【ラリーガ24-25全マッチレビュー】第9節
ラリーガ9節全部見た。
①レガネス 0-0 バレンシア
●ゲームチェンジャーを探せ
10/4
エスタディオ・ムニシパル・デ・ブタルケ
レガネス 0-0 バレンシア
16位のレガネスと18位のバレンシア。
まず目についたのはバレンシアが後ろ3枚になっている事。守備力は高いがボールを触るのは得意ではないCBが豊富にいるチームなのでリソースを活かそうとすると十分考えられる選択肢ではある。フルキエ&コレイアを高い位置に動かす配置は新鮮味があった。3-2でボールを持って背後に配球していく形を基本とした。当然、前線のプレスは強度が落ちる事になるが"DFが5人いればレガネスにはやられないだろ"的な打算が見える。勝てばいいのよ。
ビルドアップに余裕のあるレガネスはネヨウとセイドゥバ・シセが関わって保持。右は当たっているフアン・クルスが幅を取り、左はアルティミラが内側を狙いながらSBハビ・エルナンデスの攻撃参加の余白を用意している。で、5枚揃えてるバレンシア相手に全く効果的に進めず、どこかに人を密集させてバランスを崩さないと何も起きなそう。
一方のバレンシアの方も、良いボールの奪い方をしたところでセルジ・カノスとルイス・リオハからアイディアが出てくるはずもなく試合は膠着していく。こういう早めの時間から「選手交代まで何も起きないだろうな」という試合に名前を付けたい。どっちもセットプレーの可能性も特に感じないので本当に何もなさそうである。
後半に入り63分に待ちに待った最初の交代。レガネスはミゲル・デラフエンテ、バレンシアはディエゴ・ロペス。トップを入れる。その後はレガネスはブラシャナツが出てきたりバレンシアはエンソ・バレネチェアが出てきて中盤の影響力を強めようとするなどするが、どっちも大体似たような考えだった。そしてどちらも決定打を持たず。
結局この試合はバレンシアの3CBが堅すぎた事で試合が膠着した。レガネスが侵入に苦労し、CBを増やした結果バレンシアも打開策を失った。87分には右からのクロスにダニ・ゴメスがフリーで合わせたが誰も枠に飛ぶとは思っていなかった。レガネス側はミゲル・デラフエンテも似たようなチャンスを得たがオフサイドでした。ロスタイムにはロベルト・ロペスの見事なお膳立てでオスカル・ロドリゲスに決定機が来たが惜しくもポストに嫌われ、スコアレスで試合を終えた。
ホームのレガネスは今季2度目のクリーンシートだが5度目の無得点。
バレンシアはまず守備の安定を取り戻そうとしたのはルベン・バラハらしいアプローチで、それは概ね上手くいっている様子。ただしDFを5人起用する人選ではなかなか得点に繋がりそうにない。せめてディエゴ・ロペスやルイス・リオハがWBだというなら違うだろうけども。
●ピックアップ選手
バレンティン・ロジェ(レガネス)
右SBで上下動を繰り返して試合を動かした。保持の時間を増やす上で重要な仕事をした。
②エスパニョール 2-1 マジョルカ
●意外な保持合戦に
10/5
ステージ・フロント・スタジアム
エスパニョール 2-1 マジョルカ
【エスパニョール】’18 クンブラ ’47 カレーラス
【マジョルカ】’68 ライージョ
マドリー、ビジャレアル、ベティスに3連敗した昇格組エスパニョール。対するは8点しか取ってないのに4勝2分2敗と好調のマジョルカ。エスパニョールはプアド、マジョルカはムリキを欠く試合。
共に敵陣でのプレーに自信がありそうな様子。マジョルカはいつの間に。
特にエスパニョールはカルロス・ロメロとクラールが自由に立ち位置を変えて侵入してくる。前プレも機能する。
一方のマジョルカもダニ・ロドリゲスが構築に参加する事で容易に敵陣まで進んでいくが、主に両サイド大外の質が伴わず、チャンスを作るには至っていない。
エスパニョールは18分にセットプレーから先制。カレーラスのパーフェクトなボールがクンブラにドンピシャで合った。完璧。その後もエスパニョールはサイドからの放り込みの狙いが良く、マジョルカを押し込んで試合をする事に成功していた。しばらく見ないうちに何故ここまで自信満々なのか。連敗中なんだが。監督がいいのかな。
