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CKYこぼれ話 (3) コーラスのこと

「かわいいブログ」で帰国の報を知り、あらためて数々のみやげ話、
それからKANさんご本人から語られるCKYの真実も楽しみですが、
それにしても「かわいいブログ」の継続にあらためて恐れ入るというか、なんというか。

今日現在(2014年5月)「かわいいブログ」で検索すると、
Googleではトップに出てくるまでになっていて、
例えばこれからかわいらしいブログを始めたいと思っているうら若き女子が
「参考までに…」つってGoogleで検索したところ、
この「かわいいブログ」にたどり着くことだってあるわけでしょうし。
「この『かんしゃん』って……誰?」とプロフィールを眺めると、
周到に記入された項目が並んでいながらも、オフィシャルサイトへの導線は用意されておらず、
知らない人が読む限り「どこの誰かはわからない、でもかわいい人、かんしゃん」である。
首尾一貫、ここでのペルソナは完成の域に達しているので、
もしかすると、この「かわいい」がワールドワイドウェブのどこかで、
真夜中に密かに編まれる蜘蛛の巣のように拡がっている可能性が無きにしも荒巻鮭。
というようなことを考えてゾクゾクしていたのが先日の宿酔の午前中でした。

コーラスのことについて書きます。

コーラスって難しいですね。

終わってしまった。
違う違う、なんだろ。
いや〜、コーラスってほんっとにいいものですね〜。

水野晴郎だ。違う違う、もうちょっと具体的に。

レコーディング現場やライブの現場などでひとくちにコーラス、といっても、
いろいろ種類があるので、菅原が普段使う符牒の例でまずはおおまかにご説明しますね。

字ハモ
歌詞の乗ったメロディー部分に対するハーモニーです。
ツアー曲で具体例を挙げると『まゆみ』のサビの部分などです。
これは「自ハモ」という説もあり(自分の唄に自分でハモる、ということで)、
しかも読みも「じはも」で一緒なので相手がどっちで伝えているのかすぐに判断できませんが、
菅原は冒頭の「歌詞の〜」という意味合いで使っています。
一応コーラス専任、ということで、比率としては一番多かったです。

白玉
あんみつに入っているとおいしいですね……っていう、
ああ!こういうの本当にオッサンくさい。
譜面上の全音符・2分音符の白い音符を称してこう呼ぶのから派生して、
菅原は唄のバックでうーとかあーとか大きく伸ばすハーモニーのことをざっくりこう呼んでます。
具体例は『サンクト・ペテルブルグ』のサビ部分などで聞けますね。
これは関係ないですけど、菅原はずっと「しらたま」って言っちゃうクセがずっとありました。
ほんとにぜんざいじゃん。「しろたま」ね。しぃ〜ろたま〜(千昌夫で)

追っかけ
熱烈なファン……って。こういう感じアレね、
翻訳とかの音楽入門本によくある冗談で自分が本当にイヤになってきた。
あれです、あのー、メインの唄があって、白玉で追っかけてそのあと言葉唄うパターンのやつ。
……って、説明がぜんざい。またぜんざいかよ。ぞんざい。
えー、具体例は『エンドレス』のサビ、
それから前述した『サンクト・ペテルブルグ』のAメロなどで聞けますね。

菅原はおおまかにこの3種の系統に分類して、
ここからさらに細かく仕分けて整理しております。

さて、リハーサルが始まる前までに候補曲が上がってきます。
何度も聴いたことのある曲でも実際自分がコーラスパートを歌うとなると、
こんなラインだったんだ、など、新しい発見がたくさんありました。

特にやっぱり最後まで苦戦したのが『BRACKET』です。
5度でボーカルに並走する字ハモ部分、山場のスキャット。
CDで聴いていると「うお〜、格好いい!イエーイ」で済むんですけど、
譜面を見ながらひとりではじめてラインを採ってみた時のあの拠り所のなさ。
不安になりましたね……なので練習しました。

で、言葉のようで言葉でないような…でもやっぱ言葉のような、というスキャット、
あれも「なんとなくニュアンスあるよ」とだけの指示だったので、
ツアー始まってからもとにかくKANさんのニュアンスにさらに近づけるよう練習してました。
なので毎公演のリハーサルでも必ず1曲まるまる通しで演奏してもらっていましたね。

結果は……どうだったんでしょうか。
でも、うまくいった(と思う)時は気持ちよかったです。
はー、思い出しながら書いてるだけで手に汗かいてきました。

KANさんのニュアンス、という話が出てきましたけれど、
字ハモは常にそれがついて回るので、KANさんの歌い方なども意識して、
音域によってはうまく並走できる部分もあり、
ある音域から上になるとどうしてもうまくいかなかったりしましたが。
まあ、例えば自分のレコーディングで自分の唄に並走できなかったりもあるので。
唄、うまくなりたいと思うっすよ。常に。

個人的におもしろかったのは『Oxanne』と『scene』です。
これはどういうことかというと、
この2曲はバリバリ某桜井さんモードでいかねばならぬホトトギス、という意味です。
『scene』についてはKANさんもそのモードですし、うまくいったんじゃないかと。
『Oxanne』も、ファルセットよりは地声で出るとオリジナルの雰囲気が出ますし、
なかなか大変でしたが頑張りました。

「もちろん、菅原くんは本来自分で唄うべき人だと思っているけれど」
という前置きがあったあと、ツアーへのコーラスでの参加が打診されたのは、
確か、去年の夏前くらいだったはず。
日が長くなった薄暮、会議室(と呼ばれるいつものお店)への道をKANさんと歩きながら、
光栄な気持ち、それよりもまずは漠然とした不安を感じたことを憶えています。
もちろんこれまでのバンドツアーを何度も観せて頂いてましたし、
あの完成度の高いステージに自分がメンバーの一員として立ち、役に立てるのかどうか。
そんな不安が先行して頭をめぐりましたが、
ミュージシャンとしてシフトアップできるチャンスであることは自明です。
なので、ひとまず不安は脇に置いといて「よろしくお願いします」とお伝えし、
そのあとはいつも通り記憶があやふやになるまでシャンパンチャンスしました。

もともと清水さん・西嶋さんのコーラスの実力もあり、
新メンバー佐藤くんも唄えるし、というなかでの自分の立ち位置に自信を持つまでが大変でしたが、
いまこうしてツアーを終えて、本当に誘ってもらえてよかったです。

オープニングアクトを終え、転換中に急いでジャケットを羽織り、
テーマの登場シーンから『明るいだけのLove Song』のイントロが鳴り出す瞬間。
毎公演、あの瞬間の高揚感がたまらない喜びでした。
それは、とりもなおさず「音楽を奏でられる喜び」と直結していたからなのかもと思います。

というわけで、菅原がこぼれ話として書けるのはこのくらいかなー。
各曲についてもうちょい突っ込んでもよかったんですが(面倒くさいわけじゃないよ)、
まあそれは「金曜コラム」の更新もありますので、そちらを待ちましょう。

それでは最後に西嶋さんの「IDEAS」風写真でお別れ。
ありがとうございました。

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