなど不穏な空気になってくる。

バジャドリードが仕留め損なっている間にアトレティコは終盤にメンフィスが3月18日のバレンシア戦以来の復帰。86分にホアキン・フェルナンデスのオウンゴールを誘発するドリブルチャレンジを見せ、最後は単独カウンターで復帰戦を飾った。最後はホアキン・フェルナンデスが怪我をしてしまって災難だった。


●試合結果
2-5で勝利。後半は怪しい時間帯もあったが終わってみれば圧勝だった。しかし合計7ゴールとはアトレティコの試合ではなかなかお目にかかれない。珍しい試合だった。

前半はアトレティコの狙い通りでバジャドリードの作りたい試合展開を許さなかった戦い方は強かった。前半最後の失点は余計で、後半にはボールを手放してラインを下げ、カウンター狙いの時間にセットプレーから失点したのは甘さと言えば甘さだが、バジャドリードの狙いが全部上手くいってもここまでが限界だった印象。2点目直後のセルヒオ・レオンのヘディングが決まっていたらわからない展開にできたかもしれないが、それができないから残留争いをしているとも言える。
結局フレスネダを左で先発させた狙いはよくわからず、後半にエスクデロが出てきてからの方が推進力が出た。フレスネダは左足のクロスも投げやりだった。イバン・サンチェスとセルヒオ・レオンの投入で前向きにゴールに迫れたのは良かった。残留に向けてはこの2人が鍵を握っているのかもしれない。

アトレティコは選手交代もプレー時間の配分が優先で、配置と組み合わせで展開を変えるような狙いは一切なかった。そんな時期でもないし、ピッチ上で改善しなさいというリクエストはそれで良かったと思っている。実際しつこくロングカウンターを繰り出し、メンフィスに復活のゴールが生まれたのも結果オーライ。カレンダー的にもミッドウィークのカディス戦を乗り切れば期間が1.5週空く。37節ソシエダ戦までに7ポイント以上の差をキープできれば一先ずは目標達成。あとはマドリーが落ちてくることを期待することとなる。


4/30
エスタディオ・ホセ・ソリージャ
バジャドリード 2-5 アトレティコ
得点者
【バジャドリード】'42 ラリン(PK) '74 エスクデロ
【アトレティコ】'20 モリーナ '24 ヒメネス '38 モラタ '86 OG(ホアキン・フェルナンデス) '90+3 メンフィス


●ピックアップ選手
ヒメネス
1アシストに1ゴールで文句なし。自陣PA付近の安定感と空中戦。ベストの状態をキープ。

モリーナ
最近得点に直結するシーンが増えている印象。実はシュート上手いよね

メンフィス
復帰戦で早速身体のキレを見せた。OG誘発に繋がる単独ターンと、最後はロングカウンターを一人で完結。これで4点目だが場合によっては10点くらい取るのでは

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