後半開始早々にロングカウンターからカレーラスが決めて2点差とする理想の展開。これを受けて60分にマジョルカは一気に4枚替えた。ここで出てきたシキーニョが抜群のキレを発揮してだんだんマジョルカが侵入を開始する。思ったより2mくらい先に進んでいる凄いスピードだった。
そんなこんなで68分にセットプレーからライージョが決めて1点差に戻す。ここからは双方球際を強調して意地の張り合いに。ホームのエスパニョールが最後まで我慢して逃げ切り。プラン遂行力が高く攻撃の手数も豊富。何より自信に満ちたプレーをした。
マジョルカは久しぶりの負けになったがセットプレーから意地を返した辺りは流石。最後まで相手に楽させることはなかった。良い試合でした。
●ピックアップ選手
ホルヘ・カレーラス(エスパニョール)
右サイドで存在感を出して1ゴール1アシスト。ヒーローになった。
③ヘタフェ 1-1 オサスナ
●完成度と課題
10/5
コリセウム
ヘタフェ 1-1 オサスナ
【ヘタフェ】’21 ユルドゥルム
【オサスナ】’60 ブディミル
前節アラベス戦でようやく今季初勝利を上げたヘタフェは引き続きのホームゲーム。前節バルサに勝ったオサスナは今季未勝利のアウェーゲームでポイントを取りたい。
ヘタフェのミドルブロックが良かった。4-4-2。ウチェのプレスをきっかけにしながらユルドゥルムもよく走った。ウチェはどんどんできる仕事が増えている。2列目も前を捕まえにいく勇敢な姿勢。かなり綺麗に守った。21分にはスローインから隙を突いてユルドゥルムが頭で合わせて先制。アレックス・ソラのボールも良かった。ユルドゥルムはようやく初ゴール。
しっかり守られてもオサスナは主にアイマール・オロスがボールを受けるところから前向きを作れる。ブライアン・サラゴサは単独で抜けていき、右サイドではルベン・ガルシアとアレソのコンビで押し込める。この辺はおそらく今プリメーラで一番スタメンを固定している効果が見える。練度が高い。
ヘタフェは前半でイエローをもらったジェネとユルドゥルムを後半から替える。この辺はさっぱりしている。後半に入ってヘタフェがペースを掴み敵陣で試合を進めるが2点目の気配はなく、逆にオサスナはブディミルがワンチャンスを確実に決めて同点にする。難しいシュートだったがこれを決めるのはエースストライカー。素晴らしいフィニッシュだった。
その後引き続きヘタフェのターン、オサスナはロングカウンターを打つ展開で、ドローを受け入れながら終戦。ロスタイム最後にはカルレス・ペレスがゴール正面から際どいシュートを打ったがギリギリで枠を外れて試合終了。まあ、入っていたらそれはカルレス・ペレスではない。
ヘタフェは守備から入って安定した戦い。今の4-4-2がようやく形になってきた感。1-0からどうやって2点目を取るかが次の課題。ロングカウンターを打つタイプのチームでもないのでなかなか難しい。
オサスナはプランBを持たない現状だが上手くいかない試合をブディミルが単独でどうにかした。アウェーゲームはこういう感じなのかも。
●ピックアップ選手
アンテ・ブディミル(オサスナ)
独力で同点ゴールを生んだ。3強を除けば現状一番のっているストライカー。自信に満ちている。
④ラス・パルマス 0-1 セルタ
●質の差は歴然
10/5
エスタディオ・グラン・カナリア
ラス・パルマス 0-1 セルタ
【セルタ】'28 ボルハ・イグレシアス
唯一の未勝利のラス・パルマスは前節からGKがホルカシュになっている。4-4-2風になってもはやラス・パルマスのユニフォームを着た何かになっているが、どうやら前プレをやりたい様子。今季多いベルトランの右落ちで簡単に安定させるセルタ。
ラス・パルマスは出足が良かったのはCHのエスーゴ。6分に引っかけてシュートまで行った。さらにファビオ・シウバが単品で抜け出してこちらもシュートまで。セルタはボールを持てるようでこういうピンチを簡単に作ってしまうのが玉に瑕。
