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書店に風は吹いているか

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「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名… もっと読む
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#本

イントロダクション

イントロダクション

 我が家にはパソコンがない。ネット書店を利用することはない。よって妻は近くの書店で本を探している。しかしその書店には妻が欲しい本がある確率は極めて低い。

 5年ほど前のことだ。宮部みゆきの「ソロモンの偽証」が発売された時のことである。第1部と第2部を併せて買ってきた妻は「1部と2部の発売間隔を見ると第3部の発売は今週に違いない。」と言う。

 運転免許証を持たない妻は遠方の書店に行く時は僕の力を

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変らなかったものは?

変らなかったものは?

 書店の経営が悪化しつつあった頃、「売れる書店はこうだ」を書いた。巨大書店が全国に乱立し始め、人員整理によるコスト削減が乱暴に行われ、POSレジが当然のようになりつつあった時代である。

 それから20年近くが経過した。

 その間に廃業した書店の数はどれくらいになるのだろう。売上げは激減した。生き残った書店は「売れる書店」だったはずである。また売れないがコスト削減で生き残った書店もあっただろう。

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繁華街と書店

繁華街と書店

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

 老舗と言われる店の多くが廃業した。その理由は本が売れなくなっただけではないだろう。跡継ぎがいないとか、店を構えていた商店街がシャッター通りになってしまったとか、そん

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本の買い方が分からない

本の買い方が分からない

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

 ネット書店での本の買い方が分からない。ぶらりと書店に立ち寄るタイプの本好きはたいていそうなのではないかと思うのだが、ネットに精通すれば案外リアル書店より面白い本にめ

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電子の本

電子の本

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

電子書籍・・・。電子って何? ディスプレイで本を読むのか? となんとなく「やだな」と思っている内にいつの間にか巷には電子書籍が溢れた。数万冊のストックからお好きな本を

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羊飼いの情報

羊飼いの情報

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

ツイッターやフェイスブックなどから伝わる情報の「濃さ」には驚きを感じる。誰かの意見は誰かの意見に過ぎないのだが、こうしたメディア?を通じると人の群れにダイレクトに情報

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知の匂い

知の匂い

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

以前は書店に行くと知の匂いがしていた。今はそうでなくなったとは言わないが、娯楽の匂いの方が強くなった気がする。どちらがいいとか悪いとかそういう話ではない。単純に僕はか

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本の居場所

本の居場所

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

本を売る場は書店だけではなくなった。ネット書店がその代表である。書店にとってアマゾンは大きな脅威になった。アマゾンだけじゃなくネットに乱立する書店はリアル書店の売上げ

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今どきの買い物

今どきの買い物

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

先日ネットで話題になった本の注文が某ネット書店から殺到した。巷で話題の1冊というやつである。で・・・、書店からも注文が来るのかと思ったら思ったほどではなかった。ネット

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店に通う

店に通う

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

金がなく暇があるロック中毒の僕は中古CD屋に足繁く通っている。おそらく意味のない行為であると思う人が多いと思う。ネットで探せば簡単に見つかるよ、という人が多いだろう。

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ありがたい

ありがたい

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

全国を回っている当社の営業から「売れる書店はこうだ」が、書店を開くときに役立った、と言う書店さんのことを聞いた。僕の書いた書店の話に後押しされて店を始めたと言うのだが

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燃やしてしまえ!

燃やしてしまえ!

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

書店に行くと「あらぁ~」と目を覆いたくなる場面がある。いわゆる「書タレ」が陳列されているのである。この場合、自社本だと見て見ぬ振りをしたくなるが、絶版になった本で版元

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無責任男

無責任男

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

勝手な言い方だが、昔の書店員は無責任だった。無責任だったから商品を面白がることが出来た。無責任に陳列していたからお客が喜んだ。だがしかし、昨今の書店員は責任感が強い。

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在庫の確認

在庫の確認

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

電話が鳴り受話器を上げると書店さんからだった。
「在庫の確認をお願いします」と言われたので順番に在庫の有無を答えていった。そして7~8点の書名を読み終えてすぐに「では

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