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学校で教えない教育のこと【教育学】

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疑問こそ学びの原点なのに、学校の決まりや文化に関する「なぜ?」に、学校はほとんど答えてくれません。疑問や悩みに少しでも答えたい、そして疑問を大切にする人が増えてほしいと思い、教育…
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#特別活動

卒業式の位置づけ ~式典より今までの学びに重みを~【卒業式の教育学3】

 前回は卒業式の歴史を見ていきました(前回はこちら)。それを踏まえて、今回は現在の卒業式が学習指導要領などでどう位置づけられているか見ていきます。 1.学習指導要領解説における卒業式 現在の学習指導要領では、「卒業式」という単語は国家・国旗に関する事項以外には記されていません。卒業式は法的拘束力のない『学習指導要領解説』において特別活動の儀式的行事の1つとして記されています。  1968年の指導要領改訂以降、行事は特別活動の1つとして位置づけられています(文献①p.48)

卒業式の歴史 ~限られた人の到達点から全員の感動へ~【卒業式の教育学2】

 前回、「卒業式=感動の涙」というイメージは日本の特徴であることを述べました(前回はこちら)。今回は卒業式の歴史を見ていきます。学校教育制度が出来たばかりで試行錯誤していく中で、卒業のあり方も変化していきました。 1.卒業式のない時代 明治時代に全員就学の学校制度が整備される以前、子どもが教育機関にいつ入るか・いつ出るかは特に決まっていませんでした。江戸時代の寺子屋では、おおむね7~9才頃に入学(登山"とうざん"や入門などとも言った)しますが、10才を超えて入学する人もいま

「卒業式=感動の涙」に囚われる必要はない ~人々の実際・世界との比較~【卒業式の教育学1】

 3月は卒業シーズンとされます。卒業式は学校における一大イベントとされ、特に小学校では2週間以上かけて式の練習を行うということも珍しくありません。  卒業式といえば感動し涙するという印象がついています。もちろん、今までのことを思い起こし感動することや別れを惜しみ涙するほど人との良いつながりがあったことは価値ある体験です。  しかし、涙を流すことは必須ではありません。児童生徒だけでなく先生もみな涙を流せば、卒業式は大成功と見られるかもしれませんが、人は卒業にあたって必ず涙を流す