むしろ前プレが上手くいっていたのはセルタの方、というかラス・パルマスはこのメンツでGKからビルドアップできると思ってる方がどうかしている。ハマりまくっていて可哀想だった。中盤のデュエルをラス・パルマス側が強調していくが、ここが生き場所のイライシュ・モリバが仕事をしてセルタが敵陣でプレーしていく。17分にはフリーになったミンゲサからボルハ・イグレシアスにクロスが入り最後はスウェドベリが決めるがオフサイド。面白いようにボールが動くセルタはそのまま28分に再度ミンゲサからボルハ・イグレシアスで解答。素晴らしいボールだった。
ところでラス・パルマスはマクバーニーがいまだに無得点なのは仕方ないとしてもスタルフェルト相手にポストプレーもなかなかまともに出来ないようでは厳しい。何を期待されて起用されているんだろう。アルベルト・モレイロはイライラして無謀なシュートをぶっ放すマシンになり、右サイドのヤヌザイはウーゴ・アルバレスに舐められて縦突破を誘い込まれる始末。攻め手を欠いた。
さて後半に入り54分、中盤のボール奪取と喧嘩の中心キャラだったイライシュ・モリバが足を伸ばした先で相手選手を蹴っ飛ばしてしまい、2枚目のイエローで退場。不用意すぎる。1枚目のイエローも軽率なアフターチャージだったので擁護は難しい。
ただしこれでセルタが"もう守ればいいや"となった場合損をするのはラス・パルマスな気もする。ただ、モリバ退場の抗議でカードをもらっていたアスパスが直後のプレーでもずっと文句を言っていてこちらも退場。3分間で2人減った。なにやってんだ
セルタは選手交代を使って4-3-1に変更。最終ラインが減ってて笑ってしまったがマルコス・アロンソがいて良かったですね。
ラス・パルマスは特に秘策があるでもなく、"これで点が取れなかったらどうしよう"というプレッシャーをヒシヒシと感じた。FWを続々投入したのも選手達のメンタル的にはどうだったんでしょう。そして次第にヤヌザイ突破チャレンジ大会になっていったがウーゴ・アルバレスが完璧に対応した。
ラス・パルマスの試合運びが下手すぎて80分から85分にかけてはセルタがボール持ってる時間の方が長かったくらいで、ジリジリと時間を殺しながら試合終了まで耐え切った。
ホームのラス・パルマスは未勝利継続。実は先季の24節、2月10日のバレンシア戦以来勝っていない。この状態でセビージャにステップアップしたピミエンタ監督とは一体。
セルタはボールを持って簡単にプレーし、4試合ぶりの勝利。退場はいただけないし、特にアスパスは2枚とも抗議だったので終わっているがようやく今季のアウェー初勝利となった。
●ピックアップ選手
ダリオ・エスーゴ(ラス・パルマス)
前向きにボールを奪ってそのまま持ち上がれる良い選手。まだ19歳。対面したイライシュ・モリバには手を焼いたが最後までピッチに立っていた彼の方が偉い。
⑤バジャドリード 1-2 ラージョ
●意外な逆転勝利
10/5
エスタディオ・ホセ・ソリージャ
バジャドリード 1-2 ラージョ
【バジャドリード】'51 アマラー
【ラージョ】'57 '80 デフルートス
厳しい日程だが開幕戦のエスパニョール戦以降勝ちのないバジャドリード。好調のラージョをホームに迎える。
最近の調子の良さを反映している感じで、ラージョがボールを持って試合が始まる。バジャドリードの守備は積極的というかなんというか中盤が前に出ていくが空いたエリアのカバーを誰もしないから空洞ができる。そこをファールで止め続けていた。それでいいのか。あとアマラーは守備タスクから割と解放されていた。攻撃に出るとビルドアップ構築よりもゴール方向へ一直線ユニットだが、ラタサがいくらなんでも一人で仕事を背負いすぎてビックリするほど孤立していた。ヘタフェが恋しいかもしれない。
ラージョは相変わらずちゃんと守られると打開に苦労している。ワラワラと人ばっかりいる感じで。
