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表れるべき核の部分 14節 アトレティコvsマジョルカ(A) 2022.11.9

中2日のミッドウィーク。ラリーガはこの試合を最後にポケモン発売による、じゃなかったW杯開催に伴う中盤期間に入る。個人的にはまだ何も確認出来ていないのでまずは御三家の性格厳選、じゃなかった32ヶ国のメンバーの確認から始めないといけない。ブログで何をやるかは正直まったく決めていない。

前回対戦はこちら。

みずタイプメインのマジョルカにたいしてこちらがほのおタイプメインのメンツで臨んでしまったため呆気なく2試合とも負けた。シティ戦直前だったな。僕は御三家はホゲータにしようと思ってます

マジョルカは前節ビジャレアルとの試合。監督がセティエンにかわって様変わりしてしまったビジャレアル相手に5-4-1でバスを停め、自由を奪った。むしろビジャレアルが心配である。


●スタメン
・アトレティコ
オブラク
モリーナ / サヴィッチ / フェリペ / ヘイニウド
ヴィツェル / デ・パウル / ジョレンテ / カラスコ
グリーズマン / モラタ

ヒメネスとフェリックスが累積5枚で出場停止。ちなみに擁護も批判もしないがフェリックスは3枚くらい試合と関係ないカードです
全体的にエスパニョール戦の延長線上にありそうなメンバー。ここで全然違う事やっちゃうのがアトレティコなんだけどさて

・マジョルカ
ライコヴィッチ
ジオバンニ・ゴンザレス / ヴァリエント / ライージョ / コペテ / ジャウメ・コスタ
ババ / デ・ガラレタ / アントニオ・サンチェス
イ・ガンイン / ムリキ

いつも通り5-4-1からイ・ガンインの立ち位置で5-3-2になるメンバー。
ダニ・ロドリゲスは累積、パブロ・マフェオが退場でいない。ビジャレアルに勝ったイメージのままいけるか



●前半
・慎重な前進手順
開始から敵陣でサッカー出来ていたアトレティコ。さて5-4-1のブロックをどのように壊していきましょう、という様子

この日は両SBはやや低め。相手の5-4-1の4の手前でボールを触りたい意図が。じゃあどうやって縦パス入れますかというところに、モラタが縦挙動を入れる。この日、これが非常に効いていた。

4-2-3-1のような立ち位置でグリーズマンの脇から降りてくる
この動きでCH(ヴィツェル)が前向きにボールを持つ事ができ、縦パスを入れる準備を作っていった。そして背後へのボールを引き出すのもモラタ。9分、21分には決定機も作っている。

とはいえ、全体的にやや後ろに重かった印象。相手が前方からプレッシャーを掛けてくるなら良いのだが、そもそもハーフコートに押し込んでプレー出来る事が事前にわかりきっている試合で、こんなにバランスを気にする必要があったかな?という。後方を2-3にしてデ・パウルとヘイニウドが大外を使う、レイオフの受け手はヴィツェル、みたいな配置でいいんじゃないか。という感想である

こういうの。よくやってるだろう。


・また失点
で、16分に失点。ロングボールの処理で3人が重なって跳ね返し損ない、セカンドチャンスをアントニオ・サンチェスが良いシュート。これをオブラクが弾き損ない、最後はムリキに決められた。弱いチームの失点という感じで、特に言う事はない。

何故こうなってしまうのか。明確な問題点や改善点がある失点ではない。最近ずっとそう。変な位置でファール(しかもイエロー)するべきではないしセットプレーは強く跳ね返すべきだしセカンドボールは回収するべきだしミドルシュートはもっと強く寄せるべきだしGKがこぼしたボールは必ず先に触るべきだ。緩くて甘くて中途半端だった。誰が、と言われればモリーナなのかもしれないが全員がだ。あまりにも恥ずかしい失点

・前がかりに変更
30分にはやくも選手交代。モリーナoutでコレアを入れる。
勘違いしてる人がいると怖いので念のため懲罰のような理由ではないと断言しておく。失点する前からベンチに動きはあった。後ろの選手こんなにいらん。の一環と思われる。判断がはやいのは良かった。ちなみにおれは前節の前半の時点で言っている

これでジョレンテが久しぶりの大外。ジョレンテを大外に置くポイントは、この日SBのスタートポジションが低めである事に起因する。ようはシンプルに足が速いからスタートポジションの低さがネックにならないという事。そこから裏取れよという事。ジョレンテの起用理由は大概が"足が速いから"で正答を出せると覚えておいてください


