蒲田健の収録後記:手嶋龍一さん

最高級のインテリジェントオフィサーは、最高級の聞き上手なり。

手嶋龍一さんの最新刊「汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師」

実在のインテリジェンスオフィサーの列伝である。

正鵠を得る訳語が存在しない“インテリジェンス”という単語。

強いて言えば「情報」ということになるが、玉石混交のデータと同義の

“インフォメーション”とは似て非なる。

玉を拾い上げ、更にその玉の連なりを意味のある鉱脈として精査できた時

それは初めて“インテリジェンス”に昇華する。

インテリジェンスオフィサーはその多くが、“スパイ、裏切り者、

あるいは詐欺師”と呼称される。ダークサイドで暗躍する、組織のためなら

手段を選ばない冷酷なイメージ。

もちろんそれも優秀なインテリジェンスオフィサーの重要な資質ではある。

しかしより本質的な資質は、情報提供者の心を開かせ、入り込み、

引き出す能力を持っているということ。

そしてそれは、人間として極めて魅力的であるということと

ほぼ同義である。例えば日本のみならず世界的にも最も高名な

スパイ、リヒャルト・ゾルゲなどはまさにそういう人物。

魅力的であるがゆえに彼らのもとには機密情報が流入する。

古今のインテリジェンスオフィサーが立体的に描かれる本書。

しかしそれらはかつて存在していた昔話ということにとどまらない。

サイバー空間に舞台は移行しながらも、現在進行形のトピックでも

あるのだ。


あなたの隣にいる魅力的な人物が実は、、、

かもしれない。


「気づいたら かたい扉を あけている

         最高級の 魅力をもって」


P.S.インテリジェンスの世界に精通している手嶋さん。

コトの性格上すべてを赤裸々にオープンにすることはできないからこそ、

様々なかたちで我々にヒントとなるメッセージを発信している、と

改めて感じました。これは決して荒唐無稽なフィクションではないのです。


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