バジャドリードは相変わらず大きな展開を使うのが上手く、たまにロングカウンターが打てるが今季充実しているルジュン&ムミンのコンビがしっかりと止める。
後半。ホームのバジャドリードは3枚替え。マルコス・アンドレ、ラウル・モロ、ユリッチが出てきた。ペースを保持方向に変える。ラタサはイエローももらったがこのチームで特徴を出すのは難しそうだなという印象。ちなみにダルヴィン・マチスはいる事に気づかないくらい消えていた。
ラウル・モロが内側でボールを引き取る事でわかりやすくボールの循環がポジティブになっていった。このクラスだとやはり圧倒的なタレント。
勢いそのままにバジャドリードが51分に先制。ルーカス・ローザとラウル・モロで左サイドを進んでラウル・モロがPA内まで侵入。どフリーで待っていたアマラーにパスを届けた。完璧な打開。
さて支配を失ったラージョだったが57分、なんだか危なっかしいビルドアップでカメージョのポストプレーで打開。イシからデフルートスにラストパスが通って同点にする。狙い通りに構築したようにも見えるし、どこかでミスったら詰みそうな構築でもある。紙一重。
63分からラージョはアルバロ・ガルシアとグンバウを入れる。この時間からアクセルを踏む意図があったとはあまり思わないが、図らずもそういう交代になった。
バジャドリードはダビド・トーレスがGKに戻すヘディングをミスってCKを与え、結果的にはその流れからクロスをばかすか放り込まれて最後は再びデフルートス。もやもやの残る失点になった。すかさずパテ・シスを入れてクローズに向かう形が確立されているラージョ。
バジャドリードはゴールに向かう意思も見られたのとラウル・モロが入った後半に一時的に保持を強めて先制もしたが、ラージョに逆転負けするチームに未来はないでしょう。厳しい結末だった。
ラージョはムミンが自信を持ってプレーしポジティブな雰囲気がある。相手が前のめりになってからの方が攻撃が機能するのはまあ仕方ない。ちなみなバリウは左でも普通にプレーできていました。
●ピックアップ選手
ホルヘ・デフルートス(ラージョ)
得意な長い距離のランニングで攻撃をリードし同点ゴールを決め、その後も試合終了までクオリティを維持した。2点目はご褒美。チームを勝たせた。
⑥マドリー 2-0 ビジャレアル
●飛び道具で試合を決める
10/5
サンティアゴ・ベルナベウ
マドリー 2-0 ビジャレアル
【マドリー】'14 バルベルデ '73 ヴィニシウス
マドリーはCLでリールに負けてのここ。
点を取り続けて点を取られ続けるビジャレアルは4位につけているくせにもう3強との対戦が一巡。
マドリーの保持はバルベルデが内、モドリッチが外。ビジャレアルはバエナが中盤に入って4-4気味。ぺぺは戻ったり戻らなかったり。9分にはぺぺの抜け出しからバエナに合わせてチャンス。オフサイドではあったがぺぺは裏抜けのタイミングの取り方がずっと良い。低いブロックで守ってもちゃんと攻撃に出ていけるのはビジャレアルの良さ。マドリーはコンディション差もあるのか案外人を捕まえられない状態にある。
そんな中、14分にショートコーナーからバルベルデの強烈なシュートがDFに当たってマドリーが先制。ずるい。
やはり得点は全てを変えてしまうもので、マドリーは落ち着きを取り戻して長いカウンターを使いながらピッチを支配していく。キコ・フェメニアは我慢してヴィニシウスに対応していたが前半のうちにイエローをもらう事に。ビジャレアルは左大外でバエナがボールを受けてゲイェ得意のポケットアタックを出せるとゴールに迫れる。
後半に入り50分、2CB間で裏抜けしたバリーが決定機を迎えるがチュアメニがひっ倒した。笛は鳴ったがオフサイド。良い抜け出しでした。マドリーはベリンガムが右、モドリッチが左に動くなど試行錯誤。
68分にピノとイリアスを入れてスピードアップ。しかし73分に中央でボールを受けたヴィニシウスが脈絡のないミドルシュートを決めてリードを広げる。ちょっとこういうゴールだとビジャレアルにはどうしようもなかった。
