苦虫を噛むように CL2節 アトレティコvsベンフィカ(A) 2024.10.2
CLリーグフェーズ2試合目はベンフィカ戦。
先季国内2位。ELベスト8。アトレティコと同じポット2。
本拠地のエスタディオ・ダ・ルスは懐かしのセルヒオ・ラモスのアレその1の舞台。前回対戦は15-16シーズンのCLグループステージで、ベンフィカのホームゲームはアトレティコが2-1で勝っている。当然ながらオブラク、コケ、グリーズマンはその試合にもスタメン出場していた。ちなみにベンフィカは今季復帰したレナト・サンチェスが当時18歳でスタメン出場している。
22-23シーズンからレッドブル派閥のロジャー・シュミットが監督をしていたが今季の開幕低迷で解任。後任は18-19から2シーズン監督をしてその後ウォルバーハンプトンに行っていたブルーノ・ラージが戻ってきている。その後国内3連勝。CL初戦もアウェーでレッドスターだかツルヴェナ・ズヴェズダだかに2-1で勝っている。
オタメンディとディマリアがいるポルトガル3強以上の情報を持ち合わせないが直近の試合のハイライトを見る限りブンデスリーガの香りがするチーム。またレッドブルか、という感じ。
●スタメン
・アトレティコ
オブラク
ヴィツェル / ヒメネス / ヘイニウド
ジョレンテ / デ・パウル / コケ / リーノ
グリーズマン / アルバレス / コレア
マドリー戦の終盤で負傷したル・ノルマンがメンバー外。しばし休む事になりそう。頭なので慎重に。その他案外入替は少なめ。オブラクとヴィツェルは古巣対戦。
・ベンフィカ
トルビン
バー / トーマス・アラウージョ / オタメンディ / カレーラス
アウルスネス / フロレンティーノ・ルイス / コクチュ
ディマリア / パブリディス / アクトゥルコール
最終ラインは4番のアントニオ・シウバが本来のレギュラーのようだがそれ以外はベストメンバーと思われる。
●前半
アトレティコは5-2-3風。前プレの色気は見せたもののハマる雰囲気がなかったので実施はなし。
ベンフィカは右SBのバーを押し出して後ろ3枚。フロレンティーノ・ルイスを起点にして3-1-6のような形。前6人は全員がアトレティコ最終ラインの背後を狙うアクションを入れる。引いてボールを受ける動きはその先の差分。コクチュが上手かった。
アトレティコはラインを下げられる上にボールの出し手にプレッシャーをかけられずに縮こまってしまう。左SBのアルバロ・カレーラスは先季グラナダで気合いの足りないセンテジェスのような選手だった記憶だが、打開もキックも上手かった。わからないもんだな。
ところで、前プレが効果的でないとわかったタイミングでグリーズマンorコレアが中盤に入ればそのまま5-3-2に移行できたもののそれをやらなかったのは何故だろう。5-4-1でも良かったはず。出来もしない成功体験に縋るのは個人的には反対。
ベンフィカは基本の狙いが大味な割にはトランジションで狭いエリアを打開するコンビネーションが上手かったのが面白いところ。ブンデス風プラスα。局面を解決して大外のスペースを使うのも上手く、そのアクションには大体ディマリアが関与した。
ベンフィカの13分の先制点はヘイニウドのキックミスもコケのミスもよくわからないが狭いエリアでちまちまやるような試合ではなかったはずで、内容が悪い時にこういう失点だけは避けたいよね、というもの。自分達で試合の温度を下げてしまったのはいただけない。負ける試合というのはこういうものである。
ベンフィカの守備の設定は5-3-2。左WGのアクトゥルコールがなんとジョレンテにランデヴーして最終ラインまでついてきた。この選手は良い選手。先季はガラタサライでシーズン12点取っている選手。
疲労の色を隠す事ができないアトレティコは中盤でノッキング。見かねた元気マンデ・パウルが走り狂ってボールを循環させようと頑張っていた。デ・パウルって本当にいい奴だよね。
ちなみに右サイドにもう一人(主にグリーズマン)登場するとアクトゥルコールはジョレンテを離して前に対応するみたいな設定もしっかりされていた。
5-3ブロックでバチっとハメられている環境とくれば必要なのは対人突破。要求されるのはジョレンテよりもリーノのサイドになるはずだったが初期配置ではグリーズマンが右にいてリーノは孤立。その後アルバレスを頂点に変えてようやくグリーズマンが左へ移動し、リーノを動かし始めた。今季はグリーズマンのプレーエリアを制限しすぎな試合が多いような気がする。