●前半終了
まず失点の事は置いておく。4-2-3-1風のボール保持の取り組みは、まあメンバーに合わない事をやっているなという感じ。特にジョレンテ。この配置だとSBはなかなか高い位置を取れず、両翼ポジションのジョレンテ&カラスコはグリーズマンとのワンツーを使うくらいしかサポートを受ける選択肢がなく、1vs1のドリブル勝負を希望しているカラスコはまだしもジョレンテの能力は活きない。そもそもこれではカラスコは1vs2になる。近くに味方が2人は欲しい。
前節エスパニョール戦と似たような事をやりたいけれども形を変えた。それは当然相手が5バックだからだ。5枚のDFに5枚のアタッカーをぶつけてもねぇ。という発想でしょう。
"余裕がないな"という感想だ。少なくとも前節、ボール保持に関しては悪くはなかった。良くもないけど。同じ事やってみたらいいじゃん。課題も何もわからない状態でまた別の事。いつまで経っても積み上がらない。試合は90分ある。45分は前節と同じ事をやる、くらいの心の余裕はないのか。だいたい30分で選手を変えているじゃないか。そこの柔軟性だけはある。ちなみにこの試合の後半の選手交代は遅かった。なぜだ。
ネガトラのバランスも微妙に前節より後ろ体重だったように見える。5-4-1のマジョルカ相手にだ。怖かったのか、イ・ガンインのスピードが。みっともないと思わんのか。あなたのスカッドは2,3人のカウンターにもびびるような選手達か。誰が作ったスカッドだよ。


で、失点の話だ。結果、カウンターを喰らうよりも数段格好悪い形で失点した。なんだあのロングボールの対応は。なんだあのこぼれ球の反応は。

取り組みの検証を重ねる前に失点してしまうから何が良い取り組みなのかわかりません。というのは降格するチームによくある現象。先季のレバンテなんてまさにそんな感じ。"良い形が出れば点が取れるチームなんだよ"と言ってる内に負け続けた。今のアトレティコがやってる事は大体一緒だ。前節も言ったが、それがカウンターを喰らっての失点だったらわかる。全然良い。なんも問題ない。だってネガトラのバランス変えてるんだもん。そりゃキツいよな、普段より後方待機一枚少ないもん。で話が終わる。なのになんだいその失点は。


●後半
後半に移る。マジョルカは前半の終盤にイドリス・ババが怪我でベンチに下がっている。バタグリアを投入。

アトレティコはジョレンテが右側をかなり高い位置まで行くので、ヘイニウドは抑え気味。

別に抑えなくてもいいと思うけど。この辺も指示なのかヘイニウドが、あるいは全体がビビっているのかが判断出来ない。
ジョレンテの位置が極端に高いのなら、じゃあCH2枚はどうするのと言うと、これまで通り。という状態。結局前半より前線の枚数は少ないのでは。あまりにも効率が悪い。この試合は終始配置が綺麗すぎるのだ。どこにもバグが起きない。数的均衡がブレない。綺麗に等間隔。ベンチはバランスを崩してカウンターをもらう事を怖がっているよう。選手は自分が責任を負うのを嫌がっているよう。もう負けてる試合だぞ。
そして今に始まった事ではないが、この形を擦り続けたら得点になりそう、という形がないので見ていてしんどい。

・遅れた交代策
アトレティコは59分にようやく選手交代。カラスコに替えてルマル。中盤を増やし、ヘイニウドを高い位置へ。

ここにシメオネの考えるバランスというものが見える気がする。2CHなら最終ラインは3枚(2CB+片方のSB)を残す、両SBに高い位置を取らせたいなら中盤は3枚。ところで果たしてその3人の中盤が全員被カウンターで役に立つのかは検証されているのだろうか。少なくともルマルはそういう仕事は得意ではないし、ヘイニウドが左大外で高い位置を取るのならカラスコが残れば良かったのでは。守備ありきの選択をするのは普段通りだが、どうにも及び腰というか、もっと相手が嫌がる選択をするべきだった。なんだか弱気に見える。マジョルカはカラスコが残る方が嫌だったに決まっている。

配置は意識的にはこうなる。
69分にさらに2枚。コケが復帰、レギロンがようやく初出場。
デ・パウルがやっていた仕事をコケが、ヘイニウドの仕事をレギロンが。ちなみにヘイニウドはこれでついに今季の全試合フル出場が途切れた(CLは2節レヴァークーゼン戦で途中交代)