ビジャレアルは手数を増やせないまま、ロスタイムにカルバハルが大怪我をして試合終了。見たくない最後だった。
●ピックアップ選手
エドゥアルド・カマヴィンガ(マドリー)
中盤をコントロールしてプレス回避を連発。ライン間を閉鎖するボール奪取も目立った。
⑦ジローナ 2-1 アトレティック
●上位に喰らいつく
10/6
エスタディ・モンティリビ
ジローナ 2-1 アトレティック
【ジローナ】'39 アスプリージャ '90+9 ストゥアニ(PK)
【アトレティック】'41 サンセ
3強を追いかけるべき2チーム。ジローナはCLとの連戦で苦戦が続く。プリメーラは4戦勝ちなしでCLも連敗スタート。アトレティックはここまでの2敗はバルサとアトレティコ。まだまだここから。
ジローナはファン・デ・ベークの立ち位置を軸とする。右ハーフスペースでアンデル・エレーラの背中を取り続けてアトレティックに前向きな守備をさせない狙いを持った。同時にアスプリージャに大外の1vs1を準備する意図も。これぞファン・デ・ベークの使い方という感じがあり、ミチェルはこういうの上手いよね。得意な仕事をちゃんと与える。ただしアンカーがいないのでヤンヘル・エレーラが必要以上にビルドアップに関与する必要があるのは難点。右に人を集めて左に展開する先季よく見た形が出たところでダンジュマに大外で何ができるでしょうか、という状態。それとヤンヘル・エレーラとイバン・マルティンでどうにかなるのか、中央の守備は。
アトレティックは今季の戦い方の通り、4-4-2でブロックを作りつつ時々スイッチを入れて敵陣でのボール奪取を目指す。ルイス・デ・ガラレタが戻ってきているのでビルドアップの悩みは減っている様子。デ・マルコスもいますし。
アトレティックは26分にベレンゲルが人の隙間を抜けていく得意なドリブルでPKゲット。が、これをベレンゲルがへなちょこなキックをしてガッチリキャッチされる失態。ベスガがいないとキッカーがいなすぎる。
ジローナが4-4-2をどれだけ落とし込んでいるか怪しいところだが、アトレティックは機を見て敵陣侵入。デ・マルコスのポケット取りやアーリークロスでチャンスを作れた。
ジローナはここ最近見た試合の中では敵陣深くでプレーできていた印象。そこまで進んだらどうやって点を取るのか、が元々の課題であり、一歩前進したがここからが本質。そんなこんなで39分にはアスプリージャの緩いアーリークロスを誰も触らずそのまま入った。なんだこれ。ラリーガ初得点おめでとう。
直後、アトレティックは中央をベレンゲルとサンセのコンビネーションで簡単に突破して同点に。アトレティックらしいゴール。ただ、このゴールシーンでサンセが怪我をしてしまった。ウナイ・ゴメスと交代。
後半。今度はPA内でイニャキが蹴られてPKゲット。今度はイニャキが蹴ったがこれも真ん中付近に蹴ってしまい止められる。が、ガッサニガが先に動いており蹴り直し。今度はアンデル・エレーラが蹴って、これもリプレイのように真ん中付近に蹴って失敗。ガッサニガは3本止めた。そんな事あるのか。
この後くらいからジローナが押し込む時間帯に。76分にはアスプリージャの侵入からチャンスを作りファン・デ・ベーク→ダンジュマで決定機。86分には左からのアーリークロスにダンジュマが合わせたがパディーラが止めた。ほんとビッグセーバーだね。
ニコとサンセがおらず方々への管理が行き届かないアトレティックに追い討ちをかけるようにロスタイムにストゥアニが出てくる。95分にアスプリージャのアーリークロスに意味不明な合わせ方をして枠に飛ばす。何でもあり。パディーラはこれも止めた。
このプレーで得たCKで、パレデスがクレイチーを掴んで止めているのが印象が悪すぎてPK献上。こういうのを決めるのがストゥアニである。終了間際にホームチームがようやく勝ち越し。上位戦線に踏み止まった。
