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インタビュアー蒲田健の収録後記

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収録後に感じたこと考えたことを語ります!
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2017年8月の記事一覧

蒲田健の収録後記:武田砂鉄さん

文化はコンプレックスから生まれる

武田砂鉄さんの最新刊「コンプレックス文化論」

劣等感、という訳語が与えられ、一般的には矯正すべきもの、

克服すべきものという印象が強い「コンプレックス」。

「背が低い」「ハゲ」といった直球系のものから「実家ぐらし」

「親が金持ち」といった変化球系のものまで実に様々な事柄が

コンプレックスになりうると武田さんは説く。

その上で、コンプレックスは解消しな

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蒲田健の収録後記:荒俣宏さん

怪談とファンタジーは、頭の中での創作物という点において通底している。

荒俣宏さんの最新刊「お化けの愛し方 なぜ人は怪談が好きなのか」

古より、人のコミュニケーションが生まれるところには、不可解な事象、

現象が多かれ少なかれ含まれてきた。それらが伝承され、

やがて怪談というかたちで記録されるにいたる。

その多くの源流は中国であるようだ。したがって基本的な骨組みは

かなり共通していて、そこ

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蒲田健の収録後記:山崎ナオコーラさん

フェミニンな男性を肯定したい

山崎ナオコーラさんの最新エッセイ「母ではなくて、親になる」

男性がバリバリ稼いで一家の屋台骨を支え、女性は三歩下がって

子供を育て、家を守る、という家庭スタイル像がある。

言ってみれば昭和的な、マスキュリンな頑固おやじを念頭においたモデル。

翻って妻は作家、夫は町の書店員、という山崎さんの家庭は、経済力、

生活力ということでは妻に軍配が上がる。しかし、こど

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蒲田健の収録後記:前野ウルド浩太郎さん

誰かが人生を捧げて研究しなければ、

バッタ問題はいつまでたっても解決されない。

前野ウルド浩太郎さんの最新刊「バッタを倒しにアフリカへ」

日本にいるとにわかには信じられないが、アフリカでは「神の罰」とも

称され、世界の陸地の20%にも及ぶ範囲で甚大な被害をもたらすという

バッタ。人類が被る最古の災厄のうちの一つともいえるもの。

にも関らず、抜本的な対策は未だ確立していない。この、云わば

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蒲田健の収録後記:月川翔さん

ラスト、きっとこのタイトルに涙する

月川翔監督の最新映画「君の膵臓をたべたい」

高校生の男女が主人公の美しい物語、といってしまうと爽やかな

青春恋愛話を想像するが、あにはからんや。

これはいわゆるラブストーリーとは一線を画す。そもそも二人は恋愛関係に

あるとも言い難い。ではどんな関係なのか?それこそがこのインパクトの

あるタイトルへの回答でもあるのだ。

原作が住野よるさんによる同名の

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