アトレティコは試合前から、下手したら前節の試合中から、こういう押し込みを狙っている雰囲気は見えた。コケとレギロンは怪我明けであり、毎週言っているがたくさん注釈は付く。とはいえ70分までこの形を準備出来なかった原因はどこにあったのか。残念だ。後半45分間ずっとこの形で殴り続けるくらいの事は出来るはずだった。

この試合を通じて右サイドのコンビネーションが全く使えず、この辺りからアトレティコはグリーズマンを左大外に置いてクロスを供給し続ける。7,8回はあった。そのうち3,4回は決定機になったが、決めきれず。残念ながら悪い流れを断ち切るヒーローは現れなかった。
そしてグリーズマンにしても、チームで狙いを持った配置だったのか彼個人の機転の効いた判断だったのか、である。たぶん彼個人の判断だ。チャンスを複数作った。素晴らしい判断だ。だがこれも、いつか別の試合で再現する類いのものではないのだろう。


●試合結果
これでラリーガ3戦勝ち無し、公式戦5戦勝ち無し。マジョルカ相手には3連敗となった。
勝ったマジョルカはここ4戦で3勝1分、ビジャレアル、アトレティコに連勝で14節終了時点一気に10位に。

何もかもが上手くいかないアトレティコは不協和音が聞こえてくる。問題点と言われましても毎試合違う事をして違う形で崩壊していては評価が難しい。連続性もなければ説得力もない。こんなチームに誰がした。

この日に限らないが、現在のアトレティコの取り組みと失点は分けて評価する必要がある。
まあシメオネも批判はされているんだろう。見てないけど。されてない方が不健康。
もちろんシメオネにも不足している事はある。至らない点はある。この試合もいくつも選択を間違い、そして遅かった。失策であろう。ただ、シュートが入らない事とシュートを止められない事は、ベンチに出来る範疇を超えている場合も、ある。場合も、ね。失礼を承知で言えば、相手はマジョルカだぞ、という話。この試合で何度も指摘したように、保持でミスが出てカウンターを喰らうのが失点理由なら改善点は明確だし、逆に相手にボールを持たれて終始押し込まれ、我慢が効かずに失点しているならそれも明確だ。ただ今のアトレティコはなんとなくボールは持てるし、続ければそれなりに点が取れそうな雰囲気がありながら、ふいにボールを持たれて失点する。エスパニョール戦なんて一人少ない相手にボール関与3人で決められた。どうしたらいいと言うのか。
選手は自分がチームを救おうと思っているだろうか。ヒーローになる覚悟があるのは誰だ。ジョアン・フェリックスだけか。勝ち点3を求めているのは誰だ。コケだけか。
この体たらくへの非難はチーム全体で受けるべきだ。そこから逃げて特定の何かを責めても前には進めない。直さなければいけない事は山ほどあるけれど、その責任を誰か一人に求める事はしない。これまでもこれからもずっとだ。

これで4位に転落。不幸中の幸いはまだ4位に留まっている事に尽きる。この敗戦でラリーガの優勝はほぼなくなったが、これもまたギリギリ幸いな事にここでW杯期間に入る。何もかもリセットしてほしい。

勝てばいいという考え方も、内容が良ければ負けてもいいという考え方もおれはしないが(それはアトレティコに限らず)、今選手は何に縋って、どういう形に拘ってプレーすれば良いのか。少なくともそれを指し示すのはシメオネの仕事だ。これまでもそうやってきた。正しい指針を示し、正しく流れる事を期待する。
敗戦は残念だ。今のアトレティコはまるで世界が終わってしまうかのよう。終わらせるのは簡単だろう。ただ、抗うべきだ。そうしてきた事がアイデンティティであったはずだ。行き着く先で最後に残る物とは何か。装備を脱いで皮を剥いて、ついに全てを脱ぎ捨ててアトレティコらしさの正体の核の部分、その中心に生で触れる事が出来そうだ。おれは瞬きせずに見に行く。


11/9
ビジット・マジョルカ・エスタディ
マジョルカ 1-0 アトレティコ
【マジョルカ】'16 ムリキ


●ピックアップ選手
コケ
10/15アトレティック戦以来ようやくの復帰。W杯楽しんできてくれ

レギロン
ようやくデビュー。SBの役割に変化がありそうな最近の試合、ニーズは増えそう

モラタ
前半はポストプレーで前進のきっかけ作り、後半はグリーズマンのクロスに得点機連発。決められれば。

グリーズマン
愚直に決定機を用意し続けた。ここからチームを立て直すために帰ってきたと信じている

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