ジローナはアンカーを置かずにビルドアップと敵陣攻略のプランを思案。後半はだいぶ上手くいっていた。ファン・デ・ベークは五分のボールを収めるのが上手く、アスプリージャとアベル・ルイスの間で常にややこしい存在になっていた。
アトレティックはニコ・ウィリアムズ不在で難しい試合になったが、ここまでボールを持たれる相手もそういない。この日はPKを外しまくった事に尽きる。
●ピックアップ選手
ヤセル・アスプリージャ(ジローナ)
ブロック守備に参加する事には手こずっていたが大外で存在感を出し、ファン・デ・ベークを使いながらゴール方向にドライブするパターンも効果的だった。鋭いアーリークロスはチームの武器で右WGのレギュラーを掴みそう。
⑧アラベス 0-3 バルサ
●高級な決定力
10/6
エスタディオ・デ・メンディソローサ
アラベス 0-3 バルサ
【バルサ】'7 '22 '32 レヴァンドフスキ
開幕から好調だったアラベスはマドリー、ヘタフェに連敗してのバルサ戦。厳しい日程。ルイス・ガルシア・プラサはこれが100試合目の指揮。
首位のバルサは前節オサスナに今季初黒星。引き続きのアウェーゲームとなる。
5分でフェラン・トーレスが腿逝きして速攻でいなくなる。このへんがいまいちポジションを掴みきれない要因である。エリック・ガルシアを入れてハフィーニャがWGに。
直後にハフィーニャのセットプレーにレヴァンドフスキが完璧に合わせて先制。2人とも調子が良い。22分にはロングカウンターでこれもハフィーニャ→レヴァンドフスキ。アラベスもバルサのハイラインの後ろを積極的に狙い、バルサのラインコントロールもなんだか怪しい感じで割と裏は取れているんだがそこからプレス回避とロングカウンターを両方装備できているのが今のバルサの良いところ。32分にはカサドの縦パスをキーにまたレヴァンドフスキ。前半だけでハットトリックとなった。エリック・ガルシアは上手くポジションを上げてラストパスまで完璧な仕事。アラベスは割と諦めのつくやられ方で前半でほぼ試合が決まった。前半のうちに普通に1点返したが、残念ながらオフサイド。このシーンが典型だがバルサは背後の管理は普通に怪しかった感。
後半は大量リードしている割にコントロールが効かなくなっていったバルサ。点が取りたいアラベスのテンポに巻き込まれて疲れる試合に突入していった。お互いポストに何度か当たったりオフサイドで取り消されたりしながら82分からはフレンキー・デヨングが復帰。おめでとう。
アラベスも詰めが甘くマドリー戦のように点を取り返す事はできず0-3でフィニッシュ。
バルサはハイライン圧縮が上手くいってるのかどうかはわからないがレヴァンドフスキの決定力とハフィーニャの遂行力で前半から点差を広げた。クバルシとイニゴ・マルティネスでハイラインやりながらクラシコまで行ってどうなるのか見てみたいのでこのまま行ってほしい。
アラベスは高級な決定力に屈した。こういう日もある。これで3連敗だが代表ウィークで一休み。
●ピックアップ選手
ハフィーニャ(バルサ)
見る度ハフィーニャを選んでる気がするが効果的な背後へのランニングでピッチの幅を縮められる選手。カウンターでは周りがよく見えている。レヴァンドフスキへのアシスト2つで試合を決めた。
⑨セビージャ 1-0 ベティス
●美しきダービー
10/6
ラモン・サンチェス・ピスファン
セビージャ 1-0 ベティス
【セビージャ】'50 ルケバキオ
デルビ・セビジャーノ。このカードらしく熱い入りになる。セビージャは右のルケバキオを強調しながら押し込み、10分にはカルモナも絡んで崩し切り最後はエジュケが決めたがオフサイド。ベティスは面食らったような立ち上がりになった。
15分頃からセビージャの序盤の前プレから解放され始めてベティスも前進開始。今一番当たっている男ロチェルソが各所に顔を出してボールを循環させる。特にヴィトール・ロッキと距離を近づけると流石に得点の匂いがしてくる。ロッキはバタバタしてた。
