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ジュラシックパークとジョーズとナウシカ または「想像力は映像を超えるか?」②

自分にとってのスピルバーグ監督の最高傑作は「ジョーズ」である。
言わずと知れたサメ映画の金字塔。ある人が「サメ映画ジャンルの第1作にして最高傑作」と言ってたが、完全同意する。

この映画を傑作にした要因は、天才スピルバーグの演出力以外にも、大きく2つある。1つは音楽。これは説明不要ですね。もう1つは…。

撮影用にがんばってつくった、サメの実物大モデル(通称ブルースくん)が、現場で全く動かなかったこと。

サメが動かない。 → 撮影できない。 →どうする? →・・・。
「サメ無しで撮ろう!」

というわけでこの映画、サメ映画なのにサメがほとんど姿を見せない映画になった。その結果。

姿を現さないサメと、サメの到来を告げる音楽の相乗効果で、すさまじく怖い映画になったのです!
観客にはサメがいるのかどうか、わからない。
わからないけどサメ映画なんだからどこかにいるはず。
サメだ! と思ったら違った。と思ったら別のところに現れた!

サメの存在を、間接的に暗示する仕掛けの数々。
一瞬だけチラリと映る、サメの背びれや、水面下のシルエット。
そしてさんざん焦らすだけ焦らしておいて、物語後半いよいよサメがその姿を見せたときの圧倒的な存在感、そして爽快感!(ブルース君もたまには動いたようです)

映画史に燦然と輝くこの映画の勝因は、「なかなか出てこないサメ」×「音楽」×「演出力」が、「人間の想像力」を最大限に刺激したからだと思う。

「幽霊の 正体見たり 枯れ尾花」
見えないからこそ、人は想像を膨らますのだ。

(つづく)

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