30分過ぎにジョレンテが腿逝きしてモリーナと交代。色々と無理が見えてくる試合である。ロスタイムには相手のスローインで全員がアラートを切って裏を取られるという草サッカーのようなミスをしたがパブリディスが盛大に外してくれて助かった。ロスタイムに先に集中が切れるというのはアトレティコの試合でなかなか見る機会がない現象である。
●前半終了
何故0-1で済んだのかわからないほどしんどい45分であった。デ・パウルとアルバレスが超元気だったのはなんだか切なかった。
アトレティコは連戦の疲労感ももちろんだがシンプルに準備する時間がなかったようにも見えた。相手選手の特徴さえ頭に入っているか怪しい対応がチラホラ。今季のCLはこういう感じなのかもしれない。ベンフィカの監督が変わったばかりだったみたいな言い訳もありそう。幸いベンフィカが何か難しい事をしてきて対応に困るような場面はなかったが、コンディション差は歴然であった。
●後半
コケ、デ・パウル、グリーズマンを下げた。投入はスルロットにギャラガーと、今季初出場のハビ・セラーノだった。点を取れる人と中盤で強度を出せる選手を、という起用は試合展開というよりシメオネが見てらんなかったからかなと。
プレス形を4-4-2に変更してアトレティコはスルロットとアルバレスの走力で最終ラインまでプレッシャーを掛けていき、敵陣でプレーする事が出来るようになっていったが、当然オールコートゲームになればコンディション差でベンフィカが縦のスピードを出し始める。
ここでもカレーラスがモリーナを置き去りにする走力を見せ、ピッチを切り離していく。ベンフィカのメインウェポンはこっちのような気もする。それにしてもある程度の強度で最終ラインまで追いかければ慌ててくれる程度の相手に手も足も出なかったのは歯痒いですね。しっかりプレスでハメ込んで保持の時間を作る事はそんなに難しくない試合になるはずだった。
悪い事は重なるもので、PA内でギャラガーがパブリディスの足を踏んでしまいPK献上。ディマリアが決めた。
その後、ヘイニウドが高い位置を取る事で背後に放り込まれ続け、攻撃ではなかなか説得力を出す事ができずに時間が過ぎていく。どうにかしたい気持ちはわかるがちょっとボール保持の設定が薄すぎた。それはこの試合のための準備というよりはもっと全体的な話。この時期は毎年こんなもんなので現状で"このままじゃ駄目だ"という話をするつもりはない。
ピッチの悪さを差し引いてもスルロットは足下に全然ボールが収まらなかったなという感想。終盤にはCKから失点し、もう一度PKを与えて4失点。散々な結果となった。
●試合結果
仮にスコアが0-1だったとしても今季最悪の内容だったはずなので、4点取られた事自体はどうでもいいでしょう。負けるタイミングの試合でそれに抗う事ができなかったというだけのお話だった。
"そうすればスコアが違った"という話ですらないが、ラングレとかハビ・ガランとかが出た方がまだ強度を維持できたのではないか。それこそハビ・セラーノなんて出すくらいなら。
これで8位以内はおそらく厳しくなったと思われる。プレーオフでまた2試合増えるのかと思うと辟易するが少なくとも今季はやり切るしかない。スロヴァン・ブラチスラヴァあたりから7点くらい取って得失点差をチャラにしていきましょう。週末はアウェーソシエダ戦。その後はようやく代表ウィーク。
10/2
エスタディオ・ダ・ルス
ベンフィカ 4-0 アトレティコ
得点者
【ベンフィカ】’13 アクトゥルコール ’52 ディマリア(PK) ’75 バー ’84 コクチュ(PK)
●ピックアップ選手
ヒメネス
前がかりになるしかない展開で裏抜けを追いかけて走り続ける大変な仕事。当社比で文句を言わずにやっていた。お疲れ様。
アルバレス
体力が残っている側の選手として突飛な単独突破を繰り出していったが周りのサポートが追いつかない場面が散見。歯痒い試合。
リーノ
展開も向かないが彼自身もよくなかった。ヘイニウドの質の問題もあるかもしれないが後方サポートを活かすのが上手くないのは工夫してほしいところ。
●myQA
CL2-1 (1-1関連)スルロットの45分
こういう試合で差分を見せてほしいFW勢。後半から出てきたスルロットに期待されたのは前進時のポストプレーとゴール前の迫力だったはずだがどちらも出せなかった。雨が降っていてピッチ状態は悪かったかもしれないがそれにしてもボールが収まらない。これだと使いにくい。展開を変える役割は果たせなかった。大活躍中のサム・オモロディオンと比べられるのは当然。