セビージャはエジュケとペケ・フェルナンデスが落ちてきてボールを引き取る作業が上手く、ただベティス側もここを狙ってアプローチ。ここが繋がるか奪えるかで試合が動いていった。
後半早速セットプレーの競り合いでディエゴ・ジョレンテの腕に当たってPKジャッジ。お前が蹴るんかいという感じのルケバキオがちゃんと決めて先制。このゴール以降、ペケ・フェルナンデスとナタンの喧嘩をきっかけに方々で揉め事を起こしていき、この2チームのダービーっぽくなっていく。
72分にヘスス・ナバスが登場。これが28回目、最後のダービーマッチ。凄い雰囲気でした。
人を替えながらのらりくらりと時計を進め、時々エジュケとルケバキオで高速カウンターを繰り出すセビージャに対し、なかなか説得力を出せないベティス。ロチェルソを徹底的にマークされると打開策を無くしていった。この日はロイク・バデとタンギ・ニアンズのコンビも球際に強く、サイドに連れ出されても確実に対応していった。まあニアンズは90分に退場するんだが。
マルコンを入れながら最後まで隙を見せなかったセビージャがクリーンシートで逃げ切り。熱く激しいダービーマッチだった。
●ピックアップ選手
チデラ・エジュケ(セビージャ)
ボールを引き取るのが抜群に上手く、必ず一度ドリブルを仕掛けるのが常に厄介。このジャンルの割にはシュートが上手いのも良い。浮上の鍵を握りそう。
⑩ソシエダ 1-1 アトレティコ
●ターンオーバーの最中に
10/6
レアレ・アレーナ
ソシエダ 1-1 アトレティコ
【ソシエダ】’84 スチッチ
【アトレティコ】’1 アルバレス
単品マッチレビューはこちら
●ピックアップ選手
ルカ・スチッチ(ソシエダ)
中継点になって久保の可動を助けながら最後は自らのゴラッソで勝ち点をもたらした。
●まとめ
9節が終了。早いものでもう1/4が終わった事になる。3強の後ろは団子状態なイメージ。
ここ2,3シーズンは"自発的に得点を取りに行く形を持てないチームは残留が厳しい"と言い続けてきたがドフビク、ストランド・ラーセン、エン=ネシリ、エネス・ウナル、サム・オモロディオンなどストライカーがごっそり抜けたシーズンである。どのクラブも得点パターンに困るシーズンになるのかもしれない。オトラリーガ目線で言えばスルロットもアトレティコに抜かれたし。ブディミルが健在なオサスナが浮上するのは必然なのかも。
そんな中ビジャレアルは3強との試合を全て消化しながら17ポイントは立派。大幅にメンバーが変わって守備もバタバタしているがなんだか勝っている。3強を追うクラブといえばビジャレアル以外にセビージャ、ベティス、ソシエダが定番だったが先季はジローナとアトレティックが躍進。しかしこの2チームは欧州大会との過密日程にも苦しんでいる。ジローナ、ベティス、セビージャは揃って3勝3分3敗でスタート。
いくらなんでもオサスナやマジョルカが4位フィニッシュという事も考えにくいので4位争いにはまだまだ注目していきたい。アトレティコは巻き込まれないようにしましょう。
15位ソシエダ以下はラス・パルマスを除くとわかりやすく得点数が足りていない。人の入れ替わりが多かったヘタフェも守備ブロックは固まってきたが得点に苦労。バレンシアも同様。ルベン・バラハのアプローチはシメオネに似ている気がしてきた。
ラス・パルマスはそれ以前の問題。クラブの考え方・連れてきた新加入選手・監督のポリシーが全てバラバラで何がしたいのかわからない。新監督からすれば先季の遺産を活用しながら乗り切りたいところだがこれだけ最終ラインのメンバーが(GK含め)変わっている中で同じビルドアップをやろうとする方がむしろ危険が大きい感。ボールに強いダリオ・エスーゴが浮上しているのは良い傾向だがストライカーの解答を得られないまま進んでいる。現時点で降格候補の圧倒的一強。
次に怪しいのはフアン・クルスの飛び道具以外に得点の気配がないレガネス。バジャドリードはここまでのスケジュールが厳しすぎてまだ結論は先送りとしたい。エスパニョールは普通に大丈夫そう。ソシエダは知らん。